電気圧力鍋と圧力鍋の違い|ガス式とどっちが得かを光熱費で比較
圧力鍋を買おうと調べていると、電気式とガス式のどちらにするかで手が止まりますよね。電気圧力鍋は放っておけるらしい。でもガスの圧力鍋のほうが早いとも聞く。光熱費はどちらが安いのか。ここがはっきりしないまま、決めきれずにいる方は多いのではないでしょうか。
比較がややこしくなるのは、両者が「同じ料理を作る道具」なのに、時間の使い方も費用のかかり方も違うからです。しかも語られる場面によって、時短の意味が「加圧時間」だったり「拘束時間」だったりと入れ替わります。同じ言葉で別のことを話しているので、噛み合わないんですね。
結論を先にお伝えします。光熱費では決まりません。この記事で試算しますが、角煮を1回作る場合の差はおよそ数円。年に何十回作っても、数百円の違いにしかなりません。決め手になるのは、火のそばにいる必要があるかどうか、つまり拘束される時間のほうです。
この記事では、まず両者の構造的な違いを整理します。そのうえで都市ガスの熱量と電気の単価を使って光熱費を実際に計算し、差がどのくらいなのかを数字で示しますね。最後に、どちらが自分に向いているかの判断軸をまとめます。
- 電気式とガス式の構造的な違いと、時短の意味の食い違い
- 光熱費を同じ土俵で計算するための式と数値
- 角煮1回あたりの費用を試算した結果
- 光熱費以外で判断すべき軸と、それぞれが向いている人
電気圧力鍋とガス圧力鍋の構造的な違い
まずは構造の違いからです。いちばん大きいのは、火加減を誰が担うか。電気圧力鍋は本体に電熱ヒーターと温度センサーが内蔵されていて、圧力と温度を機械が保ちます。
ガス式は人が火を見ます。この差が、あとの使い勝手をほぼ決めるんですよね。圧力そのものにも差があって、使用最高圧力の目安はガス圧力鍋が60〜100kPa程度(高圧設定のある機種が多い)、電気圧力鍋が70〜95kPa程度。圧力に達するまでの時間はガスが強火で数分なのに対し、電気は10〜20分程度かかります。ただし調理の総時間で見ると逆転します。ガスは強火で沸騰させる、圧力が上がったら弱火に落とす、タイマーを見ながら30分待つ、火を止めて自然減圧を待つ、と人が張り付く時間が長いからです。
この章では、熱源と火加減の担い手、圧力の高さと加圧時間の差、総時間で見ると逆転する理由、そしてできることの範囲の違いを見ていきます。
熱源と火加減の担い手が違う
ガス圧力鍋は、ふつうの鍋と同じようにコンロにかけて使います。圧力がかかり始めたら弱火に落とし、指定の時間だけ加圧を保ち、火を止める。この火加減の調整をするのは人間です。
電気圧力鍋は、本体に電熱ヒーターと温度センサーが内蔵されていて、圧力と温度を機械が保ちます。材料を入れてボタンを押せば、あとは自動。人がキッチンに立っている必要がありません。
この差は、失敗のしやすさにも表れます。ガス式では、弱火にするタイミングが遅れると圧力が上がりすぎて安全弁から蒸気が抜け、水分が飛びます。逆に弱すぎると圧力が保てず、加圧時間を数えていても中身が煮えていない。電気式ではこの調整が機械任せなので、誰がやっても同じ結果になりやすいわけですね。
この「同じ結果になりやすい」という性質は、レシピを共有するときにも効いてきます。ガス式は火力の強さがコンロごとに違うため、他人のレシピの加圧時間をそのまま真似ても同じにはなりません。電気式は機種が同じなら条件が揃うので、メーカーが配布するレシピの再現性が高くなります。道具が条件を固定してくれるぶん、料理の腕前に依存しない仕上がりが得られるわけですね。
もうひとつ、加熱を止めたあとの扱いも違います。ガス式は火を止めれば加熱が終わりますが、鍋そのものが熱を持っているので余熱で調理が進みます。電気式は保温に移る機種が多く、そのまま置いておける設計になっています。
