除湿機がうるさい時の対策|振動を抑える置き方と防振マット
除湿機を回すと部屋に低いうなりが響く。夜に使うと自分が眠れないし、集合住宅だと階下に伝わっていないかも気になる。そんな理由で音を何とかしたいと思っている方は多いと思います。
先にお伝えしておくと、うるさいと感じている音は、機械が出している音そのものだけではありません。本体の振動が床に伝わり、床や壁を鳴らして大きく聞こえているぶんが混ざっています。ここを分けて考えると、打つ手が見えてきます。
実際、対策の効き目もそこに集中しています。防振マットを敷いて水平で硬い床に置き直す。これだけで体感がかなり変わることがあります。逆に、本体そのものの音は構造で決まる部分が大きいので、そちらを求めるなら方式の選び直しという話になります。
この記事では、まず音の正体を切り分けるところから始めます。異常ではない音の見分け方、カタログの騒音値の読み方、置き方の直し方、そして夜間や集合住宅での運用まで順に整理していきますね。
- 機械の音と床に伝わる振動を切り分ける考え方
- 異常ではない音とそうでない音の見分け方
- 置き方と防振マットで音を減らす具体的な手順
- 夜間や集合住宅での運用と、方式から見直す判断
除湿機の音はどこから出ているのか
対策の前に、音の出どころを整理します。ここを飛ばすと、効かない対策にお金と手間をかけることになります。
除湿機の音は、大きく3つに分けられます。ファンが風を送る音、コンプレッサー(圧縮機=冷媒を圧縮するポンプです)が動く音、そして本体の振動が床や壁に伝わって響く音です。このうち3つ目は、置き方で減らせます。
この章では、この切り分け方と、そもそも異常ではない音の見分け方、そしてカタログに書かれた騒音値をどう読めばいいのかまでを扱います。
順番に意味があります。異常ではない音に対策を打っても消えませんし、そもそも故障の前触れだった場合は対策どころではありません。まず正体を見極めてから、手を打つ範囲を決めていきましょう。
機械そのものの音と床に伝わる振動は別

同じ機種でも、置く場所によって聞こえ方が変わることがあります。これが振動の影響です。
本体が動くと、その振動が接地面から床に伝わります。床が薄い、下地が空洞になっている、家具に触れているといった条件がそろうと、床材や家具が一緒に鳴って音が増幅されます。本体の音は変わっていないのに、部屋に響く音は大きくなるわけですね。
この現象を共振(きょうしん=振動が別のものに伝わって一緒に揺れることです)といいます。楽器の胴が弦の振動を大きな音に変えるのと同じ理屈で、床や家具が意図せず胴の役割をしてしまっている状態です。だから、伝わり道を断つだけで音が減ります。
確かめ方は2つあります。安全な順に紹介しますね。
ひとつめは、運転中の本体に手のひらを軽く当ててみる方法です。押さえた瞬間に音が小さくなるなら、外装や部品が振動して鳴っています。そのまま床に手をついてみて、床が細かく震えているのが分かるなら、振動が床へ伝わっている証拠です。この方法なら本体を動かさずに済みます。
ふたつめは、厚手のタオルを数枚重ねた上に一時的に載せて運転し、床への伝わりを断ってみる方法です。音が明らかに小さくなるなら、床に伝わる振動の影響が大きいということになります。
ふたつめを試すときは、先にタンクの水を空にしてから本体を移してください。水が入ったまま持ち上げたり傾けたりすると、こぼれて床を濡らしますし、内部に水が回る原因にもなります。柔らかい面の上は本体が傾いて不安定になりますので、確認は短時間にとどめ、ぐらつきを感じたらすぐ運転を止めて元の場所へ戻してください。重い機種を無理に持ち上げるのは避け、ひとつめの手を当てる方法で判断していただくほうが安全です。
どちらの方法でも、確認しておくと次の手が決まります。床への振動が主体なら置き方と防振で、機械そのものの音が主体なら運転モードか方式の選び直しで、という具合です。
異常ではない音を先に切り分ける
音の中には、故障ではないと取扱説明書に明記されているものがあります。これを知らずに修理を頼むと、時間も費用も無駄になります。
ここでは、コンプレッサー式の除湿機と機構が共通する製品の例として、山善の移動式クーラーYEC-K222の取扱説明書を見てみます。冷媒を圧縮して空気から水を取り出す仕組みは、除湿機のコンプレッサー式と同じ考え方だからです。この説明書の「故障かな?と思ったら」の項目には「音がする」という症状があり、運転中や停止直後に「シュー」という音がすることがあるものの、これは内部の冷媒が流れる音なので異常ではない、と書かれています。
