洗濯機の掃除は何ヶ月に1回?部位ごとの頻度の目安
「洗濯機の掃除は月1回」という言葉は、いろいろな場所で目にします。ただ、この「月1回」が指しているのは洗濯機全体ではありません。洗濯槽だけの話です。
洗濯機には手入れすべき場所が7〜8か所あって、それぞれ推奨される間隔がまったく違います。毎回やるべきものもあれば、3か月に1回でよいものもある。この違いを知らずに槽洗浄だけを月1回続けていると、においが取れないまま何年も過ごすことになりかねません。
この記事では、メーカーが公表している部位ごとの頻度を1枚の表に整理して、生活パターンによって間隔を詰めるべきケースと延ばせるケースを示します。最後に、全部やる時間がない人向けの最低ラインもまとめました。
- 洗濯機のどこを何か月に1回手入れすればよいか
- 部位ごとに間隔が違う理由と、放置したときに出る症状
- 自分の生活パターンで頻度を詰めるべきか延ばせるか
- 時間がないときに最低限やるべき3つの作業
洗濯機の掃除は部位ごとに間隔が違う
洗濯機の手入れを「月1回の槽洗浄」だけで済ませている人は多いはずです。実際、いちばん手間がかかるのは槽洗浄なので、そこを終えると全体をやり切った気分になります。ところが、においやカスの原因になる場所は槽以外にもあり、しかもそれぞれ汚れがたまる速さが違います。まずはなぜ間隔がばらばらなのか、その理屈から押さえておきましょう。
汚れが毎回たまる場所と、時間をかけて層になる場所では、手を入れるタイミングが同じでいいはずがありません。まずはその前提から確認していきます。
「月1回」で語られているのは洗濯槽だけ

洗濯機の掃除頻度として広く知られている「月1回」という数字は、洗濯槽の槽洗浄を指しています。
この数字の根拠はメーカーの案内にあります。パナソニックは月1回の槽洗浄と、週1回の槽乾燥運転を組み合わせる方法を示しています(出典:Panasonic 洗濯槽の黒カビ 予防と対策)。日立はもう少し細かく、自動おそうじ機能を設定していない機種で1〜2ヶ月に1回、自動おそうじ機能を設定している機種やらくメンテ搭載機種で3〜4ヵ月に1回としています(出典:日立の家電品 洗濯槽洗浄と洗濯槽乾燥をする頻度は、どのくらいですか?)。
つまり、同じ「洗濯槽」でも機種の機能によって推奨間隔は倍近く変わります。自動おそうじ機能というのは、洗濯のたびに槽の裏側へ水を吹きかけて汚れの付着を抑えるもので、これがあるかないかで汚れの蓄積速度が違ってくるためです。
ここで問題になるのが、この「月1回」を洗濯機全体の掃除頻度だと受け取ってしまうケースです。糸くずフィルターを月1回しか掃除しない、排水口は1年以上触っていない、という状態でも「ちゃんと月1回掃除している」という認識になってしまいます。
実際には、糸くずフィルターは洗濯のたびに手入れするものとされています。日立はタテ型の糸くずフィルターについて、洗濯や洗濯〜乾燥運転のあと毎回お手入れをするよう案内しています。月1回では、30回分の糸くずがたまった状態で1回掃除している計算になります。
逆のパターンもあります。排水口を毎週外して洗っている、という人がいたとしたら、それは頻度としては過剰です。日立は排水口について1ケ月に一回のお手入れをすすめており、週1回では手間に見合いません。
手入れの間隔は、汚れがたまる速さに合わせて決まっています。だから場所ごとに違う。この前提を持っておくと、次に説明する早見表が理解しやすくなります。
間隔を決めているのは汚れがたまる速さ
では、なぜ場所によって汚れがたまる速さが違うのでしょうか。理由は3つあります。
