ヨーグルトメーカーでケフィアを作る|ヨーグルトと同じ設定では固まりません
ヨーグルトメーカーを買ったので、せっかくならケフィアも作ってみよう。そう思って、いつものヨーグルトと同じ40℃くらいにセットして24時間。開けてみたらサラサラのまま固まっていない、あるいは変な臭いがする。ケフィア作りでつまずく人の多くが、ここで一度止まります。
じつはこれ、腕の問題でも種菌が悪いわけでもありません。ケフィアはヨーグルトと同じ設定では作れない発酵食品だからです。ヨーグルトが乳酸菌だけで発酵するのに対して、ケフィアは乳酸菌と酵母が一緒に働く共生発酵。酵母は熱に弱いので、ヨーグルトの温度をそのまま使うと種菌のほうが先に弱ってしまいます。
ケフィアの適温は25℃前後で、発酵時間は牛乳なら24時間が確認の目安、場合によっては36時間ほどかかります。この低温長時間という組み合わせは、室温任せだと季節に振り回されるところですが、温度を一定に保てるヨーグルトメーカーとはとても相性がいいんですね。設定さえ間違えなければ、むしろ安定して作れる部類だと思います。
この記事では、ヨーグルトメーカーでのケフィアの作り方を、設定温度と時間、牛乳と種菌の分量、容器の消毒、フタの扱いという順で整理していきます。固まらないときの原因、酸っぱすぎるときやアルコールっぽい香りがするときの考え方、植え継ぎをすすめない理由、種菌の選び方と保存の目安まで、ひととおり触れますね。
- ケフィアとヨーグルトの違いと、設定温度が変わる理由
- ヨーグルトメーカーでの具体的な温度・時間・分量の目安
- 固まらない・酸っぱい・アルコール臭がするときの原因と対処
- 種菌の選び方と、作ったあとの保存のしかた
ヨーグルトメーカーでケフィアを作る手順と温度
まずは基本の作り方からです。特別な道具は要りません。温度を25℃前後に設定できるヨーグルトメーカーがあれば始められます。
ケフィアがヨーグルトと違うのは、乳酸菌に加えて酵母も働いている点です。一般的なヨーグルトは1〜2種類の乳酸菌だけで発酵させますが、ケフィアは複数の菌と酵母が同時に働きます。だから温度も低めで、種菌メーカーの案内でもヨーグルトメーカーの設定温度は25℃とされていて、時間は20〜36時間が目安になります。酵母がいるぶん炭酸ガスが出るので、フタは載せるだけにしてガスの逃げ道を残すのが大事なところですね。もともと粘度がゆるい仕上がりなので、ヨーグルトの固さを基準にすると判断を誤ります。
この章では、ケフィアとヨーグルトの違いは酵母の有無であること、設定は25〜30℃・20〜36時間が目安であること、用意するものと牛乳・種菌の分量、容器の消毒を省かない理由、フタを密閉しないこと、そして固まったかの見分け方を順番に見ていきます。
ケフィアとヨーグルトの違いは酵母の有無
見た目はどちらも白くてとろりとしているので、同じものの呼び方違いだと思っている人も多いかもしれません。でも中身はけっこう違います。いちばん大きな違いは、発酵に関わる菌の種類です。
一般的なヨーグルトは、1〜2種類の乳酸菌だけで発酵させます。菌の種類が少ないぶん、条件をそろえれば結果が安定しやすい。だから40℃台という高めの温度で、短時間できゅっと固まります。
対してケフィアは、乳酸菌と酵母が一緒に働く共生発酵でできています。乳酸菌が4種類以上、酵母が3種類以上といった複数の菌がバランスを取りながら発酵する仕組みです。この酵母がいることが、ケフィア作りのルールをまるごと変えてしまいます。
酵母は糖を分解して、アルコールと炭酸ガスを出します。ケフィアがヨーグルトよりも少し複雑な風味になるのはこのためで、同時に「密閉すると容器の中でガスが溜まる」「高い温度では酵母が弱る」という制約も生まれます。ケフィアの作り方がヨーグルトと違うのは、味の好みの問題ではなく、この菌の構成の違いからきています。
もともとケフィアは、コーカサス地方で伝統的に作られてきた発酵乳です。現地では「ケフィアグレイン」と呼ばれる、白いカリフラワーのような見た目の粒を種として使い、それを牛乳に入れて発酵させ、また取り出して次に使う、というサイクルで受け継がれてきました。この粒そのものが菌の集合体になっているわけですね。
ただ、家庭で手に入るケフィアの種菌は、この粒ではなく粉末タイプがほとんどです。粒を扱うには毎回の洗浄と管理が必要で、家庭では難しいためです。粉末タイプは1包で決まった量を発酵させる使い切り式になっていて、扱いやすさと引き換えに「毎回買い足す」形になっています。この記事で扱うのも、この粉末タイプを前提にした作り方です。