ほかにも、正常な範囲に入る音があります。
→ 横にスクロールできます
| 音の種類 | 正体として考えられるもの | 扱い |
|---|---|---|
| シューという音 | 内部を冷媒が流れる音 | 取扱説明書に異常ではないと明記されている機種がある |
| ブーンという低いうなり | コンプレッサーの運転音 | コンプレッサー式では構造上出る |
| ゴーという風の音 | ファンが空気を送る音 | 風量を落とすと小さくなる |
| カタカタと断続する音 | タンクの入り方、部品の緩み | 入れ直しや設置の見直しで消えることが多い |
| キーン、ガリガリなど金属的な音 | これまでしなかった音なら注意 | 運転を止めて相談する |
最後の行だけは扱いが違います。以前はしなかった金属的な音や、焦げた臭い、発熱をともなう音は、置き方の話ではありません。運転を止めて電源プラグを抜き、販売店かメーカーへご相談ください。運転が途中で止まることをともなう場合の切り分けは除湿機が途中で止まる5つの原因をまとめた記事にも整理してあります。
カタログの騒音値の読み方
機種を比べるとき、仕様欄の騒音値は手がかりになります。ただし読み方にコツがあります。
たとえば山善の移動式クーラーYEC-K222の仕様欄では、騒音値が約55デシベルと記載されています。この数字は決まった条件で測った値なので、実際の部屋でそのとおりに聞こえるとは限りません。部屋の広さ、床材、家具の量、測る位置によって体感は変わります。
それでも、機種同士を比べる目安としては使えます。同じ条件で測った数字どうしを並べれば、どちらが静かな設計かは分かるからです。カタログに強運転と静音運転の両方が載っている場合は、実際に使う運転モードのほうを見てください。
デシベルは音の大きさを表す単位ですが、目盛りが等間隔ではありません。数値が10増えると、感じる音の大きさはおよそ2倍になるといわれます。つまり50デシベルと55デシベルの差は、数字の見た目より小さく感じられ、50デシベルと60デシベルの差はかなり大きく感じられる、ということですね。カタログを見比べるときは、この感覚の差を頭に入れておくと選びやすくなります。
置き方で変わる音と振動
ここからが実践です。費用をかけずに効くのは、置き方の見直しです。
前の章で「床から浮かせると静かになる」なら、この章の対策がそのまま効きます。逆に変わらなかった場合でも、置き方を整えておくこと自体に損はありません。
順番としては、水平で硬い床に置く、壁や家具から離す、そのうえで防振マットを敷く、という流れです。効果の大きい順に並べていますので、上から試してみてください。
最初の2つは費用ゼロで、しかもいちばん効くことが多いところです。防振マットを買う前に、まず置き場所を見直してみてください。それだけで解決してしまうことも珍しくありませんよ。
水平で硬い床に置く
いちばん基本で、いちばん効きます。
山善の移動式クーラーYEC-K222の取扱説明書には、平らでしっかりとした床面に設置すること、水平で丈夫な場所で使用することが書かれています。さらに「故障かな?と思ったら」の項目では、水がもれる症状に対して、傾斜した場所や不安定な場所に置いていないかを確認し、安定した水平な場所で使うよう案内されています。メーカーが設置面の条件をわざわざ書いているのは、そこが性能と安定性に効くからです。
避けたいのは、畳、厚手のカーペット、たわむ床、すのこの上、洗濯機の防振ゴムの上などです。柔らかい面は本体が沈み込んで傾きますし、たわむ床は本体の振動をそのまま増幅します。
とくに注意したいのが、床の下が空洞になっている場所です。木造住宅の2階や、根太(ねだ=床板を支える横木のことです)の間隔が広い床は、太鼓のように振動を増幅するといわれます。同じ機種でも1階と2階で音の感じ方が違うのは、これが理由のひとつです。壁際や柱の近くなど、床が硬く感じる位置に移すだけで変わることがあります。
硬い板を1枚敷くだけでも変わります。厚みのあるまな板、カラーボード、コンパネの端材など、本体の底面より一回り大きくてたわまないものを選んでください。板の上に置いてから、本体の上に水平器かスマートフォンの水準器アプリを載せて確認します。
キャスター付きの機種は、キャスターが段差や溝にはまっていないかも見ておきましょう。ひとつだけ浮いていると、そこから振動が偏って伝わります。畳のへり、フローリングの継ぎ目、カーペットの端をまたいで置いていないかも確認してください。