1つめは、汚れが「通過する場所」か「留まる場所」かの違いです。糸くずフィルターは、洗濯のたびに水と一緒に流れてきた糸くずを受け止める部品です。1回の洗濯で必ず何かがたまります。一方、洗濯槽の裏側は水が行き来する場所ではあるものの、汚れが層になるまでには時間がかかります。
2つめは、乾く場所か濡れたままの場所かという違いです。洗剤の投入口は、洗濯が終わったあとも水が残りやすい構造をしています。少量の水が残り、そこに洗剤の成分が混ざったまま数日置かれる。これがピンク色のぬめりや、カビの発生につながります。ふたを開けておけば乾く洗濯槽とは条件が違うわけです。
3つめは、外気とつながっているかどうかです。排水口は下水管とつながっているため、洗濯機由来の汚れだけでなく、外側から来る問題も抱えています。排水トラップの水(封水)が切れれば下水のにおいが上がり、放置すれば害虫の侵入経路にもなります。
この3つの条件を当てはめると、部位ごとの頻度は自然に説明がつきます。毎回何かがたまる場所は毎回。濡れたまま置かれる場所は数か月に1回。外部とつながる場所も数か月に1回。そして時間をかけて層になる場所は1〜2か月に1回。
さらに、汚れがたまる速さは家庭によっても変わります。1日に3回洗濯する家庭と、週2回の家庭では、同じ機種でも糸くずの量は10倍以上違ってきます。メーカーの案内はあくまで平均的な使い方を想定した目安であり、自分の使用量に合わせた調整が必要です。
調整の判断材料になるのが、症状が出るタイミングです。前回の掃除から何日目で黒いカスが出たか、何日目でにおいが気になり始めたか。これを一度記録しておけば、自分の家に合った間隔が見えてきます。
記録といっても難しく考える必要はありません。槽洗浄をした日をカレンダーに丸で囲んでおくだけで、次に症状が出たときに何日空いたかが分かります。
部位別の頻度早見表
ここからは具体的な数字を並べます。メーカーが公表している推奨間隔をもとに、洗濯機まわりの手入れを「毎回」「週1回」「1〜2か月に1回」「2〜3か月に1回」の4段階に分類しました。所要時間も併記しているので、どこから手をつけるかの判断に使ってください。なお、数字は日立とパナソニックの案内を基準にしています。
機種によって推奨が異なる部分もあるため、最終的にはお使いの洗濯機の取扱説明書が優先されます。ここでの数字は、説明書が手元にないときの出発点として使ってください。
毎回やることはフィルターとふた開け

手入れの中で最も頻度が高いのが、フィルター類です。
タテ型の糸くずフィルター(ゴミ取りネット)は、洗濯のたびに手入れをします。日立の案内では、糸くずフィルターのくぼみに指を入れてつめを押し下げながら手前に倒して取り出し、内部に付着した糸くずを取り除いて水洗いする、という手順が示されています。所要時間は30秒ほど。
ドラム式には乾燥フィルターがあり、こちらは乾燥運転を使うたびに手入れをします。目詰まりすると乾燥時間が延びたり、乾きムラが出たりするため、性能に直結する部品です。
ドラム式の排水フィルター(糸くずフィルター)は、メーカーによって管理方法が違います。パナソニックは週1回を目安として案内しており、日立のドラム式では洗濯機を15回運転するたびに手入れの表示が出る機種があります。どちらの方式かは取扱説明書で確認してください。こちらは洗濯機の下部にあり、外すと水が出てくるので、タオルを敷いてから作業してください。
そして、費用も道具も要らない「毎回」の作業がもうひとつあります。洗濯が終わったらふたを開けておくことです。日立はタテ型について、ふたを開けて自然乾燥させることで槽乾燥の代用ができると説明しています。
この4つは、いずれも1回あたり1分もかかりません。にもかかわらず、槽洗浄の効果を左右します。糸くずフィルターが詰まっていれば排水が滞り、ふたを閉めたままにすれば湿気がこもってカビが育つからです。