| 項目 | 一般的なヨーグルト | ケフィア |
|---|---|---|
| 発酵に関わる菌 | 乳酸菌のみ(単独発酵) | 乳酸菌+酵母(共生発酵) |
| 菌の種類の数 | 1〜2種類が中心 | 乳酸菌4種類以上・酵母3種類以上 |
| 発酵温度の目安 | 40℃前後 | 25℃前後 |
| 発酵時間の目安 | 数時間〜半日 | 24時間前後(最大36時間) |
| 固さ | しっかり固まる | ゆるめ・とろりとした状態 |
| フタ | 閉めてよい | 密閉しない |
なお、ケフィアの健康面については、体質や食べる量によって受け取り方が変わります。この記事はあくまで「家電を使って安定して作る方法」の話として読んでもらえたらと思います。体調に関わる目的で取り入れたい場合は、最終的な判断は専門家にご相談ください。
設定は25〜30℃・20〜36時間が目安

ここがこの記事のいちばん大事なところです。ケフィアの種菌を製造しているメーカーの案内でも、ヨーグルトメーカーの設定温度は25℃とされています。ヨーグルトの40℃台とはまったく別の帯なので、機種のヨーグルトモードをそのまま押さないようにしてください。
時間は牛乳で作る場合、24時間たったところで一度様子を確認するのが目安です。まだ固まっていなければそのまま続け、最大で36時間ほどを見ておきます。冬場や牛乳が冷えていたときは、24時間ではまだサラサラということも普通にあります。
豆乳で作る場合は少し早く、18時間ほどで一度確認します。豆乳のほうが発酵の進み方が早いためで、同じ感覚で24時間放置すると進みすぎることがあります(出典:ケフラン「ヨーグルトメーカーを使ったケフィアヨーグルトの作り方」)。
ケフィアづくりの基本設定(目安)
- 温度:25℃(上げても30℃まで)
- 時間:牛乳は24時間で一度確認・最大36時間
- 豆乳は18時間で一度確認
- 容器:使うたびに洗って消毒
- フタ:密閉しない
温度を上げれば早く固まるのではないか。そう思うところですが、ここは逆効果になりやすいポイントです。気温が40℃近くになると発酵が進みすぎて種菌が弱まることがあると、メーカー側も注意を促しています。こたつやホットカーペットの上に置いて温度が上がりすぎ、かえって固まらなくなったという例もあるようです。30℃あたりを上限と考えておくのが無難かなと思います。
ちなみに同じヨーグルトメーカーでも、レシピによって適温はまったく違います。麹のみで作る甘酒なら60℃前後と、ケフィアの倍以上の温度帯です。前回の設定が残っていないか、スタート前に必ず確認しましょう。
用意するものと牛乳・種菌の分量

用意するものはシンプルです。温度設定ができるヨーグルトメーカー、専用の内容器または耐熱容器、牛乳(または豆乳)、ケフィアの種菌。以上です。あとは消毒のために熱湯が使えれば十分ですね。
牛乳は未開封のものを使うのが基本です。開封済みの牛乳は、注ぐ・戻すを繰り返す間に空気中の菌が入りやすく、ケフィアの菌と競合してしまいます。牛乳パックのまま発酵させられるタイプの機種なら、パックを開けたらすぐ種菌を入れて始めるのがいちばん安全です。
種菌の量は、パッケージに書かれた既定量を守ってください。ここは自己流でいじらないほうがいい部分です。同じメーカーでも製品によって「1包で牛乳500mL」「1包で牛乳1L」と対応する量が違うので、手元の箱の表示を見て合わせます。多く入れれば早く固まるというものでもなく、菌のバランスが崩れる原因になります。
牛乳は冷蔵庫から出したてよりも、少し常温に戻してから使うほうが立ち上がりが早くなります。とはいえ長く置くと衛生面が気になるので、セットする10〜15分前に出しておくくらいで十分です。
牛乳の種類による違いも押さえておくと役に立ちます。成分無調整牛乳は乳脂肪分と無脂乳固形分がそのまま入っているので、いちばんとろみが出やすく、味も濃く仕上がります。低脂肪乳や無脂肪乳は脂肪分が少ないぶん、できあがりがかなりシャバシャバになりやすい。ケフィアはもともとゆるい発酵乳なので、低脂肪乳で作ると「固まっていない」と誤解しやすいんですね。
どの牛乳なら固まってどれがゆるくなるのかは、種類別名称の欄の読み方から別の記事で詳しく整理しています。
