除湿機の方式の違い|コンプレッサー式とデシカント式どっち
除湿機を調べていると、必ず出てくるのが方式の話です。コンプレッサー式、デシカント式、ハイブリッド式。名前だけ並べられても、どれが自分に合うのか判断できませんよね。しかも各メーカーの説明を読むと、どこも自社が力を入れている方式のよさを説明しているので、横に並べて比べた情報が見当たらない。
そこで、この記事ではメーカー各社が公表している説明を突き合わせて、1枚の表にまとめました。結論を先に言ってしまうと、方式に優劣はありません。得意な温度帯が違うだけで、あなたが使う季節が決まれば選ぶ方式もほぼ決まります。
逆に言えば、季節を決めずにスペックだけ見比べても答えは出ません。この記事では、方式ごとの仕組みから、除湿量・室温上昇・運転音・重さ・電気代までを一覧で比べたうえで、季節と部屋の条件から1つに絞り込む手順まで案内します。読み終えるころには、見るべき方式が1つに決まっているはずですよ。
- 3つの方式それぞれの仕組みと、得意な温度帯が生まれる理由
- 除湿量・室温・音・重さ・電気代を横に並べた比較表
- 使う季節と部屋の条件から方式を1つに絞る手順
- 卓上サイズのペルチェ式をどう位置づけるか
除湿機の方式の違いは温度で決まる
まずは仕組みから見ていきましょう。3つの方式は、水分の取り方がまったく違います。ここを押さえると、なぜ得意な季節が分かれるのかが自然に理解できます。
3つの方式に優劣はなく、得意な温度帯が違うだけです。空気を冷やして水にするコンプレッサー式は気温が高いほど働くので梅雨から夏向き。乾燥剤とヒーターを使うデシカント式は低温でも力が落ちないので秋から冬向き。両方を積んだハイブリッド式は季節を問わず使える代わりに、大きく重く高くなります。だから選ぶ順番は「使う季節を決める→方式が決まる」であって、その逆ではありません。
コンプレッサー式は空気を冷やして水にする

コンプレッサー式は、冷房やエアコンと同じ原理で除湿します。
トヨトミの公式サポートでは、コンプレッサー方式について「空気を冷却することにより発生する結露を利用しお部屋の空気の水分を取り除きます」と説明されています(出典:トヨトミ「コンプレッサー方式とデシカント方式の違い?(除湿機)」)。製品の中で冷媒を循環させ、冷えた面に湿った空気を触れさせて水滴に変える、という流れですね。
身近な例でいうと、冷たい飲み物のグラスに水滴がつく現象と同じです。空気が冷たいものに触れると、抱えきれなくなった水分が水滴になって出てきます。除湿機はこれを機械の中で意図的に起こして、落ちてきた水滴をタンクに集めているわけです。水を取ったあとの空気は、内部を通る間に温められてから吹き出されるので、除湿機から出てくる風は冷たくありません。
この仕組みだと、もともと空気が暖かくて水分をたくさん抱えているほど、たくさんの水が取れることになります。だから梅雨や夏に強いんですね。トヨトミも「高温時の除湿能力が大きい」「湿気の多い梅雨、夏場に効果を発揮します」と案内しています。
逆に冬は苦手です。同じ資料に「低温時に除湿能力が落ちる」「冬場の除湿は不向き」と明記されています。気温が低いと、そもそも冷やして結露させる余地が小さくなってしまうためです。加えて、冷却部分に霜が付くと霜取りのために運転が一時的に止まるので、そのぶんも効率が落ちます。
この特性は、カタログの数値の読み方にも関わってきます。除湿能力は一定の温度・湿度の条件で測った値なので、実際の部屋がその条件より涼しければ、書かれた量は取れません。冬に「10Lのはずなのにタンクが半分も溜まらない」と感じるのは、故障ではなく仕組みどおりの結果なんですね。
もうひとつ、コンプレッサー式には冷媒としてフロン類が使われています。これは処分するときに効いてくる点で、自治体によっては粗大ごみとして受け付けてもらえないことがあります。買うときには気にならない話ですが、手放す段階で困る要素ではあります。
運転音が出る理由
コンプレッサー式の弱点としてよく挙がるのが音です。トヨトミも「運転音(振動音)が大きい」「本体重量が重い」と明記しています。
これは圧縮機という機械部品が動いているためで、避けようがありません。冷蔵庫が時々ブーンと鳴るのと同じ種類の音ですね。日中のリビングなら気にならなくても、静かな寝室で一晩中つけるとなると話が変わります。音そのものより、断続的に鳴り始める瞬間が気になるという声もあります。
