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KADEN LAB

COOKING / RESEARCH REPORT

ヨーグルトメーカーの種菌を比較|市販と粉末の違い・温度と費用の目安

キッチンのカウンターにヨーグルトを入れたガラスボウルと牛乳の瓶を並べた表紙スライド

ヨーグルトメーカーの種菌はどれを選ぶ?市販ヨーグルトと粉末で迷ったら

Kaden Lab研究員レン

RESEARCHER / レン

こんにちは。Kaden Lab研究員のレンです。

ヨーグルトメーカーを買って最初に迷うのが、種菌をどうするかという問題だと思います。市販のヨーグルトをそのまま種にしていいのか、それとも専用の粉末種菌を買うべきなのか。売り場を見ると粉末種菌にもいろいろな種類があって、余計に決めづらいですよね。

先に結論を言ってしまうと、この2つは優劣ではなく役割が違います。市販ヨーグルトは手軽で1回あたりの費用が安く、粉末種菌は狙った菌を確実に立ち上げられる。どちらを選ぶかは、あなたが何を優先するかで決まります。

この記事では、市販ヨーグルトと粉末種菌の違い、菌の種類ごとに変わる発酵温度と時間、牛乳の選び方、1回あたりのコストの計算、植え継ぎを繰り返してはいけない理由まで整理していきます。とくに温度は菌ごとにまったく違っていて、40度台で作る菌もあれば27度前後で作る菌もあります。手持ちの機種で設定できる範囲と合っているかどうかは、買う前に確認しておきたいところですよ。

  • 市販ヨーグルトと粉末種菌のどちらを選ぶかの判断基準
  • 菌の種類ごとに変わる発酵温度と時間の目安
  • 1回あたりのコストを計算して比べる方法
  • 植え継ぎを2〜3回までにとどめる理由

ヨーグルトメーカーの種菌を比較する前に押さえる基本

まずは選択肢の全体像です。種菌には大きく2つの入手ルートがあり、そこから菌の種類が枝分かれしていきます。

種菌は市販ヨーグルトと粉末種菌の2択

入手のしやすさ・費用・菌の種類・状態の安定という4つの観点で市販ヨーグルトと粉末種菌を比べた表のスライド
市販ヨーグルトと粉末種菌の違いの比較

自家製ヨーグルトを作るとき、牛乳に加える「たね」になるものが種菌です。この種菌の入手方法は2つしかありません。

ひとつが、市販のプレーンヨーグルトをそのまま使う方法。スーパーで買ってきたヨーグルトを大さじ数杯ぶん牛乳に混ぜて、あとは温めるだけです。もうひとつが、乾燥させた粉末の種菌を使う方法。1包ずつ小分けになっていて、牛乳1リットルに1包という使い方が一般的です。

この2つ、何が違うのかというと菌の状態と、菌の種類を選べるかどうかです。

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比較項目 市販ヨーグルト 粉末種菌
入手のしやすさ どのスーパーにもある 通販や専門店が中心
1回あたりの費用 安い(残りは食べられる) 種菌の値段がそのまま乗る
菌の種類 その商品に入っているもの カスピ海・ケフィアなど選べる
菌の元気さ 製造からの日数で変わる 乾燥保存で安定している
仕上がりの安定 ばらつきが出やすい ばらつきが少ない
保存 要冷蔵・賞味期限が短い 常温で長く置ける商品が多い

市販ヨーグルトの弱点は、菌の元気さが一定でないことです。製造から日が経っているほど乳酸菌の活性は落ちていきます。だから同じ商品を種にしても、買った時期によって固まり方が変わることがあるんですね。

逆に粉末種菌の強みは、そこが安定していることです。乾燥した状態で保存されているので、封を切るまで状態がほぼ変わりません。カスピ海ヨーグルトやケフィアのように、市販品としては手に入りにくい菌を選べるのも粉末種菌ならではです。

◆レンのメモ

はじめの1回は市販ヨーグルトで試すのをおすすめします。理由は簡単で、失敗しても損が小さいからです。作り方の勘をつかんでから、作りたい種類が決まった段階で粉末種菌に進むほうが、無駄な買い物になりませんよ。

菌の種類ごとに変わる発酵温度と時間

温度計の図とともに、プレーンヨーグルト・ギリシャヨーグルト・カスピ海ヨーグルト・ケフィアの発酵温度と時間を一覧にした表のスライド
種類ごとの発酵温度と時間の目安

ここが種菌選びでいちばん実務的な話です。菌の種類が変われば、設定する温度も時間もまったく変わります。同じ「ヨーグルト」という名前でも、40度台で8時間の菌と、27度で24時間以上かかる菌があるんですね。