豆乳を使う場合は、無調整豆乳のほうが向いています。調整豆乳は砂糖や油脂が加えられているぶん、発酵の進み方が読みにくくなります。また、豆乳は牛乳よりも発酵が早く進むので、時間の見方も変わってきます(この点は次の項目で詳しく触れます)。
また、成分調整牛乳や低脂肪乳を使うと、仕上がりがさらにゆるくなりやすいです。最初の1回は成分無調整の牛乳で作ってみて、うまくいくことを確認してから種類を変えていくと、原因の切り分けがしやすくなりますよ。
これから買うなら、25℃前後まで下げられて牛乳パックのまま使えるタイプだと、ケフィアにも普通のヨーグルトにも回せて無駄がないですよ。
容器の消毒は省かない|雑菌に弱い理由
ヨーグルト作りでも消毒は大事ですが、ケフィアではさらに重要度が上がります。理由は発酵時間の長さです。ヨーグルトが数時間で終わるのに対し、ケフィアは24時間から36時間、25℃前後の環境に置き続けます。雑菌にとっても居心地のいい時間が、それだけ長く続くということですね。
メーカーの案内でも、容器は使うたびにしっかり洗い、煮沸消毒などの消毒を行うようにと明記されています。専用容器・スプーン・フタと、中身に触れるものはひととおり対象です。
消毒のやり方は難しくありません。よく洗ったあと、耐熱容器なら熱湯を回しかけて自然乾燥させれば十分です。プラスチック製で熱に弱いものは、説明書で耐熱温度を確認してから行ってください。拭き取るときの布巾から菌が戻ることがあるので、拭かずに自然乾燥させるのがコツです。
意外な盲点がスプーンです。種菌を入れたあとに混ぜるとき、洗っただけのスプーンを使ってしまう人は多いと思います。24時間以上かけて発酵させるケフィアでは、この一本から入った菌がじゅうぶん増える時間があります。容器と同じように熱湯をかけておくか、混ぜる工程自体を省いて容器ごと軽く振る方法に変えてしまうのも手です。
牛乳パックのまま発酵させるタイプの機種を使う場合は、パックが未開封であればパック内部は無菌に近い状態なので、消毒の手間はかなり減ります。開けたらすぐ種菌を入れて、付属の長いスプーンで混ぜる。この流れなら外気に触れる時間が短くて済みます。ケフィアのように長時間かける発酵では、この「触れる時間を短くする」という発想が効いてきます。
ここを省いてしまうと、固まらない原因が「温度なのか、時間なのか、雑菌なのか」で切り分けられなくなります。毎回同じ手順で消毒しておけば、うまくいかなかったときに疑う先が減るので、結果的に近道になります。
フタを密閉しない|炭酸ガスが出るから
ケフィア特有の注意点がこれです。ケフィアに含まれる酵母は、発酵の過程で糖をアルコールと炭酸ガスに分解します。つまり、容器の中でガスが発生します。
密閉した容器のまま発酵させると、内部にガスが溜まって容器が膨らんだり、フタを開けた瞬間に中身が吹きこぼれたりすることがあります。ガラス容器やしっかり密閉できる保存容器を使うときは特に注意してください。フタは載せるだけ、あるいは軽くかぶせる程度にして、ガスの逃げ道を残しておきましょう。
ヨーグルトメーカーの専用容器を使う場合は、内フタを使わず外フタをふんわり乗せるだけにします。牛乳パックのまま発酵させるタイプなら、パックの口を完全に閉じきらず、軽く折る程度にしておけば大丈夫です。ホコリが気になるならキッチンペーパーを一枚かぶせておくとよいですね。
できあがったあと冷蔵庫で保存するときも、完全密閉の容器に入れっぱなしにしないほうが安心です。冷えれば発酵はほとんど止まりますが、まったくのゼロにはなりません。保存容器のフタは、きっちり閉めるより軽く閉めるくらいがちょうどいいと思います。
固まったかの見分け方はゆるさで判断
ここで多くの人が誤解します。ケフィアはヨーグルトのようにプリンっと固まりません。もともと粘度がゆるく、さらっとした状態で完成なので、ヨーグルトの固さを基準にすると「まだ固まっていない」と判断してしまいがちです。
見分け方は、容器をそっと傾けてみることです。全体がとろりとひとかたまりになって、ゆっくり動くようなら発酵は進んでいます。牛乳のようにシャバシャバと流れるなら、まだ途中です。スプーンを差し込んだときに、うっすら跡が残るかどうかも目安になります。
確認するときに容器を強く振らないでください。発酵中に揺すると固まりにくくなることがあります。傾けて見る、そっと覗く。この2つで十分に判断できます。
香りも手がかりになります。できあがったケフィアは、ヨーグルトよりやや複雑な、かすかに発泡感のある香りがします。牛乳のままの匂いなら、まだ発酵が始まりきっていないサインです。判断がつかないときは、そのまま2時間ほど延長してもう一度見てみる、という進め方が安全ですよ。