安全装置の考え方にも差があります。どちらもふたのロックと圧力を逃がす弁を備えていますが、電気式には加えてふたの閉まり具合を検知して加熱を始めない仕組みや、内部温度が上がりすぎたら加熱を止める保護回路が組み込まれています。ガス式は機械的な安全弁が中心なので、使う人が手順を守ることが前提。どちらが安全というより、安全を担保する方法が違うと考えるのが正確ですね。
ふたが開かなくなったときの対処も、方式で変わります。どちらも「内部に圧力が残っている」のが原因の大半ですが、電気式は表示や音で状態が分かる機種が多いところ。仕組みと安全な開け方については、電気圧力鍋の蓋が開かない原因と安全な開け方をまとめた記事で扱っています。
圧力の高さと加圧時間の差
数字で比べやすいのが圧力です。ここには明確な差があります。
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| 項目 | ガス圧力鍋 | 電気圧力鍋 |
|---|---|---|
| 使用最高圧力の目安 | 60〜100kPa程度(高圧設定のある機種が多い) | 70〜95kPa程度 |
| 圧力に達するまで | 強火で数分 | 10〜20分程度 |
| 加圧時間 | 短い | やや長めに設定されることが多い |
| 減圧 | 自然放置または急冷(水をかける) | 自然減圧が基本。自動減圧の機種もある |
| 火加減の調整 | 人が行う | 機械が行う |
ガス式が有利なのは、圧力に達するまでの時間です。コンロの火力は電気圧力鍋のヒーターより桁違いに大きく、短時間で沸騰させられます。一方、電気圧力鍋は消費電力が800W前後の機種が多く、水を温めるのに時間がかかります。
実例を挙げると、パナソニックの電気圧力鍋NF-PC400は公式の仕様で消費電力約800W、圧力70kPaゲージ圧(約115℃)と公開されています(出典:パナソニック NF-PC400 仕様・詳細情報)。800Wというのは、ガスコンロの標準的なバーナーが持つ火力の5分の1程度にあたります。昇圧に時間がかかるのは構造上の必然ということですね。
もう少し具体的に見ましょう。ガスコンロの標準的なバーナーはおよそ4.2kW。電気圧力鍋の800Wと比べると5倍以上の差があります。同じ量の水を沸騰させるのにかかる時間は、単純計算でこの比率に近くなります。昇圧の速さでガス式に勝てる電気圧力鍋は存在しません。ここは構造の問題なので、機種選びで埋まる差ではありません。
逆に言えば、電気式の加圧時間がレシピで長めに設定されているのには理由があります。圧力が低め、あるいは温度の立ち上がりが穏やかなぶん、時間で補っているわけですね。だから「ガスのレシピの加圧時間をそのまま電気式で使う」と、火の通りが足りないことがあります。
調理の総時間で見ると逆転する

ところが、話はここで終わりません。総時間で見ると評価が変わります。
ガス式で角煮を作る流れは、こうです。強火で沸騰させる、圧力が上がったら弱火に落とす、タイマーを見ながら30分待つ、火を止めて自然減圧を待つ。この間、火を止めるまではキッチンから離れられません。
電気式は、材料を入れてボタンを押したら終わりです。昇圧15分、加圧30分、減圧15分で合計1時間かかったとしても、その1時間は自由に使えます。買い物にも行けるし、別の家事もできる。
2つの「時短」を区別する
調理時間の短縮=鍋の前で過ごす時間も含めた全体の長さ。これはガス式が有利。
拘束時間の短縮=そのうち自分が動けない時間。これは電気式が圧倒的に有利。
「時短」という言葉がどちらを指しているかで、評価は正反対になります。
どちらを重く見るかは生活次第です。夕方の30分をキッチンで過ごせるなら、ガス式のほうが早く食卓に出せます。その30分に別のことをしたいなら、電気式が答えになります。
時間を並べて比べると、差がはっきりします。角煮を例に取ると、ガス式は昇圧5分+加圧30分+自然減圧20分でおよそ55分。電気式は昇圧15分+加圧30分+減圧15分でおよそ60分。総時間はほぼ同じです。違うのは内訳で、ガス式は最初の35分が拘束時間、電気式は拘束時間がほぼゼロ。同じ1時間の使い方が、まるで変わります。