逆に言えば、毎回の作業を守っている家庭では、月1回の槽洗浄で十分に間に合うことが多くなります。手入れの頻度は、下位の作業をどれだけ守っているかで上位の作業の負担が変わる構造になっています。
小さな習慣にしてしまうのが確実です。洗濯物を取り出す動作の続きでフィルターを見る、干し終わったらふたを開けに戻る。作業として意識しないところまで落とし込めば、忘れることはなくなります。
取り付けの確認も忘れないでください。日立は、糸くずフィルターを確実に取り付けないと運転中に外れる場合があること、そして糸くずフィルターを外した状態で洗濯をしないことを注意点として挙げています。外れたまま運転すると、糸くずが排水経路へ直接流れ込み、詰まりの原因になります。
目詰まりがひどいときは、日立の案内どおり歯ブラシなどで洗ってください。ネットの網目に皮脂が入り込むと、振るだけでは落ちません。手で触ってぬめりを感じるようなら、水洗いだけでは不十分な段階に来ています。
月1回前後でやるのは洗濯槽と排水口
次の段階が、1〜2か月に1回の手入れです。ここには洗濯槽と排水口が入ります。
洗濯槽の槽洗浄は、前述のとおり自動おそうじ機能の有無で1〜2ヶ月に1回、または3〜4ヵ月に1回。パナソニックは月1回という示し方をしています。所要時間はコースによりますが、3時間コースか11時間コースを選ぶことになるため、スタートしてから終わるまでの時間の確保が必要です。
排水口は、日立が1ケ月に一回のお手入れをすすめています(出典:日立の家電品 排水口のお手入れ方法を知りたいです。(タテ型))。手順は、脱水運転で洗濯槽の水を抜き、排水ホースを外し、格子状のふたと中のパーツを取り外して洗い、最後に排水トラップへ水を注いでからホースを戻す、という流れです。
作業時間は15〜30分程度。洗濯機を動かす必要があるかどうかで大きく変わります。防水パンの上に洗濯機が乗っていて、排水口が本体の下に隠れている設置では、手が入らないこともあります。
ここで重要なのが、最後の「排水トラップに水を注ぐ」という工程です。トラップにたまっている水は、下水管のにおいを止めるふたの役目を持っています。掃除して水を抜いたまま戻すと、下水のにおいが上がってくることになります。
また、日立は工具などで無理に外そうとするとパーツが破損する可能性があるため、手で外せるパーツだけ外すよう注意しています。固くて回らない部品を力任せに扱うと、水漏れにつながります。
この2つは、どちらも「サボると症状が出るまでに時間がかかる」種類の手入れです。1回飛ばしても翌日に何かが起きるわけではありません。だからこそ後回しになりやすく、気づいたときには黒いカスや下水臭という形で表面化します。
カレンダーやスマートフォンのリマインダーに登録しておくのが現実的でしょう。月初の週末、といった形で固定してしまえば、記憶に頼らずに済みます。
ちなみに、排水口の掃除と槽洗浄は同じ日にやらないほうが効率的です。槽洗浄で剥がれた汚れが排水口に流れ込むため、順番としては「排水口を掃除してから槽洗浄」か、「槽洗浄が終わってから排水口を掃除」のどちらかになります。同時に始めると二度手間です。なお、定期的に手入れしている状態なら剥がれる汚れの量が少ないので順序はどちらでも構いませんが、長期間放置していた場合は後述のとおり下流から先に片付ける必要があります。
排水ホースの内側も、同じタイミングで確認しておくと安心でしょう。ホースを外したときに内側を覗いて、黒いぬめりが厚く付いているようなら、ホース側の掃除も必要な段階です。
洗濯槽のほうは、間隔よりも1回にかかる時間が計画を左右します。コースごとの所要時間は槽洗浄コースの手順と所要時間をまとめた記事で先に確かめておくと、予定が立てやすいですよ。