完成を確認したら、そのまま庫内に置きっぱなしにせず、すぐに冷蔵庫へ移してください。25℃のまま放置すると発酵がどんどん進み、酸味が強くなっていきます。冷やすことで発酵の進み方がぐっと緩やかになり、味が落ち着きます。冷蔵庫で数時間冷やしてから食べると、とろみも少ししっかりしてきますよ。
ヨーグルトメーカーのケフィアで失敗しないコツ
ここからはトラブル編です。報告が多いのは「固まらない」「酸っぱすぎる」「アルコールっぽい香りがする」の3つで、どれも原因を切り分けられます。
24時間待ったのにサラサラのまま、というのが典型ですね。この場合は温度と時間、そして種菌と牛乳の状態を順に疑っていきます。逆に36時間まで待った場合や、設定温度を30℃寄りにしていた場合は、想定より酸っぱく仕上がることがあります。つまり同じ設定でも、待つ長さで結果が逆方向へ振れるということです。あわせて、植え継ぎをおすすめしない理由にも触れておきます。菌の種類が多いケフィアでは、回を重ねるほどバランスが崩れやすいからですね。
この章では、固まらないときの原因と対処、酸っぱい・アルコール臭がするとき、植え継ぎはしないほうがいい理由、そして種菌の選び方と保存の目安を整理します。原因の切り分けができるようになると、次からの成功率がぐんと上がりますよ。
固まらないときの原因と対処

ケフィアづくりで圧倒的に多い相談がこれです。24時間待ったのにサラサラのまま。原因は大きく3つに整理できます。
1つめは、単純に待ち時間が足りていないケース。25℃前後で24時間というのはあくまで基本の目安で、冬場に室温が低いと、庫内の温度が安定するまでに時間がかかります。数日置いてようやく固まったという例もあるくらいなので、24時間で判断を急がず、2時間ごとに様子を見ながら36時間まで待ってみてください。
2つめは、温度が高すぎるケース。意外に思うかもしれませんが、これがかなり多いです。ヨーグルトモードのまま40℃前後で回してしまった、夏場に室温が高くて庫内が上がりすぎた、こたつやホットカーペットの上に置いていた。こうした条件で種菌が弱まり、かえって固まらなくなります。
3つめは、雑菌が入ったケース。消毒していない容器、開封済みの牛乳、洗っただけのスプーン。これらから入った菌がケフィアの菌と競合すると、発酵が進みません。
| 症状 | 考えられる原因 | 次回の対策 |
|---|---|---|
| 24時間たってもサラサラ | 待ち時間が足りない | 2時間ごとに見て最大36時間まで待つ |
| 何時間待っても変化がない | 温度が高すぎて種菌が弱った | 設定を25℃に戻す・保温器具の上に置かない |
| 薄い膜や濁りが出る | 容器やスプーンの消毒不足 | 使うたびに熱湯消毒して自然乾燥 |
| 途中で分離した | 発酵中に揺らした・進みすぎ | 動かさない・確認は傾けるだけにする |
| 固まったか判断できない | ケフィアはもともとゆるい | 傾けてとろみが出ていれば完成 |
切り分けのコツは、一度に複数を変えないことです。温度も牛乳も容器も同時に変えると、次にうまくいったとき何が効いたのか分かりません。まずは25℃・成分無調整牛乳・熱湯消毒という基本形で1回作り、そこから1つずつ動かしていくのがおすすめです。
酸っぱい・アルコール臭がするとき
固まったけれど酸味が強すぎる、あるいはお酒のような香りがする。これは発酵が進みすぎたときに起きやすい状態です。
酸味は乳酸菌の働きによるもので、時間が長いほど強くなります。36時間まで待った場合や、設定温度を30℃寄りにしていた場合は、想定より酸っぱく仕上がることがあります。次回は時間を短めに切り上げるか、温度を25℃に戻して調整してみてください。
アルコールっぽい香りのほうは、酵母の働きによるものです。ケフィアは酵母を含む発酵食品なので、微量の発生自体は仕組みどおりのことです。ただし香りが明らかに強いときは、発酵が進みすぎているサインと考えて、次回は確認のタイミングを早めるのがよいと思います。
酸味が強くなってしまったものは、捨てなくても食べ方で調整できます。はちみつやジャムを加える、フルーツと合わせる、スムージーに混ぜてしまう。ケフィアはもともとゆるいので、飲むタイプのアレンジと相性がいいです。塩とオリーブオイル、刻んだきゅうりを合わせて冷たいスープにするという、現地に近い食べ方もあります。次回の設定を直しつつ、今回のぶんはこうして使い切るのが現実的かなと思います。