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種類 温度の目安 時間の目安 特徴
一般的なプレーンヨーグルト 40〜43度 6〜10時間 市販品を種にできる。もっとも標準的
ギリシャヨーグルト 40〜43度 6〜10時間+水切り 作り方は同じで、完成後に水切りして濃くする
カスピ海ヨーグルト 27度前後 6〜48時間 粘りととろみが強い。30度を超えると菌が弱りやすい
ケフィア 20〜30度 24〜27時間 さらっとした食感。発酵させすぎに注意

表を見ると分かるとおり、カスピ海ヨーグルトとケフィアは低い温度で長く発酵させるタイプです。プレーンヨーグルトと同じ40度台に設定してしまうと、菌が弱って固まりません。粉末種菌を買うときは、パッケージに書かれた温度と時間を必ず確認してください。

もうひとつ大事な数字が、上限です。乳酸菌は45度を超えると死んでしまうとされています。早く固めたいから温度を上げる、という発想は麹の甘酒と同じで通用しません。

低温タイプの菌が別物である理由

なぜカスピ海ヨーグルトやケフィアだけ温度が違うのか。これは、そもそも働いている菌が違うからです。

一般的なプレーンヨーグルトは、ブルガリア菌とサーモフィラス菌という2種類の乳酸菌の組み合わせで作られます。この2つが元気に働く温度が40度台なので、設定もそこに合わせます。

一方カスピ海ヨーグルトの主役はクレモリス菌で、これは20度台で活発に働く菌です。独特のとろみと粘りは、この菌が作り出す成分によるもの。40度台に置くと環境が合わず、弱ってしまいます。

ケフィアはさらに変わっていて、乳酸菌だけでなく酵母も一緒に働きます。複数の菌が共存しているので、そのバランスが取れる温度帯が20度から30度になるわけですね。発酵させすぎると酵母の働きが進みすぎて風味が変わるので、時間の管理も他より慎重にしたほうがいいタイプです。

つまり「ヨーグルト」とひとくくりにされていても、中身は別々の生き物です。種菌を変えるということは、設定を変えるということだと覚えておいてください。

菌種ごとの実際の作り方については、ヨーグルトメーカーのメーカー側も試作データを公開しています。タニカ電器は自社製品を使った菌種別の試作報告書を一覧で公開しているので、珍しい種菌を試したいときの参考になります(出典:タニカ電器「発酵食品試作報告書」)。

市販ヨーグルトを種菌にするときの選び方

市販ヨーグルトを種にする場合、どれを選んでもいいわけではありません。選ぶ基準は3つあります。

1. プレーンで、砂糖や果肉が入っていないもの

加糖タイプや果肉入りは種菌に向きません。糖分は雑菌の栄養にもなりますし、余計なものが入っているぶん発酵が読みにくくなります。原材料が「生乳、乳製品」だけ、といったシンプルなものを選んでください。

2. 製造日ができるだけ新しいもの

乳酸菌は時間とともに活性が落ちていきます。同じ商品でも、賞味期限が近いものと遠いものでは固まり方が変わることがあります。棚の奥から新しいものを取る、というのは種菌に使うときには理にかなった行動なんですよ。

3. できあがりの食感が好みに近いもの

種にしたヨーグルトの性質は、そのまま出来上がりに引き継がれます。とろっとした飲むヨーグルトのような商品を種にすると、できあがりもゆるめになります。しっかり固まったものを作りたいなら、固形タイプのプレーンヨーグルトを選んでください。

種菌の量は、牛乳1リットルに対して大さじ3から4杯(およそ50から100グラム)が目安です。慣れないうちは少し多めにすると失敗しにくくなります。

ちなみに、種菌を入れすぎると失敗するのかというと、そこまで神経質になる必要はありません。多いぶんには発酵が早く進むだけで、極端に酸っぱくなる前に取り出せば問題ないからです。むしろ怖いのは少なすぎるケースで、菌の数が足りないと発酵が始まる前に雑菌が優勢になってしまうことがあります。迷ったら多め、と覚えておいてください。

牛乳と種菌を混ぜるときは、牛乳を常温に近づけておくと立ち上がりが早くなります。冷蔵庫から出したばかりの牛乳をそのまま使うと、設定温度に届くまでに時間がかかるぶん、実質の発酵時間が短くなります。時間どおりなのに固まりが甘い、というときはここを疑ってみてください。