2〜3か月に1回は洗剤投入口を洗う
最後の段階が、洗剤や柔軟剤の投入口まわりです。
日立は自動投入部について、2〜3か月に一度を目安にお手入れをするよう案内しています(出典:日立の家電品 自動投入部のお手入れ方法を知りたいです。(ドラム式))。自動投入タンクを取り外して各パーツを洗い、タンクに約40℃のお湯を入れて洗濯機にセットし、お手入れ運転を行う、という手順です。
手動で洗剤を入れるタイプの洗剤ケースについても、洗剤や柔軟剤が付着していたり汚れていたりしたら水で洗い流すこととされ、汚れがひどいときは約40℃のお湯に約10分浸してから歯ブラシなどで掃除する方法が案内されています。
注意点として、日立はパッキンについて歯ブラシなどで強くこすらないよう明記しています。パッキンが傷むと液漏れの原因になるためです。汚れを落としたい一心で力を入れると、部品を痛めることになります。
この場所を放置すると出るのが、ピンク色のぬめりです。赤カビと呼ばれることもありますが、正体は酵母の一種で、湿った場所に発生します。黒カビより早い段階で現れるため、投入口にピンクの汚れが見えたら、手入れの間隔が長すぎるという合図になります。
自動投入機能を使っている場合は、洗剤の詰まりという別の問題も出てきます。液体洗剤は水分が蒸発すると濃くなって固まるため、経路が細くなり、設定した量が出なくなることがあります。「洗剤が減らない」「洗浄力が落ちた気がする」という症状は、ここが原因の場合があります。
柔軟剤の投入口は、洗剤よりも汚れが残りやすい傾向があります。柔軟剤は油分を含むので、水で流れにくいためです。においが強く残る場所でもあるので、2〜3か月を待たずに気になったら洗ってしまって構いません。
所要時間は10〜20分程度。取り外せる部品を洗って乾かすだけなので、洗濯機を動かす必要はありません。排水口の掃除より手軽です。
洗ったあとの乾燥も大切です。濡れたまま戻すと、せっかく落としたぬめりがすぐに戻ります。取り外した部品は水気を拭き取り、しばらく置いて乾かしてからセットしてください。
ドラム式では、洗剤投入口だけでなくドアのゴムパッキンの溝も同じ性質を持っています。水が残りやすく、黒い点状のカビが出やすい場所です。ここは道具が要らず、使い終わったあとに乾いた布でひと拭きするだけで状態が変わります。週1回を目安に習慣化しておくとよいでしょう。
→ 横にスクロールできます
| 部位 | 頻度の目安 | 所要時間 | 放置したときに出る症状 |
|---|---|---|---|
| 糸くずフィルター(タテ型) | 洗濯のたび | 約30秒 | 糸くずが衣類に付く・排水が遅くなる |
| 乾燥フィルター(ドラム式) | 乾燥運転のたび | 約30秒 | 乾燥時間が延びる・乾きムラ |
| ふたを開けて乾かす | 洗濯のたび | 数秒 | カビの発生が早まる |
| 排水フィルター(ドラム式) | 週1回、または運転15回ごと(メーカーによる) | 約5分 | 排水エラー・においの発生 |
| 洗濯槽(槽洗浄) | 1〜2か月に1回(自動おそうじ付きは3〜4か月) | 3〜11時間 | 黒いカス・カビ臭 |
| 排水口・排水トラップ | 1か月に1回 | 15〜30分 | 下水のにおい・つまり・水漏れ |
| 洗剤・柔軟剤の投入口 | 2〜3か月に1回 | 10〜20分 | ピンクのぬめり・自動投入の詰まり |
| ドアパッキンの溝(ドラム式) | 週1回の拭き取り | 約1分 | 黒い点状のカビ・におい |
頻度を詰めるべき条件と延ばせる条件