板を選ぶときは、本体の底面より少し大きいものにします。小さいと角が板の外に出てしまい、かえって不安定になるからです。厚みは1センチ以上あると安心で、薄いベニヤのようにたわむものは避けたほうがいいですね。
壁や家具から離す
次に効くのが、周りとの距離です。ここも費用はかかりません。
除湿機は壁際に寄せて置かれがちですが、音の面ではそれが不利に働きます。
本体が壁や家具に触れていると、振動が直接伝わって相手を鳴らします。とくに薄い合板の家具、引き戸、収納の扉などは共鳴しやすく、本体より大きな音を出すことがあります。数センチ離すだけで消えることも珍しくありません。
あわせて、吸込口と吹出口の前をふさがないでください。空気の通り道が狭いと風の音が大きくなりますし、除湿の効率も落ちます。壁際に置くなら、吸排気の面を壁に向けない配置にします。
コーナー(部屋の角)も避けたい場所です。2面の壁に囲まれると音が反射して集まり、実際より大きく響いて聞こえます。部屋の角にぴったり置いている方は、少し中央側へ寄せてみてください。
触れている家具の中身も影響します。空の引き出しや、扉が軽く閉まっているだけの収納は、内部の空気が共鳴して低い音を増幅します。除湿機を家具から離すのが難しいときは、家具側の扉を確実に閉める、中に物を入れて空洞を減らす、といった手も効きます。
置き場所は、音だけでなく除湿の効率にも直結します。部屋のどこに置くのが基本なのか、寝室ではどう置くのかは除湿機を置く場所の基本と目的別の最適解をまとめた記事で扱っていますので、あわせて読むと配置が決まりやすいと思います。
音が気になるときは、本体に手を当ててみると原因が分かることがあります。本体を軽く押さえて音が小さくなるなら、外装や内部の部品が共振しています。逆に押さえても変わらないなら、床に伝わっている振動か、ファンやコンプレッサーそのものの音です。この一手間で、次に何をすればいいかが絞れますよ。
防振マットの選び方

置き方を整えたうえで、さらに一段効かせたいときの手です。
防振マットは、本体と床のあいだで振動を吸収する部材です。洗濯機用として売られているものが流用しやすく、ゴム製やジェル製、それらを組み合わせたものがあります。洗濯機は脱水時に強く振動する家電なので、その対策として作られたものは除湿機にも十分に働きます。
選ぶときの目安は3つです。
- 本体の脚やキャスターを受けられる大きさと形であること
- 柔らかすぎず、本体が沈んで傾かない硬さであること
- 水に濡れても傷まない素材であること
2つ目が意外と重要です。柔らかいほど振動を吸うように思えますが、沈み込んで本体が傾くと、別の問題を呼び込みます。硬い板を敷いたうえに、薄い防振マットを重ねるという組み合わせだと、水平を保ったまま振動だけ減らせます。
3つ目も忘れないでください。除湿機は水を扱う家電なので、タンクの水がこぼれる場面があります。水を吸って傷む素材だと、そこから劣化してカビの土台にもなります。ゴムやシリコンのように水に強い素材を選び、ときどき持ち上げて下を乾かしてください。
洗濯機用として売られている防振ゴムは、脚を受ける形になっていて硬さもあるので、この3つの目安に当てはめやすいです。ゴム製なら水に濡れても傷みにくいところも、除湿機と相性がいいですね。取り付ける前に、お手持ちの機種の脚やキャスターの形と内径が合うかをご確認ください。
サイズ・仕様・価格は変わりますので、購入前に販売ページで最新の情報をご確認ください。
なお、防振マットは床に伝わる振動には効きますが、空気を伝わってくる音そのものは減りません。ファンの風切り音やコンプレッサーの運転音が主体だった場合、効果は限定的です。前の章の「持ち上げて確認する」を先にやっておくと、期待値を間違えずに済みます。
厚みのある防音マットを重ね敷きするのも、あまりおすすめしません。柔らかい層が厚くなるほど本体は不安定になり、傾きによる水漏れや動作の異常を招きます。静かさより先に、水平と安定が優先だと考えてください。
夜間とマンションでの使い方
ここからは運用の話です。音の大きさそのものより、いつ鳴っているかのほうが問題になる場面があります。
とくに集合住宅では、昼間なら気にならない音が、夜には目立ちます。人が静かになるぶん、相対的に大きく聞こえるからですね。
この章では、夜間の音についての公的な目安と、時間をずらす運用、そして運転モードの使い分けを見ていきます。集合住宅で気になっている方は、ここが実践の中心になると思います。
ここでの考え方は「音を小さくする」だけではありません。鳴らす時間そのものを動かす、という手があります。除湿は溜め置きが効くので、この発想が使えるんですよね。