逆に、酸味が物足りない・味が薄いと感じるときは、発酵が途中で止まっている可能性があります。冷蔵庫に移すのが早すぎたケースですね。この場合は、まだ食べられる状態であれば常温に戻して数時間追加で発酵させる、という手もあります。ただし衛生面のリスクが上がるので、一度冷蔵庫に入れたものを長時間戻すのは避けてください。
一方で、明らかな異臭や、ぬめり、通常と違う色が出ている場合は話が別です。これは発酵ではなく傷んでいる可能性があるので、もったいなくても食べずに処分してください。判断に迷う状態のものを無理に食べないのが基本です。体調に関わる不安がある場合は、最終的な判断は専門家にご相談ください。
植え継ぎはしないほうがいい理由
ヨーグルトだと、できあがったものを少し取り分けて次のバッチの種にする「植え継ぎ」がよく行われます。ケフィアでも同じことをしたくなりますが、こちらはおすすめしにくいです。
理由は菌の構成にあります。ケフィアは乳酸菌と酵母が複数種類、絶妙なバランスで共生している状態です。植え継ぎを繰り返すと、増えやすい菌ばかりが優勢になり、このバランスが崩れていきます。何回か続けるうちに固まらなくなった、風味が変わってしまった、というのは珍しくありません。
加えて、家庭の環境では植え継ぎのたびに雑菌が入るリスクも積み重なります。ヨーグルトでも植え継ぎは2〜3回までとされることが多いのは同じ理由ですが、菌の種類が多いケフィアではその影響がより出やすいわけですね。
どうしても試したい場合は、1回だけにとどめて、味と固まり方が変わっていないか確かめてから判断してください。2回目、3回目と重ねるほど、元の状態から離れていきます。うまくいっているように見えても、菌の構成は目で見えないところで変わっているので、同じ品質が続く保証はありません。
コスト面が気になるところですが、種菌1包で牛乳1本ぶんが作れることを考えると、毎回新しい種菌を使ってもそこまでの負担にはなりにくいです。安定して同じ味を作れることのほうが、結果的に満足度が高いと思います。種菌の種類ごとのコストと温度の目安をまとめた記事もあわせて見てみてください。
種菌の選び方と保存の目安
ケフィアの種菌は、粉末タイプが主流です。1包で決まった量の牛乳を発酵させる形になっていて、開封したらその場で使い切ります。選ぶときのポイントは3つくらいかなと思います。
- 1包で発酵させられる牛乳の量(500mLか1Lかで使い勝手が変わる)
- 1箱あたりの包数と価格(1回あたりのコストで比べる)
- 牛乳だけでなく豆乳にも対応しているか
たとえば10包入りで1,580円の製品なら、1包あたりは158円です。これで牛乳1Lを発酵させるとすると、牛乳代を仮に250円として合計408円。できあがりは約1L分なので、100mLあたりおよそ41円という計算になります。市販のヨーグルトやケフィア飲料と比べるときは、この「100mLあたり」に揃えると判断しやすいです。価格は変動するので、実際の数字はご自身の購入価格に置き換えて計算してみてください。
まず1袋だけ試してみたいなら、牛乳でも豆乳でも使えるタイプを選んでおくと、あとから作り分けができます。
1回あたりのコストは「箱の価格 ÷ 包数」で出せます。ここに牛乳代を足せば、市販のヨーグルトを買う場合と比べられますね。毎日食べるなら1L対応のものを、まず試したいだけなら少量パックを、という選び方でよいと思います。価格や内容量は変わることがあるので、正確な情報は公式サイトをご確認ください。
種菌そのものの保存は、直射日光と高温多湿を避けた場所が基本です。未開封であれば常温保存できる製品が多いですが、これも製品ごとに違うのでパッケージの表示に従ってください。開封後に余らせて次回に回す、という使い方は想定されていないので、既定量どおりに使い切る前提で買う量を決めるのがおすすめです。
できあがったケフィアの保存は、冷蔵庫で数日以内に食べきるのが目安です。冷やしても発酵はゆっくり進むので、日が経つほど酸味が強くなっていきます。自家製の発酵食品の日持ちの考え方については、ヨーグルトメーカーで作ったもののメニュー別の目安をまとめた記事も参考になると思います。いずれも一般的な目安なので、保存環境によって変わる点はご了承ください。
ヨーグルトメーカーのケフィアについてよくある質問
ヨーグルトモードの40℃で作ってしまいました。食べても大丈夫ですか?