ここまでの数字は、あくまで平均的な使い方を前提にした目安です。実際には、家族の人数、洗濯の回数、洗濯機の置き場所、機種の機能によって、汚れがたまる速さは大きく変わります。ここでは間隔を詰めたほうがよいケースと、延ばしても問題が出にくいケースを整理します。自分の環境がどちらに寄っているかを確認してみてください。
調整の幅は決して小さくありません。条件によっては、標準の目安の半分になることも、倍になることもあります。
洗濯の回数が多い家庭は間隔を詰める
いちばん影響が大きいのが、洗濯の回数です。
汚れの蓄積量は、おおまかには洗濯回数に比例します。週2回の家庭と、1日2回の家庭では、月あたりの回数が8回と60回で7倍以上の差になります。同じ「月1回の槽洗浄」でも、汚れの量はまったく違うわけです。
計算してみましょう。仮に「洗濯30回ごとに1回の槽洗浄」を基準に置くとすると、週2回の家庭では 30 ÷ 8 ≒ 3.75、つまり約3〜4か月に1回で足ります。1日2回の家庭では 30 ÷ 60 = 0.5 で、月2回のペースが必要という計算になります。
もちろん、これは単純化した目安にすぎません。それでも「家族が増えたのに掃除の間隔を変えていない」という状態が、におい発生の原因になりうることは見えてきます。
洗濯物の内容によっても変わります。運動部の練習着、作業着、乳幼児のタオル類など、皮脂や汚れが多いものを頻繁に洗う家庭では、洗剤カスも増えます。カビのエサになる成分が多いぶん、蓄積は速くなります。
柔軟剤を毎回たっぷり使う場合も同様です。柔軟剤は繊維をコーティングする成分なので、洗濯槽や投入口にも残ります。規定量を守ることが、掃除の間隔を延ばすことにつながります。
お風呂の残り湯を使っている家庭も、間隔を詰めたほうが安全です。残り湯には皮脂や雑菌が含まれているため、槽の中に持ち込む汚れの量が増えます。すすぎは水道水に切り替える設定にしておくと、影響を減らせます。
該当する項目が多いほど、標準の目安より短い間隔を設定してください。判断に迷うときは、黒いカスやにおいが出るより前に1回入れる、という考え方でよいでしょう。
洗濯物を洗濯機の中にためておく習慣がある家庭も、間隔を詰める対象になります。脱いだ衣類を洗濯槽に入れておくと、汗や皮脂の水分で槽の中の湿度が上がり、カビが育つ条件がそろってしまうためです。洗濯かごを別に用意して、洗う直前に投入するほうが槽の状態は保てます。
ペットを飼っている家庭では、毛が糸くずフィルターに大量にたまります。フィルターの手入れ頻度が上がるだけでなく、毛が排水経路に流れ込むぶん、排水口の掃除も早めに回したほうが安全でしょう。
自動おそうじ機能があるなら延ばせる
逆に、間隔を延ばせる条件もあります。
最も明確なのが、自動おそうじ機能の有無です。日立は自動おそうじ機能を設定している機種やらくメンテ搭載機種について3〜4ヵ月に1回としており、設定していない場合の1〜2ヶ月に1回と比べて2倍以上の差があります。
この機能は、洗濯のたびに槽の裏側へ水を吹きかけて、汚れが定着する前に流してしまうものです。汚れを落とすのではなく、付着させないという発想の予防機能にあたります。
注意したいのは、機能が付いていても設定がオフになっているケースです。省水量を優先する設定にしていると自動おそうじが働かない機種もあるため、購入時のままにしている場合は一度確認してみてください。
槽乾燥を習慣にしている場合も、間隔を延ばせる方向に働きます。カビの繁殖には水分が必要なので、毎回乾かしていれば増殖速度は落ちます。ドラム式では、日立が洗濯運転終了後に毎回槽乾燥をすることをすすめています。
洗濯機の置き場所も条件のひとつです。浴室に隣接した洗面所で、換気が弱く湿気がこもる場所に置かれている洗濯機は、乾燥した場所にあるものより条件が悪くなります。入浴後に換気扇を回す習慣があるかどうかで差が出ます。