この構図は、平日の夕方にいちばん効いてきます。帰宅してすぐボタンを押しておけば、着替えや片づけをしている間に主菜が仕上がる。逆に休日にじっくり料理をする日なら、鍋の前にいることは苦になりません。生活のどの時間帯で使うかで、評価は入れ替わるということですね。
減圧の扱いにも差があります。ガス式は水をかけて急冷することで減圧を早められる機種があり、待ち時間を短縮できます。電気式は本体に電装部があるため水をかけられず、自然に圧力が抜けるのを待つのが基本。自動減圧を備えた機種もありますが、それでも数分から十数分は必要です。「あと5分早く食べたい」という場面ではガス式に分があるということですね。
できることの範囲が違う

圧力調理以外の機能でも差があります。
ガス圧力鍋は、圧力をかけない普通の鍋としても使えます。ふたを外せば炒めもできますし、揚げ物に使える機種もあります。1つの鍋で幅広くこなせるのが強みですね。
電気圧力鍋は、圧力調理のほかに無水調理、低温調理、蒸し調理、炊飯といったモードを持つ機種が多くあります。とくに低温調理は温度を一定に保つ必要があるので、機械制御でないと難しい領域です。甘酒やヨーグルト、温泉卵といった発酵・低温の料理は、電気式ならではの守備範囲になります。
逆に電気式が苦手なのは、炒める・揚げる・焼き色をつけるといった高温の調理です。内鍋の耐熱と安全設計の都合で、これらは想定されていません。
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| やりたいこと | ガス圧力鍋 | 電気圧力鍋 |
|---|---|---|
| 煮込み(角煮・カレー) | ◎ | ◎ |
| 下ゆで(豆・玄米) | ◎ | ◎ |
| 炒める | ○(ふたを外して) | △(機種により弱い加熱のみ) |
| 揚げる | ○(対応機種) | × |
| 低温調理 | ×(火加減を保てない) | ◎ |
| 発酵(甘酒・ヨーグルト) | × | ◎ |
| 炊飯 | ○(手動) | ◎(自動メニュー) |
| 予約調理 | × | ○(対応メニューのみ) |
表を見ると、重なっているのは圧力調理の部分だけで、その外側は互いに苦手を補い合う形になっています。同じカテゴリーの道具というより、得意分野が違う別の道具と考えたほうが選びやすいかもしれません。
そもそも自分に圧力鍋が必要かどうかで迷っている場合は、種類の比較より先にそこを確かめたほうが早いです。電気圧力鍋がいらない・めんどくさいと言われる理由と向く人の条件を整理した記事で、生活に合うかどうかを見てから戻ってきてくださいね。
光熱費を計算で比べる
ここからは光熱費を計算で比べます。先に結論を言うと、差は数円です。光熱費では決まりません。
計算に使う数値としては、都市ガスについて東京ガスの公式FAQに「東京ガスネットワークでは13Aの都市ガスをお届けしています」と記載があるので、その熱量を前提に置きます。角煮1回で試算すると、ガス圧力鍋は昇圧が強火4.2kW×5分、加圧が弱火1.0kW×30分。電気圧力鍋は昇圧が800W×15分、加圧が800W断続(平均約400W)×30分で、減圧はどちらも加熱なしです。この条件で計算した差が数円ということですね。1回あたり数円なら、年間で数百円の世界。ここで選ぶ理由にはなりません。
この章では、計算に使う数値と式、角煮1回の試算、そして差が数円にとどまる理由を見ていきます。
計算に使う数値と式
比較するには、ガスと電気を同じ単位に揃える必要があります。使うのは次の数値です。
都市ガスについては、東京ガスの公式FAQに「東京ガスネットワークでは13Aの都市ガスをお届けしています。1m3あたりの標準熱量(※)は45MJ(メガジュール)です」と記載されています(出典:東京ガス よくあるご質問)。つまり都市ガス1立方メートル=45MJ。