気になる場合は、カタログの運転音を弱運転時の数値で確認してください。強運転の数値だけを見て判断すると、印象がずれてしまいます。
デシカント式は乾燥剤に吸わせて熱で取り出す
デシカント式は、まったく別のアプローチを取ります。冷やすのではなく、吸わせるのです。
トヨトミの説明では、デシカント方式は「製品内部のゼオライト(乾燥剤)に水分を吸着させることにより、お部屋の空気の水分を取り除きます」とされています。吸着した水分はヒーターで温めて追い出し、熱交換器で水滴に戻してタンクにためる、という2段構えの仕組みです。
お菓子の袋に入っている乾燥剤を想像すると分かりやすいかもしれません。あれを機械の中でぐるぐる回しながら、吸っては熱で乾かし、また吸う、という動作を繰り返しています。乾燥剤そのものは使い切りではなく、熱で再生しながら使い続ける消耗しにくい部品です。
この方式の強みは、気温に左右されないことです。乾燥剤が湿気を吸う力は、空気が冷たくても働きます。トヨトミも「低温時の除湿能力が大きく冬場でも除湿能力が落ちない」と説明しています。だから冬の結露対策に向くわけですね。
ただし弱点もはっきりしています。ヒーターを使うので電気を多く使いますし、その熱で部屋の温度が上がります。同じ資料でも「ランニングコストが高い(ヒーターを使用する為に消費電力が大きい)」「室温上昇が大きい」と明記されています。冬なら暖かくてありがたいのですが、夏に使うと蒸し暑さが増してしまいます。
シャープの公式Q&Aでも、デシカント方式は吸着させた水分をヒーターの熱と気流で蒸発させる仕組みのため、室内の温度が大きく上昇する傾向にあると案内されています(出典:シャープ「除湿方式の違い」)。ここは体感としてかなりはっきり出る部分なので、夏に使う予定があるなら覚悟しておいてください。
一方で、軽さと静かさは大きな利点です。トヨトミも「軽量・コンパクトで運転音が静か(コンプレッサーを内蔵していない為)」と説明しています。部屋から部屋へ持ち運んで使いたい方や、寝室で夜間に使いたい方には向いている方式ですね。
ちなみに、デシカント式は冷媒を使いません。そのため、処分するときにフロン類の扱いで困ることがないという副次的な利点もあります。長く使ったあとのことまで考えるなら、地味に効いてくる違いです。
ハイブリッド式は両方を積んで切り替える
3つ目のハイブリッド式は、その名のとおり2つの仕組みを1台に積んだものです。
シャープの公式Q&Aでは、ハイブリッド方式はコンプレッサー方式とデシカント方式を組み合わせた形になっていて、両者の良さが活かされていると説明されています。気温が高い時期はコンプレッサー側を、低い時期はデシカント側を主に使う、という具合に切り替わります。
これだけ聞くと万能に思えますが、代償があります。同じ資料では、両者の長所を得るかわりに欠点も併せ持つことになり、そのぶん大きく重たくなるとも案内されています。2つの機構を収めるので、3方式の中では本体がいちばん大きく重くなり、価格も上がります。
実際、「通年で使えるから」とハイブリッド式を選んだのに、重くて部屋を移動させられず、結局1か所に置きっぱなしになってしまう。そんな話は珍しくありません。通年で使う必要が本当にあるのかを、先に自分に問うてみてください。年に数週間しか使わないなら、その季節に強い方式のほうが同じ予算でより高い能力を得られます。
もうひとつ知っておきたいのが、メーカーによって呼び方が違うことです。パナソニックは「ハイブリッド方式」に加えて「エコ・ハイブリッド方式」という区分を設けていて、後者は省エネ性を高めたタイプとして案内されています。同じハイブリッドでも、速さを取るのか電気代を取るのかで別のシリーズになっているわけですね。
切り替えのしかたも機種によって差があります。室温を見て自動で切り替わるもの、季節モードを手動で選ぶもの、両方の機構を同時に働かせるもの。カタログの表記だけでは分かりにくいので、気になる機種があれば取扱説明書の運転モードの説明を読んでおくと実際の動きが見えてきます。
ハイブリッド式が向く人と向かない人
整理すると、ハイブリッド式が向くのは次のような方です。年間を通して部屋干しをする、洗濯物の量が多くて乾燥スピードを重視する、置き場所を固定できる、予算に余裕がある。この条件がそろっているなら、季節ごとに買い替える必要がないぶん合理的です。