洗剤を規定量で使っているかどうかも効いてきます。パナソニックは、洗剤を入れ過ぎると溶け残ってカビの栄養分になると指摘しています。多く入れれば汚れが落ちるという発想を改めるだけで、掃除の負担は軽くなります。
これらの条件がそろっている家庭なら、標準の目安より長い間隔でも問題が出にくくなります。ただし延ばした結果として黒いカスが出たなら、その時点で元に戻してください。
ここまでが、間隔を延ばせる条件の整理です。延ばす判断は、症状が出ていないことを確認したうえで行ってください。
もうひとつ、乾燥機能を毎回使っている場合も条件としては有利に働きます。乾燥運転では槽の内部が高温の風で乾かされるため、水分が残りにくくなるためです。ただし乾燥フィルターの手入れが毎回必要になるので、別の手間が増える点は考慮してください。
判断に迷うときの決め方
条件が複数当てはまって、詰めるべきか延ばすべきか分からない。そういうときの決め方を用意しておきます。
基本の考え方は「症状が出る前の間隔に合わせる」です。前回の槽洗浄から何日目で黒いカスが出たかを記録し、その日数の8割程度を次回の間隔に設定します。50日目で症状が出たなら、次は40日を目安にする、という具合です。
症状が出ていないなら、いまの間隔を維持して構いません。問題が起きていないのに間隔を詰めても、洗剤代と時間が増えるだけです。
季節による調整も有効です。梅雨から夏にかけては湿度と気温が上がり、カビが増えやすくなります。この時期だけ間隔を詰め、冬は延ばす、という運用でも管理できます。
引っ越しをした場合は、いったん標準の目安に戻してください。置き場所の湿気や換気の条件が変わると、それまでの経験値が当てにならなくなります。
中古で洗濯機を譲り受けた場合や、しばらく使っていなかった洗濯機を再稼働させる場合は、後述する巻き返しの手順(糸くずフィルター→排水口→槽洗浄→洗剤投入口)を一通り行ってから、間隔の設定を始めてください。前の使用者の使い方は分からないので、初期状態をそろえる意味があります。
なお、ここで示した数字はいずれも一般的な目安です。機種によって推奨は異なるため、正確な情報はお使いの洗濯機の取扱説明書をご確認ください。
間隔を決める3つの質問
①1日に何回洗濯しますか(3回以上なら詰める)
②自動おそうじ機能はオンになっていますか(オンなら延ばせる)
③洗濯のたびにふたを開けていますか(開けているなら延ばせる)
全部やる時間がないときの最低ライン
ここまで7か所の手入れを紹介してきましたが、すべてを推奨どおりの間隔で続けるのは簡単ではありません。仕事や育児で時間が取れない時期もあります。そこで、どうしても時間がないときに何を優先すべきかを決めておきましょう。優先順位の基準は「サボったときの被害の大きさ」です。
あわせて、しばらく手入れをしていなかった洗濯機を立て直す順番も示します。実はこの順番を間違えると、掃除したのに排水エラーで止まる、という結果になります。
3つだけ守れば大崩れしない

時間がないときに残すべき作業は、次の3つです。
1つめは、糸くずフィルターの手入れ。所要時間30秒でありながら、ここが詰まると排水が滞り、洗濯物に糸くずが付き、最終的には排水エラーで洗濯機が止まります。費用も道具も要らず、効果が最も分かりやすい作業です。
2つめは、洗濯のたびにふたを開けること。作業時間は数秒。これだけで槽の内部が乾き、カビの繁殖速度が落ちます。槽洗浄の間隔を延ばすうえで、いちばん費用対効果が高い習慣と言えるでしょう。
3つめは、2か月に1回の槽洗浄。3時間コースで構いません。就寝前や外出前にスタートしておけば、待ち時間は生活の邪魔になりません。