夜間の音の目安を知っておく

数字の感覚を持っておくと、判断がしやすくなります。
環境省が定める騒音に係る環境基準では、専ら住居の用に供される地域や主として住居の用に供される地域について、昼間は55デシベル以下、夜間は45デシベル以下という基準値が示されています。時間の区分は、昼間が午前6時から午後10時まで、夜間が午後10時から翌日の午前6時までとされています(出典:環境省「騒音に係る環境基準について」)。
ただし、この環境基準は屋外で測る地域の環境を対象にしたものです。室内で使う家電の音を直接あてはめて「基準を超えている」と判断できる性質のものではありません。ここでは、夜間に許容される音のレベルは昼間より10デシベル低く設定されている、という考え方の参考としてご覧ください。
実際の騒音トラブルの判断は、お住まいの自治体の条例や管理規約によって変わります。気になる場合は、管理会社や自治体の窓口へご相談ください。
音の大きさの感覚をつかむために、身近な例も並べておきます。一般に、40デシベル前後が図書館の中や静かな住宅街の深夜、50デシベル前後が静かな事務所やエアコンの室外機のそば、60デシベル前後が普通の会話の声、といわれます(いずれも目安で、測る条件によって変わります)。除湿機の運転音が50デシベル台なら、静かな部屋では会話よりは小さいものの、深夜には確実に存在が分かるレベルということになります。
それでも、押さえておきたいのは考え方のほうです。夜は昼より静かであることが求められるという前提が、公的な基準にも表れている。だから、昼間なら問題にならない運転が、夜には配慮の対象になるわけですね。
時間をずらす運用に切り替える
音を小さくするのではなく、鳴らす時間を変えるという発想です。
除湿には、湿度を下げてしまえばしばらく維持されるという性質があります。締め切った部屋なら、外から湿気が入ってくる量は限られるからです。だから、寝る前にしっかり除湿しておいて、就寝時には止めるという使い方が成り立ちます。
具体的には、こんな組み立てになります。
→ 横にスクロールできます
| 時間帯 | やること | ねらい |
|---|---|---|
| 帰宅後から就寝前 | 強め・扉を閉めて集中的に運転 | 音を気にせず一気に湿度を下げる |
| 就寝の30分前 | 切タイマーをセット、または停止 | 眠りにつく時間に音を残さない |
| 就寝中 | 止める、または静音モード | 階下と自分の睡眠を守る |
| 外出中 | タイマーで運転 | 誰もいない時間に働かせる |
部屋干しをしている場合は、洗濯のタイミングを前倒しするだけで、夜に回す必要がなくなることもあります。乾かす時間を確保できるなら、朝や日中に運転を寄せてしまうほうが確実です。
切タイマーがない機種でも、コンセント式のタイマーを使えば同じことができます。決めた時刻に電源を切る仕組みなので、寝る前に消し忘れる心配もありません。ただし、機種によっては電源を突然切ることを想定していないものもありますので、取扱説明書に外部タイマーについての記載がないか確認してから使ってください。
湿度の維持という点では、扉を閉めておくことも効きます。除湿した空気が廊下や隣室へ逃げなければ、それだけ低い湿度が長持ちします。運転を止めたあとも扉を閉めておく、というだけの話ですが、夜の運転を減らすうえでは効き目があります。
静音モードと弱運転の使いどころ
どうしても夜に動かしたい場合の手です。
多くの機種には静音モードや弱運転があり、ファンの回転を落とすことで音を下げています。ただし、風量が減れば単位時間あたりに処理できる空気の量も減るので、除湿のペースは落ちます。静かさと除湿量は引き換えだと考えてください。
使い分けの目安はこうです。部屋干しの洗濯物を朝までに乾かしたいなら、静音モードでは間に合わないことがあります。一方、すでに湿度を下げてある部屋を維持したいだけなら、弱運転で十分です。
衣類乾燥モードを持つ機種では、送風を強めて洗濯物に風を当てる作りになっているものが多いところです。当然ながら音は大きくなりますので、夜間に使うモードとしては向きません。乾燥は日中に、維持は夜に、という切り分けが現実的だと思います。
風量を落とすと、音の高さも変わります。ファンの回転が下がることで、シャーという高めの風切り音が減り、低い音が相対的に目立つようになります。低い音は壁や床を通り抜けやすいので、集合住宅では静音モードにしても階下への伝わりはあまり減らない、ということが起こりえます。ここでも効くのは、床への振動を断つ防振のほうです。