逆に向かないのは、使う季節が限られている、部屋を移動させて使いたい、収納場所が狭い、予算を抑えたいという方です。この場合は単一方式のほうが満足度は高くなります。
判断に迷ったら、去年1年間で「湿気に困った」と感じた時期を思い出してみてください。それが2つ以上の季節にまたがっているならハイブリッド式、1つの季節に集中しているなら単一方式。この振り分けでほぼ外しません。
卓上のペルチェ式は別枠で考える
売り場やネット通販では、もうひとつペルチェ式という方式を見かけます。1万円を切る価格帯で、卓上サイズのものが多いタイプです。
仕組みは、電流を流すと片面が冷える電子部品を使って冷却面をつくり、そこに結露させるというもの。コンプレッサーを持たないので静かで軽く、価格も抑えられています。
ただし除湿できる量が桁違いに小さいため、部屋の湿度を下げる用途には力不足です。上の3方式が1日あたり数リットルから十数リットルの水を取るのに対し、ペルチェ式は数百ミリリットル程度にとどまるものが一般的です。
向いているのは、クローゼットの中、下駄箱、洗面台の下、玄関の収納といった閉じた小さな空間です。そういう場所なら空気の量が少ないので、小さな能力でも効果が出ます。逆にリビングや寝室に置いても、体感できる変化はほとんど期待できません。
もうひとつ弱点があります。ペルチェ式も空気を冷やして結露させる方式なので、コンプレッサー式と同じように低温期は苦手です。冷たい空気はもともと抱えている水分が少ないため、取れる水も減ります。夏はそれなりに溜まっても、冬はほとんど溜まらないということが起こりえます。冬の結露対策として買うと期待外れになりやすいので、その用途では選ばないでください。
タンクも小さいものが多いので、除湿量のわりに水捨ての頻度が高く感じられることがあります。とはいえ数百ミリリットルの世界なので、大きな負担にはなりません。
価格が手ごろで静かという長所は本物なので、用途さえ間違えなければ役に立つ道具です。部屋用の除湿機を1台持ったうえで、収納の中だけを担当させるという組み合わせなら、無理なく効果を出せますよ。
つまりペルチェ式は3方式と競合する選択肢ではなく、補助として使うものと考えるのが正確です。部屋用の除湿機を選ぶときの比較対象には入れないでください。
方式ごとの違いを1枚の表で比べる
ここまでの内容を、実際に比較できる形にまとめます。各メーカーの説明を突き合わせたものなので、どこか1社の視点に偏らない見取り図になっているはずです。
除湿量・室温・音・重さ・電気代の比較表

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| 比較項目 | コンプレッサー式 | デシカント式 | ハイブリッド式 |
|---|---|---|---|
| 得意な季節 | 梅雨〜夏 | 秋〜冬 | 通年 |
| 高温時の除湿量 | 大きい | 中くらい | 大きい |
| 低温時の除湿量 | 落ちる | 落ちにくい | 落ちにくい |
| 室温への影響 | 上がりにくい | 上がりやすい | 季節により変わる |
| 運転音 | 大きめ(圧縮機の振動音) | 静か | 圧縮機を積むので機種差が大きい |
| 本体の重さ | 重め | 軽い | いちばん重い |
| 消費電力 | 少ない | 大きい | 大きい(季節により変動) |
| 価格帯 | 中くらい | 手ごろ | 高め |
この表で注目してほしいのが、コンプレッサー式とデシカント式がきれいに逆になっている点です。除湿量、室温、音、重さ、消費電力。ほぼすべての項目で長所と短所が入れ替わっています。
これは偶然ではなく、仕組みの違いがそのまま出た結果です。圧縮機を積むから重くて音が出る代わりに、ヒーターを使わないから電気が少なくて済み、室温も上がりにくい。デシカント式はその裏返しですね。片方の長所が、そのまま他方の短所の裏返しになっているわけです。
私がこの表を作っていて改めて感じたのは、「全部の項目で勝っている方式は存在しない」ということでした。だから比較表とにらめっこしても答えは出ないんですよね。どの項目を優先するかを先に決めた人だけが、この表から答えを引き出せます。
電気代の差はどれくらい出るのか
表では「消費電力が少ない・大きい」と書きましたが、実際どれくらい差が出るのか気になりますよね。ここは計算で確かめられます。