電気のほうは、1kWhが3.6MJです。ここから換算式が作れます。
光熱費を出す2つの式
電気:電気代(円)= 消費電力(kW)× 時間(h)× 電力単価(円/kWh)
ガス:ガス代(円)= コンロの消費熱量(kW)× 時間(h)× 3.6 ÷ 45 × ガス単位料金(円/m³)
ガス側の「× 3.6 ÷ 45」は、kWhをMJに直してから都市ガスの立方メートルへ換算する部分です。
単価は地域と契約で変わるので、ここでは目安として電力単価を31円/kWh、ガスの単位料金を150円/m³と置いて計算します。この2つの数字は必ずご自身の検針票で置き換えてください。ガスの単位料金は原料費の変動で毎月動きます。
ガスコンロの火力は、標準的なバーナーで4.2kW前後です。ただし圧力鍋の調理でこの火力を使うのは沸騰させるまでで、加圧中は弱火に落とします。弱火はおおむね1kW前後と見ておきます。
この式で大事なのは、比べているのが「使ったエネルギーの量」だという点です。ガスも電気も、最終的には食材を温める熱に変わります。単位が違うだけで、やっていることは同じ。だから熱量に揃えてしまえば、あとは単価を掛けるだけで比較できるわけですね。
ひとつ補足すると、この計算では熱効率を無視しています。ガスコンロは炎の熱の一部が鍋の横へ逃げるので、実際に鍋へ入る割合は5〜6割程度と言われます。電気圧力鍋は鍋を直接囲んで加熱するため、逃げる分は少なめ。効率まで含めると、電気式の側がもう少し有利に働きます。ただし本記事の結論(差はわずか)は変わらないので、話を簡単にするためにここでは触れないでおきます。
角煮1回でいくらかかるか試算する
では実際に計算してみましょう。豚の角煮を、ガス式と電気式それぞれで作る場合です。
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| 工程 | ガス圧力鍋 | 電気圧力鍋 |
|---|---|---|
| 昇圧 | 強火4.2kW × 5分 | 800W × 15分 |
| 加圧 | 弱火1.0kW × 30分 | 800W断続(平均約400W)× 30分 |
| 減圧 | 加熱なし(0kW) | 加熱なし(0kW) |
| 使用エネルギー | 0.35 + 0.50 = 0.85kWh相当 | 0.20 + 0.20 = 0.40kWh |
ここから費用を出します。
ガス式:0.85kWh相当 × 3.6 = 3.06MJ。3.06 ÷ 45 = 0.068m³。0.068 × 150円 = 約10円。
電気式:0.40kWh × 31円 = 約12円。
差はおよそ2円。月に4回作っても8円、年に48回作っても100円弱です。光熱費で選ぶ理由がないという結論が、ここから出てきます。
電気式そのものの電気代を料理別に細かく見たい場合は、電気圧力鍋の電気代を計算式と料理別の試算表で検証した記事に角煮・カレー・玄米・甘酒までの目安を並べてあります。
もちろん、この試算は前提を置いたうえでの目安です。コンロの火力、鍋の大きさ、加圧時間、単価、どれが変わっても結果は動きます。ただ、桁が変わるような差にはならないという点は、どの前提でも共通します。それぞれの消費エネルギーが同じオーダーだからです。
ふつうの鍋で作った場合と比べる
比較の幅を広げるために、圧力をかけずに普通の鍋で角煮を作る場合も計算しておきます。この場合、弱火で2時間ほど煮込むことになります。1.0kW × 2時間 = 2.0kWh相当。ガス代に直すと 2.0 × 3.6 ÷ 45 × 150 = 約24円。
つまり圧力鍋を使うと、ガス式でも電気式でも光熱費はおよそ半分から6割に減る計算になります。電気とガスのどちらを選ぶかより、圧力鍋を使うかどうかのほうが、光熱費への影響はずっと大きいわけですね。年に48回作るなら、約600円の差になります。