粉末種菌が向いている場面

では粉末種菌を選ぶ意味はどこにあるのか。3つの場面ではっきり有利になります。

ひとつめが、市販されていない菌を作りたいときです。カスピ海ヨーグルトやケフィアは、市販のカップ製品として手に入りにくい種類です。作りたいと思ったら粉末種菌を買うしかありません。

ふたつめが、毎回同じ品質で作りたいときです。市販ヨーグルトは製造からの日数で状態が変わりますが、粉末種菌は乾燥保存なのでその変動がありません。仕上がりを揃えたい人には向いています。

みっつめが、植え継ぎのやり直し用に常備しておきたいときです。後で詳しく書きますが、植え継ぎは2〜3回までにとどめるのが基本です。そのたびに市販ヨーグルトを買いに行くより、粉末種菌を数包ストックしておくほうが手間がかかりません。常温で長く置ける商品が多いのも、この使い方に向いています。

逆に、普通のプレーンヨーグルトを作りたいだけなら、粉末種菌を選ぶ理由はそれほど強くありません。市販ヨーグルトで十分作れますし、そのほうが安く済みます。

粉末種菌を買うときに見る3つの表示

粉末種菌は商品ごとに条件が違うので、パッケージの表示を先に見てください。見るのは3か所です。

ひとつめが1包で何リットル分か。牛乳1リットル用が標準ですが、500ミリリットル用や2リットル用の商品もあります。ここを見ずに買うと、手持ちの容器に対して量が合わなくなります。

ふたつめが推奨される発酵温度と時間。これは菌の種類だけでなく商品によっても少しずつ違います。同じカスピ海ヨーグルトでも、25度から30度と書かれているものと27度前後と書かれているものがあります。手持ちの機種で設定できる範囲に収まるかを、買う前に確かめておきましょう。

みっつめが保存方法。常温保存できる商品と、冷蔵や冷凍が指定されている商品があります。まとめ買いしてストックしたいなら、常温保存できるタイプのほうが扱いやすいです。賞味期限も商品によって幅があるので、使う頻度に合わせて包数を選んでください。

粉末種菌はスーパーではまず見かけない商品なので、通販か専門店で探すことになります。1包で何リットル分か、推奨の温度と時間はいくつか、この2点を商品ページで確かめてから選んでみてください。

富澤商店オンラインショップ

牛乳の種類で仕上がりが変わる

種菌の話とセットで確認しておきたいのが牛乳です。ここを間違えると、種菌が何であれ固まりません。

まず必ず見てほしいのが、パッケージの「種類別名称」という欄です。ここが「牛乳」になっているもの、いわゆる成分無調整の牛乳が標準です。

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種類別名称 ヨーグルト作り 仕上がり
牛乳(成分無調整) ◎ 標準 しっかり固まる
低脂肪牛乳・無脂肪牛乳 ◯ 作れる あっさりして、ややゆるめ
加工乳 △ 商品による 成分によって差が出る
乳飲料 ✕ 向かない うまく固まらない

「乳飲料」はコーヒー牛乳やフルーツ牛乳のほか、カルシウムや鉄分を足したタイプも含まれます。見た目は牛乳のパックでも種類別名称が違うので、買う前に一度確認する習慣をつけておくと失敗が減りますよ。

豆乳を使いたい場合は、調整豆乳より無調整豆乳のほうが固まりやすいとされています。ただし牛乳とは固まり方が違うので、最初は少量で試すのがおすすめです。

ヨーグルトメーカーの種菌を比較して選ぶ基準

ここからは実際に選ぶときの判断材料です。コスト、植え継ぎ、失敗の原因、機種との相性の順に見ていきます。

1回あたりのコストを計算して比べる

どちらが安いのかは、実際に計算してみるとはっきりします。値段は変動するので、あくまで目安として仮の数字を置いて比べてみましょう。

牛乳1リットルを250円、市販のプレーンヨーグルト400グラムを150円、粉末種菌1包(牛乳1リットル用)を150円と仮定します。

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方法 1リットル作るのにかかる費用 100gあたり
市販ヨーグルトを種にする 牛乳250円+種100g分38円=約288円 約29円
粉末種菌を使う 牛乳250円+種菌150円=約400円 約40円
市販ヨーグルトをそのまま買う 400gで150円=1Lあたり約375円 約38円

種に使う38円という数字は、400グラム150円のヨーグルトから100グラム使う計算です。150 × 100 ÷ 400 = 37.5円、という単純な割り算ですね。