電気代は、消費電力(W)÷1000×使用時間×電力量料金の単価で出せます。仮に単価を31円/kWhとして、1日8時間動かした場合で比べてみましょう。
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| 消費電力 | 1時間あたり | 1日8時間 | 30日続けた場合 |
|---|---|---|---|
| 200W | 約6.2円 | 約50円 | 約1,490円 |
| 300W | 約9.3円 | 約74円 | 約2,230円 |
| 500W | 約15.5円 | 約124円 | 約3,720円 |
ヒーターを使うデシカント式は消費電力が大きくなりやすいので、表の下のほうに位置することになります。上の表でも200Wと500Wでは1か月あたり2千円以上の開きが出ています。
ただし、この計算だけで結論を出すのは早計です。冬にコンプレッサー式を使えば、能力不足で運転時間そのものが延びます。1時間あたりが安くても、目標に届かないまま長時間動かせば総額は膨らみます。電気代は「1時間あたり×実際に必要な運転時間」で考えてください。
なお、ここで挙げた金額はあくまで一般的な目安です。実際の消費電力は運転モードや室温で変わりますし、電力量料金の単価も契約プランによって違います。正確な情報は機種の仕様欄と契約中の料金表でご確認ください。
使う季節から方式を1つに絞る

では、その優先順位をどう決めるか。いちばん確実なのが季節です。
次の質問に答えてみてください。あなたがいちばん強く湿気に困っているのは、いつですか。
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| 困っている場面 | おもな時期 | 向く方式 |
|---|---|---|
| 梅雨や夏に部屋がじめじめする | 6〜9月 | コンプレッサー式 |
| 窓や壁の結露をなんとかしたい | 11〜3月 | デシカント式 |
| 一年中、部屋干しを早く乾かしたい | 通年 | ハイブリッド式 |
| クローゼットや下駄箱の湿気だけ | 通年 | ペルチェ式(補助として) |
複数に当てはまるという方は多いと思います。その場合は、いちばん困っている場面を1つだけ選んでください。すべてを同じ重さで満たそうとすると、結局は価格が高く重い機種に行き着いてしまいます。
迷ったときの目安として、次のように考えると決めやすくなります。夏の湿気だけが悩みならコンプレッサー式。冬の結露が主目的ならデシカント式。年間を通して部屋干しをしていて予算にも余裕があるならハイブリッド式。この3択に落とし込めば、候補は一気に減ります。
部屋干しについては、少し補足が要ります。部屋干しは通年の行為に見えますが、実際に「乾かない」と困るのは梅雨と冬に偏ります。梅雨だけが問題ならコンプレッサー式で足りますし、冬の乾きにくさが主な悩みならデシカント式が向きます。部屋干しだから通年、と短絡せずに、どの時期に困っているかまで分解してみてください。
もうひとつ、住んでいる地域も判断材料になります。冬に気温が氷点下まで下がる地域では、コンプレッサー式の能力低下がより顕著に出ます。逆に温暖な地域なら、冬でもコンプレッサー式がある程度は働きます。同じ「冬の結露対策」でも、地域によって最適な方式が変わることは知っておいてください。
部屋の条件で調整する
季節で方式が決まったら、部屋の条件で微調整します。ここで方式が変わることもあるので、確認しておいてください。
寝室で夜も使う場合は、運転音が効いてきます。コンプレッサー式は圧縮機の振動音があるので、静かなデシカント式のほうが眠りを妨げにくいです。ただし冬以外に使うと室温が上がる点は覚悟が要ります。
移動させて使いたい場合は、重さで決まります。軽いデシカント式が有利で、ハイブリッド式はいちばん不利になります。キャスターの有無もあわせて確認してください。
夏場のリビングで使う場合は、室温上昇を避けたいのでコンプレッサー式が向きます。デシカント式を夏に使うと、除湿はできても暑くなってしまいます。
電気代を抑えたい場合は、コンプレッサー式が有利です。ただし冬に使うと能力が落ちるので、能力不足で長時間運転することになれば元も子もありません。使う季節との兼ね合いで考えてください。