差は数円|光熱費では決まらない
数円の差をどう受け取るか。ここが判断の分かれ目です。
年間の差が100円程度なら、本体価格の差のほうがはるかに大きくなります。ガス圧力鍋は数千円から2万円程度、電気圧力鍋は1万円台から3万円台。10年使っても光熱費の差では本体価格の差を埋められません。
ここまでの試算はすべて、単価と時間という2つの前提の上に成り立っています。だから前提が変われば結果も変わりますが、変わり方には規則性があります。電気の単価が上がれば電気式が不利になり、ガスの単価が上がればガス式が不利になる。どちらか一方だけが極端に上がらない限り、順位は入れ替わっても差の大きさは変わりません。数円の差が数十円になることはない、と考えておいて差し支えありません。
数字にしてみましょう。本体価格の差が1万円あったとして、光熱費の差が年100円なら、埋まるまでに100年かかる計算になります。光熱費で本体価格の差を回収するという発想は、この道具では成立しません。逆に言えば、光熱費を気にせず好きなほうを選んでよい、ということでもありますね。
だとすれば、比べるべきは費用ではなく使い方です。次の章で判断軸を整理しますが、その前にひとつだけ補足しておきます。
電気圧力鍋には、光熱費には表れないコストがあります。設置スペース、洗う部品の数、そして本体の重さです。逆にガス圧力鍋には、コンロを1口占有するというコストがあります。数字に出ないコストのほうが、日々の満足度を左右することは多いですね。
洗い物の負担は、方式より機種で決まる部分が大きいところ。どの部品が外せて、どこまで水洗いできるかは製品ごとに違います。手入れの楽さで絞り込みたいなら、電気圧力鍋のお手入れを簡単にするコツと、洗うパーツ・手入れが楽な機種を整理した記事で見るポイントを確認しておくとよいですよ。
どちらを選ぶかの判断軸
光熱費で決まらないなら、何で決めるのか。答えは時間の使い方です。夕方の1時間をキッチンに縛られたくないなら、電気式一択になります。
電気式は火加減を機械が見るので、セットしてしまえば別のことができるんですよね。共働きや子育て中で、夕食の準備と他の家事が重なる家庭ほど効いてきます。逆にガス式が向くのは、1つの鍋で幅広く使いたい人。圧力調理だけでなく普通の鍋としても使えますし、加圧が速いので短時間で仕上げたい場面にも強い。そして意外と現実的なのが併用という選択肢で、両方あると調理の並列度が上がります。片方で煮込みながら、もう片方で下ゆでを進められるわけですね。
この章では、電気式が向いている人、ガス式が向いている人、そして併用という選択肢を見ていきます。
電気式が向いている人

電気圧力鍋が答えになるのは、次のような場合です。
調理中に別のことをしたい人。これが最大の理由になります。夕方の1時間をキッチンに縛られたくないなら、電気式一択です。
失敗したくない人。火加減が自動なので、腕前や当日の集中力に結果が左右されにくくなります。圧力鍋を使ったことがない方の1台目としても、扱いやすい選択ですね。
予約調理を使いたい人。朝セットして帰宅時に完成、という使い方はガス式ではできません。ただし予約は対応メニューが限られることが多いので、購入前の確認は必要です。
低温調理や発酵メニューを試したい人。温度を一定に保つ調理は、機械制御の独壇場です。甘酒、ヨーグルト、温泉卵といった料理はガス式では再現しづらいところ。
低温調理や自動メニューが実際にどこまでできるのかは、機種の仕様を見るのが早いです。パナソニックNF-PC400の公式スペックと他社機との違いを検証した記事で、2段階の低温調理や自動20メニューの中身を確認できます。
コンロの口数が足りない人。電気圧力鍋はコンセントさえあれば使えるので、コンロを空けたまま1品増やせます。