この比較から見えてくるのは、市販ヨーグルトを種にする方法がいちばん安く、粉末種菌は市販品を買うのと大差ないということです。つまり粉末種菌を選ぶ理由は「安さ」ではありません。狙った菌を確実に立ち上げたい、毎回同じ品質にしたい、という別の価値のために払う費用だと考えてください。

もちろん牛乳の値段が変われば結論も動きます。特売の牛乳が180円なら自家製はさらに有利になりますし、ヨーグルトが安売りされていれば差は縮まります。自分がよく買う店の値段を入れて計算し直すのがいちばん正確ですよ。

本体の値段を何回で回収できるか

もうひとつ気になるのが、ヨーグルトメーカー本体の元が取れるのかという点だと思います。これも計算できます。

市販ヨーグルトをそのまま買うと100グラムあたり約38円、自家製(市販ヨーグルトを種にする方法)なら約29円。差は100グラムあたり9円です。1回で1リットル、つまり約1,000グラム作るとすると、1回あたり90円ぶん安くなる計算になります。

本体が5,000円だとすると、5,000 ÷ 90 = 約56回。週に2回作るなら半年ちょっとで回収できる、という見当がつきます。ここに電気代が1回あたり数円乗りますが、大勢に影響する額ではありません。

ただし、この計算は作った分をきちんと食べ切る前提です。1リットルは思ったより多いので、余らせて捨てるようだと元は取れません。毎日食べる習慣がある家庭なら回収は早く、たまにしか食べないなら市販品を買うほうが合理的、という結論になります。金額はいずれも仮定を置いた目安で、実際の価格は店舗や時期で変わります。

植え継ぎは2〜3回までにする理由

自家製ヨーグルトを次の種菌に取り分けている写真とともに、植え継ぎの回数が限られる理由を2点に整理したスライド
植え継ぎの回数が限られる2つの理由

できあがった自家製ヨーグルトを、次の種菌に使い回すことを植え継ぎと呼びます。これができると種菌代がかからなくなるので、続けたくなる気持ちはよく分かります。

ただ、植え継ぎは2〜3回までにとどめて、その後は粉末種菌か市販ヨーグルトから作り直すのが基本とされています。理由は2つあります。

ひとつは雑菌です。作るたびにスプーンや容器から少しずつ雑菌が入り込みます。1回目は問題なくても、それを何度も繰り返せば雑菌の割合は増えていきます。

もうひとつが菌のバランスの変化です。ヨーグルトには複数の菌が入っていて、それぞれ増えやすさが違います。植え継ぎを繰り返すと増えやすい菌ばかりが優勢になり、もとのヨーグルトとは別のものに変わっていきます。回を重ねるほど固まりが悪くなり、水っぽくなっていくのはこのためです。

「何年も継ぎ足している」という話も見かけますが、それは徹底した衛生管理があってのことです。一般の家庭で同じ結果を期待するのは無理があります。味や固まり方が変わってきたと感じたら、そこで新しい種菌に切り替えてください。異臭がする、色がおかしい、糸を引くといった状態のものは口にしないでください。判断に迷うときは、メーカーの案内や専門家にご相談ください。

固まらない・分離するときの原因

うまくいかなかったときは、原因をひとつずつ潰していきます。ほとんどは温度・種菌・牛乳・衛生の4つのどれかです。

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症状 考えられる原因 次にやること
まったく固まらない 牛乳が「乳飲料」だった 種類別名称が「牛乳」のものを使う
ゆるい・水っぽい 温度が低い/時間が足りない/種菌が少ない 1〜2時間延長する。種菌を多めにする
まったく発酵していない 設定温度が高すぎて菌が死んだ 45度を超えないよう設定を見直す
ぼそぼそ・分離している 発酵させすぎ 時間を短くする。次回は6時間で一度確認
回を重ねるごとにゆるくなる 植え継ぎのしすぎ 新しい種菌から作り直す
変なにおいがする 雑菌の混入 食べずに廃棄。容器と道具を消毒し直す

意外と多いのが、種菌の量が足りていないケースです。牛乳1リットルに対して大さじ3から4杯が目安なので、少なめに入れて固まらなかった場合は次回増やしてみてください。

固まらなかったものを立て直せるか

時間が来たのにゆるいままだった、という場合は、原因によって立て直せるかどうかが変わります。

時間や温度が足りなかっただけなら、そのまま追加で1〜2時間加温すれば固まることがあります。まずはこれを試してください。それでも変化がないなら、菌が働いていない可能性が高くなります。