収納場所が限られている場合も判断材料になります。除湿機はオフシーズンにしまうものなので、押し入れやクローゼットに収まるかどうかが効いてきます。軽くてコンパクトなデシカント式が有利で、ハイブリッド式は置き場所ごと確保しておく必要があります。
ここで注意したいのが、ひとつの条件だけで方式を決めないことです。「静かだからデシカント式」と決めても、夏に使う予定なら室温が上がって使わなくなります。「安いからコンプレッサー式」と決めても、冬の結露対策が目的なら能力が足りません。まず季節で絞ってから、残った候補の中で音や重さを比べる。この順番を崩すと、条件のひとつは満たしても目的そのものを外してしまいます。
条件が複数あって決めきれないときは、優先順位を書き出してみてください。1位が季節、2位がその他の条件。この形になっていれば、判断はぶれません。
方式が決まったら、その方式の定番機から見てみる
夏の湿気が主な悩みならコンプレッサー式。国内メーカーの定番モデルで、木造と鉄筋それぞれの適用畳数が仕様欄に明記されています。
冬の結露や、部屋を移動させて使いたい方はデシカント式。軽くて静かなタイプで、サーキュレーター付きなら部屋干しにも回せます。
価格や在庫は変わりますので、最新の情報は各販売ページでご確認ください。
方式が決まったあとにやること
方式が1つに絞れたら、次は能力の話です。ここまで来れば、残りの手順はそう多くありません。
方式で変わる置き場所と手入れ
方式が決まると、実は置き場所の条件も少し変わってきます。買う前に想定しておくと、届いてから困りません。
コンプレッサー式は圧縮機の振動があるので、床に直接置いたほうが音が響きにくくなります。カーペットや不安定な台の上だと、振動が増幅されて気になることがあります。集合住宅なら、壁や柱から少し離すという配慮も効きます。
デシカント式は運転すると室温が上がるので、狭い個室で長時間使うと体感温度がはっきり変わります。閉め切った部屋で使うなら、暑さが気になったときに扉を開けて調整できる配置にしておくと快適です。
ハイブリッド式は本体が重いぶん、置いた場所から動かさない前提で選ぶことになります。キャスター付きでも、段差やカーペットの上では思ったほど楽に転がりません。設置予定の場所まで運べる経路があるかを、購入前に確かめておいてください。
手入れの面でも違いがあります。コンプレッサー式は冷却部分が濡れるのでカビが出やすく、デシカント式は乾燥剤にニオイ成分が吸着して独特のにおいが出ることがあります。どちらも内部乾燥の機能があると管理が楽になるので、仕様欄で確認しておくとよいですね。
方式ごとの弱点は、どれも「使ってみて初めて気づく」種類のものばかりです。音の大きさ、部屋が暑くなる感じ、本体の重さ。カタログの数字には出ていても、実感としては買ったあとにしか分かりません。だからこそ、買う前に自分の使い方を具体的に思い浮かべておくことが効きます。
必要な除湿量を畳数から確定させる
方式が決まっても、それだけでは機種は選べません。同じコンプレッサー式でも、1日3Lのものから18Lのものまで幅があるからです。
次に決めるのが、部屋に必要な除湿量です。ここで注意したいのが、カタログの適用畳数だけで判断しないこと。同じ機種でも木造か鉄筋かで対応できる広さが2倍前後違うので、畳数の数字をそのまま自分の部屋に当てはめると能力不足になりがちです。
必要な除湿量は、部屋の広さと構造の組み合わせから逆算できます。具体的な早見表と計算のしかたは除湿機の畳数の目安を木造と鉄筋で整理した記事にまとめているので、そちらで必要な数字を確定させてください。方式が決まっている状態で読めば、候補は数機種まで絞れるはずです。
ここで気をつけたいのが、方式によって「表示どおりの除湿量が出る条件」が違うことです。コンプレッサー式のカタログ値は気温が高い前提の数字なので、冬に使うなら表示より小さい部屋向けだと考えておくほうが現実に近くなります。デシカント式なら季節による差は小さいので、表示から大きくは崩れにくいと考えてよいでしょう。
方式と除湿量の2つが決まれば、候補はかなり絞られます。あとは排水方法と設置スペースを詰めるだけです。除湿機の選び方を5つの順番で整理した記事で全体の流れを確認しておくと、抜けがなくなりますよ。
除湿機の方式の違いに関するよくある質問(FAQ)
結局どの方式がいちばん優れているのですか?