もうひとつ挙げるなら、キッチンに立つ時間そのものを減らしたい人です。火加減を見る必要がないというのは、単に楽というだけでなく、調理と他の家事を並行できるということ。小さな子どもがいる家庭や、帰宅が遅い家庭では、この差が生活の質に直結します。
ここまでの条件に当てはまるなら、電気式が候補です。低温調理や予約まで含めて使いたいなら機能の広い機種、まずは圧力調理を試したいなら容量重視の機種、と目的で選び分けられます。価格帯を掴むために、2つの容量帯を並べておきますね。
調理容量と対応メニューは機種によって違います。価格・在庫とあわせて、購入前に各ショップと公式サイトでご確認ください。
ガス式が向いている人
一方、ガス圧力鍋のほうが合うのはこういう場合です。
とにかく早く仕上げたい人。昇圧が速く、加圧時間も短く済みます。帰宅してから作り始めて食卓に出す、という進め方ならガス式が有利。
置き場所を増やしたくない人。使わないときは食器棚にしまえます。電気圧力鍋のように据え置きの場所を確保する必要がありません。
1つの鍋で幅広く使いたい人。圧力をかけない通常の鍋としても使えるので、道具の総数を減らせます。
初期費用を抑えたい人。同じ容量帯なら、ガス式のほうが安価な選択肢が多くあります。
加えて、停電時にも使えるという点もガス式の利点です。災害時にカセットコンロがあれば調理を続けられますし、限られた燃料で効率よく火を通せる圧力鍋は、こういう場面でこそ生きます。日常の便利さとは別の価値ですが、備えとして考えるなら判断材料のひとつになりますね。
ガスコンロがIHではない人。念のため触れておくと、ガス圧力鍋の多くはIH対応の底構造を持っていますが、対応の有無は製品ごとに違います。IHコンロの家庭では、購入前に必ず対応を確認してください。
あわせて、収納の考え方も違います。ガス圧力鍋は鍋なので、他の鍋と同じ場所にしまえます。中に別の調理器具を入れて収納することもできるので、実質的な占有スペースはさらに小さくなります。電気圧力鍋は本体に電装部があるぶん、上に物を積めませんし、コンセントの位置も選びます。キッチンの収納が飽和している家庭では、この差は小さくありません。
ガス式を選ぶなら、まず確認したいのがIH対応の有無です。ガス火とIHの両方に対応した機種なら、引っ越しやコンロの入れ替えがあっても使い続けられます。長期保証が付く製品を選んでおくと、パッキン交換などの相談もしやすくなりますよ。
容量や対応熱源は製品ごとに違います。ご自宅のコンロの種類を確認したうえで、購入前に各ショップでご確認ください。
併用という選択肢
意外と現実的なのが、両方持つという選択です。
すでにガス圧力鍋を持っている家庭が、電気圧力鍋を追加するケースはよくあります。理由は役割が違うから。週末のまとめ調理と予約は電気式、平日の急ぎはガス式という分担ができます。
逆に、電気圧力鍋を持っている家庭がガス圧力鍋を足すこともあります。電気式でコンロを空けたまま煮込みを進め、同時にガス式で別の一品を作る。調理の並列度が上がるわけですね。
併用するなら、役割を明確に分けておくのがコツです。「煮込みは電気、下ゆでと急ぎはガス」というように使い分けを決めておくと、どちらを出すか迷いません。決めずに両方置いておくと、結局よく使うほうだけが残って、もう片方が食器棚の奥に眠ることになります。
ただし置き場所は倍必要になります。キッチンの余裕と相談してください。どちらか1台に絞るなら、自分が「時短」という言葉でどちらを求めているかを、もう一度確かめるのがいちばん確実です。
圧力調理そのものではなく、かき混ぜまで自動化したいという方は、別の道具も候補になります。電気圧力鍋とホットクックの違いを向き不向きから比較した記事もあわせて見てみてください。容量から選びたい場合は、4人家族なら3〜4L級という目安を調理容量とカレー皿数から整理した記事が参考になります。
電気圧力鍋と圧力鍋の違いに関するよくある質問(FAQ)
ガス圧力鍋のほうが圧力が高いというのは本当ですか?