菌が死んでいる場合は、いくら加温しても固まりません。設定温度が高すぎた、熱い牛乳に種菌を入れた、といった心当たりがあるなら、新しい種菌を足して仕込み直すことになります。

ただし、牛乳が「乳飲料」だった場合はどうやっても固まりません。これは菌の問題ではなく原料の問題なので、立て直しは諦めて、次から種類別名称を確認してください。固まらなかった液体は、においに異常がなければ飲むヨーグルトのように飲んだり、パンケーキの生地に混ぜたりして使えます。異臭がある場合は使わないでください。

衛生面では、容器とスプーンの消毒が基本になります。耐熱容器なら80度以上のお湯で10分以上を目安に煮沸し、清潔な布巾の上で自然乾燥。熱に弱い素材なら食品用のアルコールで拭き取ります。食材を温かい温度帯に長く置くことのリスクは予約調理の記事でも整理していますので、感覚をつかんでおくと判断しやすくなります。

種菌と機種の温度設定が合っているか

種菌を選ぶときは、手持ちのヨーグルトメーカーで作れるかどうかを先に確認してください。ここを見落とすと、買った種菌が使えないという事態になります。

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作りたいもの 必要な温度 必要な時間 機種に求められること
プレーンヨーグルト 40〜43度 6〜10時間 ほぼどの機種でも可能
カスピ海ヨーグルト 27度前後 6〜48時間 25度台まで下げられること
ケフィア 20〜30度 24〜27時間 低温設定+24時間以上のタイマー

注目してほしいのは下の2つです。カスピ海ヨーグルトとケフィアは、低い温度に設定できることと、長時間のタイマーの両方が必要になります。温度設定範囲が25度から65度、タイマーが48時間まである機種なら、この表のすべてに対応できます。

逆に、ヨーグルト専用でボタンひとつのシンプルな機種は、40度台の固定になっていることがあります。その場合はプレーンヨーグルト専用と割り切るか、温度を細かく設定できる機種を選ぶかの判断になります。

温度を保って発酵させるという考え方そのものは、ヨーグルト以外にも広く使えます。砂糖を使わずに小豆を甘くする発酵あんこも、温度と時間の管理で決まる料理ですので、機種選びのときは他に何を作りたいかもあわせて考えておくと後悔しにくいですよ。

温度設定の範囲とタイマーの上限、この2つで作れる種類が決まります。候補が見つかったら仕様表のその2項目から確認してみてください。価格や在庫、現行モデルかどうかは変わりますので、購入前に各ショップでご確認をお願いします。

保存期間と食べるときの注意

市販品と同じ感覚で置けない理由は、自家製に賞味期限が書けない仕組みを読むとはっきりします。判断に迷ったときの基準もそちらにまとめました。

できあがったヨーグルトは、粗熱を取ってから冷蔵庫に入れます。自家製は市販品のような殺菌工程を経ていないので、市販品の賞味期限と同じ感覚で置かないでください

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状態 保存の目安 注意点
できあがった自家製ヨーグルト 冷蔵で3日から1週間程度 取り出すスプーンは毎回清潔なものを
種菌に使う分 できるだけ早く(作った当日〜翌日) 植え継ぎに使うなら食べる前に取り分ける
水切りしたもの 冷蔵で2〜3日 水分が減るぶん傷みにくいわけではない
◆レンのメモ

植え継ぎ用の分は、食べ始める前に別の清潔な容器へ取り分けておくのがコツです。食べかけのヨーグルトから種を取ると、そのぶん雑菌が入りやすくなります。ちょっとしたことですが、これだけで植え継ぎの成功率が変わりますよ。

表面に出てくる透明〜うっすら黄色い液体はホエイ(乳清)で、異常ではありません。気になるなら混ぜてしまって構いませんし、水切りして濃いヨーグルトにする使い方もできます。

水切りヨーグルトとホエイの使い道

水切りは特別な道具がなくてもできます。ざるにキッチンペーパーかコーヒーフィルターを敷き、その上にヨーグルトを乗せて、下にボウルを置いて冷蔵庫へ入れるだけです。

2〜3時間でとろっとした状態に、一晩置くとクリームチーズに近い固さになります。もとの量から3割ほど水分が抜けるので、400グラムのヨーグルトなら280グラム前後になる計算です。ギリシャヨーグルト風のものを作りたいときは、この方法が使えます。