この3つを守っていれば、黒いカスが大量に出る状態まで悪化することはまれです。逆に、排水口や投入口の掃除を数か月飛ばしても、すぐに深刻な事態にはなりません。においが出てきた時点で対処すれば間に合います。
優先順位をつける基準は、症状が出るまでの速さと、放置したときの被害額です。糸くずフィルターの詰まりは数週間で症状が出て、放置すれば修理が必要になることもあります。投入口のぬめりは数か月かけて進み、掃除すれば元に戻ります。
もうひとつの基準が、作業時間あたりの効果です。30秒の作業と30分の作業を同じ「1回」として扱うと判断を誤ります。短時間で済む作業を優先し、まとまった時間が取れたときに長い作業を回す。この配分が現実的でしょう。
3つに絞ったとしても、年間で見れば十分な手入れになります。毎回のフィルター掃除が年間300回前後、ふたの開放が同じ回数、槽洗浄が年6回。これだけで洗濯機の状態は保てます。
時間がないときの最低ライン
①糸くずフィルターを毎回掃除する(30秒)
②洗濯が終わったらふたを開けておく(数秒)
③2か月に1回、槽洗浄コースを回す(3時間コースで可)
3つめの槽洗浄だけは洗剤が要ります。1回使い切りの製品が多いので、間隔を決めたら次の分もあわせて用意しておくと、予定どおりに回せます。対応する洗濯機のタイプは製品ごとに違うため、購入前に表示をご確認ください。
溜めてしまった場合の巻き返し手順

すでに1年以上手入れをしていない、という場合の立て直し方も示しておきます。
順番が大切です。いきなり槽洗浄から始めると、剥がれた汚れが詰まったフィルターや排水口で行き場を失い、排水エラーで止まります。下流から先に片付けるのが原則です。
まず糸くずフィルターを外して洗います。長期間放置していた場合、ネットが目詰まりして固まっていることがあります。破れている場合は交換してください。日立も糸くずフィルターは消耗品であり、破損したときは販売店などで購入するよう案内しています。
次に排水口です。格子状のふたと中のパーツを外して洗い、たまっている糸くずを取り除きます。最後に排水トラップへ水を注ぐことを忘れないでください。ここまでで、剥がれた汚れの通り道が確保できます。
そのうえで槽洗浄に入ります。汚れが厚く堆積している状態なので、11時間コースを選んでください。1回で終わらないことが多く、1〜2週間の間隔をあけて2〜3回繰り返すと、出てくる破片が減っていきます。
槽洗浄を終えたら、洗剤の投入口を洗います。取り外せる部品は外して、約40℃のお湯に浸してから歯ブラシで洗う方法が案内されています。ただしパッキンは強くこすらないでください。
全部で1〜2週間かかりますが、一度ここまでやってしまえば、あとは前述の3つを守るだけで維持できます。溜めてから戻す作業より、維持のほうがはるかに楽です。
巻き返しは下流から順に
糸くずフィルター → 排水口・排水トラップ → 槽洗浄(11時間コース)→ 洗剤投入口。この順番を守ってください。槽洗浄を先にやると、剥がれた汚れが詰まったフィルターや排水口でせき止められ、排水エラーや水漏れの原因になります。
洗濯機の掃除の頻度に関するよくある質問(FAQ)
一人暮らしで週2回しか洗濯しません。それでも月1回必要ですか?
洗濯回数が少ないぶん、間隔は延ばせる可能性があります。本文で示した「洗濯30回ごとに1回」という単純化した目安に当てはめると、週2回なら3〜4か月に1回という計算になります。ただし、洗濯機が湿気のこもる場所に置かれている場合や、使わない期間が長く槽が濡れたまま放置される場合は、回数が少なくてもカビが育ちます。ふたを開けて乾かす習慣があるかどうかで判断してください。
槽洗浄をしすぎると洗濯機は傷みますか?