機種によります。ガス式には高圧設定を持つものが多く、100kPa前後の値を掲げる製品もあります。一方で電気式にも95kPaクラスの機種があり、単純に「ガスのほうが高い」とは言えません。比べるなら、それぞれの取扱説明書や仕様表に記載された使用最高圧力を突き合わせてください。数値が公表されていない製品どうしを印象で比べるのは避けたほうがよいですね。
プロパンガスの場合、計算はどう変わりますか?
熱量も単価も都市ガスとは違うので、式の数値を入れ替える必要があります。プロパンガス(LPガス)は1立方メートルあたりの熱量が都市ガスより大きく、単価も供給事業者ごとに幅があります。契約している事業者の資料で熱量と単価を確認し、この記事の式の「45MJ」と「150円」の部分を置き換えて計算してください。地域や事業者による差が大きい分野なので、一般論での比較は当てになりません。
電気圧力鍋の消費電力が大きいと、ブレーカーが落ちませんか?
800W前後というのは、電子レンジやドライヤーより小さい部類です。ただしキッチンは1つの回路に複数のコンセントが並んでいることが多く、炊飯器や電気ケトルと同時に使うと合計で容量を超えることがあります。壁のコンセントに直接差し、同時使用の組み合わせに気をつけてください。動き出すときに一時的に大きな電流が流れる機種もあるので、細い延長コードの使用は避けたほうが安全です。
加圧時間はガス式と電気式で同じレシピが使えますか?
そのまま使えるとは限りません。圧力値が違えば同じ加圧時間でも仕上がりが変わりますし、昇圧と減圧にかかる時間も違います。とくに減圧の速さは食材の火の通りに影響します。基本は、使っている機種の取扱説明書やレシピブックの時間に合わせるのが確実です。他方式のレシピを流用するときは、短めから試して様子を見るのが安全ですね。
ガス式のほうが手入れは楽ですか?
部品の数という意味では、ガス式のほうが少ない傾向があります。本体は鍋そのものなので丸洗いでき、ふたとパッキン、おもりを洗えば済むことが多いところ。電気圧力鍋は本体に電装部があるため、内鍋を外して洗い、本体は拭くという手順になります。ただし洗う部品の数は機種差が大きいので、方式だけで決めつけないほうがよいかなと思います。
まとめ|電気圧力鍋と圧力鍋は光熱費では選べない
要点を整理します。
電気圧力鍋とガス圧力鍋は、原理は同じでも火加減を担う主体が違います。ガス式は人が調整し、電気式は機械が保つ。この違いが、時短の意味を分けます。調理時間そのものはガス式が短く、拘束される時間は電気式が圧倒的に短いわけですね。
光熱費は、都市ガスの標準熱量45MJ/m³と電気の3.6MJ/kWhを使えば同じ土俵で比べられます。角煮1回で試算すると、ガス式が約10円、電気式が約12円。差はおよそ2円で、年に48回作っても100円弱にしかなりません。本体価格の差のほうがはるかに大きいので、光熱費は判断材料になりません。
選ぶ軸は生活のほうにあります。調理中に別のことをしたい、予約を使いたい、低温調理を試したい、コンロを空けたいなら電気式。とにかく早く仕上げたい、置き場所を増やしたくない、1つの鍋で幅広く使いたい、初期費用を抑えたいならガス式です。
まずは「自分が求めている時短はどちらか」を言葉にしてみてください。加圧の速さなのか、キッチンから離れられることなのか。そこがはっきりすれば、答えは自然に出ますよ。なお料金単価や製品の仕様は変更されることがあります。正確な情報は公式サイトとご契約の検針票でご確認ください。安全に関わる最終的な判断は、販売店やメーカーへご相談ください。