優劣はありません。得意な温度帯が違うだけで、使う季節が変われば有利な方式も入れ替わります。夏にデシカント式を使えば室温が上がって不快になりますし、冬にコンプレッサー式を使えば除湿量が落ちて物足りなく感じます。同じ機種が「よく効く」とも「全然だめ」とも評価されるのは、使った季節が違うからです。レビューを読むときも、その人がいつ使ったのかを確かめると判断を誤りません。
ハイブリッド式を買っておけば間違いないですか?
通年で使うなら合理的な選択ですが、誰にでも勧められるわけではありません。本体が大きく重いので移動させにくく、価格も上がります。使う季節が限られているなら、同じ予算でその季節に強い方式のより高い能力を買えるほうが満足度は高くなります。判断の分かれ目は「年間の使用期間」です。数か月で足りるなら単一方式、ほぼ一年中回すならハイブリッド式、と考えると外しません。
デシカント式は夏に使ってはいけませんか?
使えないわけではありませんが、快適さは落ちます。ヒーターを使う仕組みなので、運転すると室温が上がってしまうためです。エアコンを併用すれば体感は和らぎますが、冷房と暖房を同時にかけているような状態になり、電気代の面では効率がよくありません。夏の使用が中心なら、素直にコンプレッサー式を選ぶほうが快適で経済的です。夏はエアコンの除湿、冬はデシカント式、という使い分けも現実的ですね。
方式によって手入れの手間は変わりますか?
基本的な手入れはどの方式も同じで、タンクの水を捨てて洗うこととフィルターのホコリを取ることが中心です。ただし内部の状態には違いがあります。コンプレッサー式は冷却部分が濡れるのでカビが出やすく、デシカント式は乾燥剤にニオイ成分が吸着してすっぱい・コゲたようなにおいが出ることがあります。どちらも内部乾燥機能があると管理が楽になるので、機種選びの際に確認しておくとよいでしょう。
まとめ|除湿機の方式は季節で選べば外さない
除湿機の方式の違いを、選ぶ順番に沿って整理します。
3つの方式に優劣はなく、得意な温度帯が違うだけです。コンプレッサー式は空気を冷やして結露させるので気温が高いほど働き、梅雨から夏に強い代わりに冬は能力が落ちます。デシカント式は乾燥剤とヒーターで水分を取るので低温でも力が落ちませんが、電気を多く使い室温が上がります。ハイブリッド式は両方を積んで季節ごとに切り替えられる一方、本体が大きく重く、価格も上がります。
比較表を見ると、コンプレッサー式とデシカント式はほぼすべての項目で長所と短所が逆になっています。全項目で勝つ方式は存在しないので、比較表だけを眺めても答えは出ません。先に「いつ使うか」を1つ決めることが、方式選びの実質すべてです。
そのうえで、寝室で使うなら音、移動させるなら重さ、夏のリビングなら室温上昇、というように部屋の条件で微調整します。卓上のペルチェ式は除湿量が桁違いに小さいので、3方式と同列に比べず、収納の中など小さな空間の補助として位置づけてください。
方式が決まったら、次は部屋に必要な除湿量を確定させる番です。ここで挙げた特性や傾向は、メーカー各社の公表情報をもとにした一般的なものです。実際の性能は機種によって差がありますので、正確な情報は各メーカーの公式サイトや取扱説明書をご確認ください。判断に迷う場合は、最終的な判断は販売店やメーカーにご相談ください。まずは「いちばん困っている季節はいつか」を、自分に聞いてみてくださいね。