指定された洗剤を規定量で使っている限り、頻度を多少上げても問題になることは考えにくいでしょう。ただし、塩素系の洗剤は金属部品に影響を与える性質があるため、洗濯槽用として売られている製品や、取扱説明書が認めている漂白剤を使うことが前提になります。毎週回すような使い方は洗剤代と水道代が増えるだけで効果も頭打ちになるため、症状が出ない範囲で間隔を空けるほうが合理的です。
排水口の掃除ができない設置なのですが、どうすればいいですか?
洗濯機の下に排水口が隠れていて手が入らない設置は珍しくありません。この場合、洗濯機をずらす作業が必要になりますが、無理に動かすと給水ホースや排水ホースが外れて水漏れを起こすおそれがあります。かさ上げ台を使って高さを確保する方法や、洗濯機用の移動キャスターを使う方法もありますが、機種によっては設置条件から外れることがあります。自力での対応が難しい場合は、販売店やハウスクリーニング業者へ相談してください。
洗濯機のカレンダー通知を活用する方法はありますか?
スマートフォンのリマインダーに「毎月第1土曜日:槽洗浄」のように繰り返し設定を入れておくのが手軽です。近年の機種には、洗濯機を一定回数使うと操作パネルにお手入れのタイミングを知らせる機能を持つものもあり、パナソニックは1か月相当使ったら運転終了後に知らせる仕組みを案内しています。通知機能がある機種なら、まずそれを有効にしておくとよいでしょう。
賃貸で古い洗濯機を使っています。頻度は変えるべきですか?
年数が経った洗濯機は、樹脂部品の細かな傷に汚れが入り込みやすく、同じ間隔でも汚れが目立ちやすくなる傾向があります。標準の目安より短めに設定しておくほうが安心でしょう。ただし、自動おそうじ機能がない、槽洗浄コースがないといった条件も重なるため、手入れの手間は増えます。備え付けの洗濯機であれば、故障や水漏れが起きたときの対応も含めて、管理会社や大家さんに確認しておくと安心です。
まとめ|頻度は場所ごとに分けて考える
洗濯機の掃除で語られる「月1回」は、洗濯槽だけの目安です。洗濯機全体では、毎回やるべきものから3か月に1回でよいものまで、間隔が4段階に分かれます。
毎回やるのは、糸くずフィルターの手入れ、乾燥フィルターの手入れ、そしてふたを開けて乾かすこと。いずれも1分かかりません。週1回はドラム式の排水フィルター。1〜2か月に1回が洗濯槽の槽洗浄と排水口。2〜3か月に1回が洗剤・柔軟剤の投入口です。
この間隔は、汚れがたまる速さに合わせて決まっています。毎回何かがたまる場所は毎回、濡れたまま置かれる場所や外部とつながる場所は数か月に1回。理屈が分かっていれば、自分の生活に合わせた調整もできます。
洗濯回数が多い、皮脂汚れの多い衣類が中心、残り湯を使っている家庭は間隔を詰めてください。自動おそうじ機能がある、毎回ふたを開けている、洗剤を規定量で使っている家庭は延ばせます。
そして、全部やる時間がないときは3つに絞ってください。糸くずフィルターを毎回、ふたを開けるのを毎回、槽洗浄を2か月に1回。この3つが残っていれば、大きく崩れることはありません。
なお、ここで挙げた頻度はメーカーが公表している一般的な目安であり、機種や使用条件によって変わります。正確な情報はお使いの洗濯機の取扱説明書をご確認ください。水漏れや異音、排水されないといった症状があるときは、自分で分解せずメーカーのサポート窓口や販売店へご相談ください。