下に落ちたホエイも捨てないでください。ほんのり酸味のある液体で、そのまま飲めますし、パンやホットケーキを作るときの水分として使うこともできます。カレーやスープに加えて量を増やす、という使い方も手軽です。水切りをすると量が減るぶん、ホエイを使い切って初めて元が取れると考えると無駄が出ませんよ。

種菌選びで押さえるのは3つです。作りたい菌の温度が機種で設定できるか、牛乳の種類別名称が「牛乳」か、植え継ぎは2〜3回まで。この3つを守れば、市販ヨーグルトでも粉末種菌でも安定して作れます。あとはコストと好みで選んでください。

製品ごとの正確な仕様や使用上の注意は、必ずメーカーの公式サイトと取扱説明書をご確認ください。食品を扱う家電なので、洗浄方法や耐熱温度についてもメーカーの案内に従うのが安全です。判断に迷う点があれば、メーカーの問い合わせ窓口や販売店にご相談ください。

ヨーグルトメーカーの種菌についてよくある質問

機能性をうたった市販ヨーグルトを種にすると、同じ菌が増えますか?

同じように増えるとは限りません。市販のヨーグルトには複数の菌が入っていることが多く、家庭の温度管理では増えやすい菌が優勢になります。もとの商品と同じ菌の構成が再現される保証はない、と考えてください。メーカー側も自社製品を種菌として使うことを前提にはしていないのが一般的です。特定の菌を狙いたい場合は、その菌の粉末種菌を使うほうが確実です。作ったものを商品と同じものとして扱わないようにしてください。

牛乳パックのまま作るのと、専用容器で作るのはどちらがいいですか?

手軽さなら牛乳パック、衛生面と扱いやすさなら専用容器です。パックのまま作れば洗い物が出ませんが、内側は消毒できないので、開封してから時間が経ったパックは避けたほうが無難です。専用容器は煮沸やアルコールで消毒できるうえ、かき混ぜたり取り分けたりもしやすくなります。植え継ぎをするなら専用容器のほうが管理しやすいですよ。どちらの方法に対応しているかは機種によって違うので、購入前に確認してください。

粉末種菌が余りました。開封後はどう保存すればいいですか?

粉末種菌は1包ずつ使い切る前提で作られている商品が多く、開封後に残した分は湿気を吸って品質が落ちやすくなります。どうしても分けて使う場合は、しっかり密閉して冷蔵か冷凍で保存し、早めに使い切ってください。未開封の包みについては、商品によって常温保存できるものと冷蔵指定のものがあります。保存方法と期限はパッケージの表示に従うのが確実です。

できあがったヨーグルトが酸っぱすぎます。どうすればいいですか?

発酵させすぎている可能性が高いです。乳酸菌は時間をかけるほど乳酸を作るので、そのぶん酸味が強くなります。次回は設定時間を1〜2時間短くして、様子を見てください。また、できあがったあとに冷蔵庫へ入れるのが遅れると、余熱で発酵が進んで酸味が増すこともあります。完成したらすぐに冷やすのがコツです。すでにできてしまった酸っぱいヨーグルトは、はちみつやジャムを添えるほか、料理の下味やドレッシングに使うと無駄になりません。

ヨーグルトメーカーの種菌比較で押さえる要点

最後に整理します。

種菌は市販ヨーグルトと粉末種菌の2択で、優劣ではなく役割が違います。市販ヨーグルトは1リットルあたりの費用がいちばん安く、まず試すのに向いています。粉末種菌は菌の種類を選べて品質が安定するので、カスピ海ヨーグルトやケフィアを作りたいときや、毎回同じ仕上がりにしたいときに使う。この使い分けが基本です。

菌によって温度も時間もまったく違います。プレーンヨーグルトは40度台で6〜10時間、カスピ海ヨーグルトは27度前後、ケフィアは20度台で24時間以上。買おうとしている種菌の温度が、手持ちの機種で設定できるかを先に確認してください。45度を超えると菌は死んでしまうので、温度を上げて早めるという発想は使えません。

牛乳はパッケージの種類別名称が「牛乳」のものが標準です。「乳飲料」ではうまく固まりません。種菌の量は牛乳1リットルに対して大さじ3から4杯が目安で、慣れないうちは多めが安全です。

植え継ぎは2〜3回まで。雑菌が増え、菌のバランスも変わっていくので、味や固まり方が変わったら新しい種菌に切り替えてください。記載した数値はいずれも一般的な目安ですので、正確な情報は各メーカーの公式サイトや商品のパッケージ表示をご確認ください。