まず状態を確認してください。固まっておらず牛乳のままなら、種菌が弱って発酵が進んでいない可能性が高いです。異臭やぬめりがなければすぐに危険というわけではありませんが、狙った発酵にはなっていないので、無理に食べずに作り直すことをおすすめします。次回は設定を25℃に変えてから始めてください。
25℃に設定できない機種でもケフィアは作れますか?
設定温度の下限が25℃より高い機種だと、ケフィアには向きません。最低設定が30℃前後までなら作れる可能性はありますが、種菌が弱るリスクが上がります。これから買うなら、25℃前後まで下げられる機種を選んでおくと、ケフィアにも発芽玄米にも使えて用途が広がります。対応温度の正確な情報は公式サイトをご確認ください。
豆乳でも同じ設定で作れますか?
温度は同じ25℃で問題ありませんが、時間は短めに見てください。豆乳は牛乳より発酵の進み方が早いため、18時間ほどたった時点で一度様子を確認するのが目安とされています。牛乳と同じ感覚で24時間置くと進みすぎることがあります。なお、豆乳に対応していない種菌もあるので、パッケージの表示を確認してから使ってください。
発酵中に容器を動かしたり、混ぜたりしてもいいですか?
基本的に動かさないでください。発酵中に揺すると固まりにくくなることがあります。様子を見たいときは、容器を持ち上げずにそっと傾けるか、上から覗く程度にとどめてください。混ぜるのは、完成して冷蔵庫に移してから食べる直前で十分です。
まとめ|ヨーグルトメーカーのケフィアの要点
ヨーグルトメーカーでケフィアを作るときにやることは、実はそれほど多くありません。容器を消毒して、未開封の牛乳に既定量の種菌を入れ、25℃で24時間。フタは密閉せず、途中で揺らさない。傾けてとろみが出ていたら完成です。この流れさえ守れば、季節に関係なく同じ結果を出せます。
いちばん大事なのは、ヨーグルトの設定を流用しないことです。ケフィアは乳酸菌と酵母の共生発酵で、酵母は高い温度に弱い。だから40℃台ではなく25℃前後、数時間ではなく24〜36時間。この2つの数字を入れ替えるだけで、失敗の大半は消えます。
うまくいかないときの切り分けも決まっています。サラサラのままなら、まず時間が足りているか。それでも変化がなければ温度が高すぎなかったか。膜や濁りが出たなら消毒不足。この順で疑っていけば、原因はだいたい特定できます。一度に複数の条件を変えないのがコツですね。
植え継ぎはせず、毎回新しい種菌を使う。これも覚えておくと安定します。菌の種類が多いぶん、バランスが崩れやすいのがケフィアの性質です。同じ味を毎回再現できることのほうが、長く続けるうえでは効いてきます。
ヨーグルト以外に使い道がなくてしまい込んでいるヨーグルトメーカーがあるなら、ケフィアはかなり面白い使い道だと思います。ヨーグルトとは違う風味ですし、低温で長く回すという普段使わない設定を試す機会にもなります。まずは基本形の1回から試してみてください。
なお、この記事で紹介した温度・時間・分量はあくまで一般的な目安です。機種によって設定できる温度の下限や保温の精度は違いますし、種菌ごとの既定量も製品によって変わります。お使いのヨーグルトメーカーの取扱説明書と、種菌のパッケージ表示をあわせて確認してみてください。正確な情報は公式サイトをご確認ください。