もうひとつ、コンプレッサー式の場合は運転の入り切りにも音が出ます。設定湿度に達すると止まり、上がるとまた動き出すという動作を繰り返すので、静かな部屋ではその起動音が耳につきます。設定湿度を実際の湿度に近づけすぎると入り切りが頻繁になるので、少し余裕を持たせるほうが結果的に静かなことがあります。
置き方で足りないときは方式から見直す
ここまでの対策でも足りない場合があります。そのときは、機械の側に原因が残っているということです。
置き方と運用でできることには限界があって、本体そのものが出す音は構造で決まります。とくに寝室で毎晩使うと決まっているなら、次の一台を選ぶ段階から音を条件に入れるほうが早い、という判断もありえます。
すぐ買い替えを勧めたいわけではありません。ただ、方式によって音の出方に差があることを知らないまま我慢し続けるのは、もったいないと思います。ここでは方式ごとの違いだけ押さえておいてください。
コンプレッサー式は構造上音が出る
方式によって、音の出方は違います。
コンプレッサー式は、冷媒を圧縮するポンプを積んでいます。動く部品がある以上、その運転音と振動はゼロにはできません。除湿能力が高く、夏に強く、電気代も抑えやすいという長所と引き換えの部分です。
デシカント式は乾燥剤とヒーターで水分を取り出す方式で、圧縮機を持ちません。そのぶん振動は少なめですが、ヒーターを使うので室温が上がりやすく、消費電力も大きくなりがちです。ファンは回るので無音ではありません。
音の「質」も違います。コンプレッサー式は低いうなりが断続するタイプで、床を伝わって階下に届きやすい性質があります。デシカント式は風の音が中心で連続的なので、耳につきにくい代わりに常に鳴っている状態になります。どちらが気になるかは人によって分かれるところです。
両方の方式を切り替えるハイブリッド式もあります。季節に応じて有利なほうを使う設計ですが、圧縮機を積んでいる以上、コンプレッサー側で動いているときは振動が出ます。音を最優先にするなら、この点も見ておいてください。
つまり、どちらにも一長一短があります。寝室で毎晩使うのが前提なら音を優先し、夏のリビングで一気に除湿したいなら能力を優先する、という決め方になります。方式ごとの違いは除湿機の方式の違いを一覧で比較した記事に整理してありますので、迷ったらそちらで確認してみてください。
買い替えを検討する段階なら、音だけでなく除湿能力や適用畳数もあわせて決め直すことになります。決める順番は除湿機の選び方を5つの順番で解説した記事にまとめてあります。なお、仕様・価格・在庫は変わりますので、購入前に各メーカーの公式サイトで最新の情報をご確認ください。
除湿機の騒音に関するよくある質問(FAQ)
急に音が大きくなりました。故障でしょうか?
まず置き場所が変わっていないかを思い出してください。掃除のときに動かして、そのままの位置で使っている、というのはよくあることです。次にタンクの入り方と、本体が水平かを確認します。それでも変わらず、以前はしなかった金属的な音がする、焦げた臭いや発熱をともなうという場合は、置き方の問題ではありません。運転を止めて電源プラグを抜き、販売店やメーカーへご相談ください。
「シュー」という音がしますが大丈夫ですか?
機種によっては、内部の冷媒が流れる音として取扱説明書に明記されています。山善の移動式クーラーYEC-K222の説明書には、運転中や停止直後に「シュー」という音がすることがあり、これは内部の冷媒が流れる音なので異常ではない、と書かれています。ただし表記は機種によって違いますので、お手持ちの機種の取扱説明書の「故障かな?と思ったら」の項目を確認してみてください。
防音マットと防振マットはどちらを買えばいいですか?
除湿機の場合は防振マットのほうが向いています。防音マットは空気を伝わる音を吸収するもので、床に伝わる振動を止める用途とは狙いが違うからです。除湿機の音で問題になりやすいのは床に伝わる振動なので、まず防振から試すのが順番として合っています。本体を持ち上げて運転したときに音が小さくなるなら、防振で効く可能性が高いと考えてください。
マンションで夜に使っても大丈夫でしょうか?
一律には言えません。建物の構造、床の厚さ、隣接する部屋の位置で伝わり方が変わりますし、管理規約で生活音について定めがある物件もあります。できることとしては、防振マットを敷いて床への伝わりを減らす、就寝前に集中して運転して夜間は止める、静音モードを使う、といった対策があります。環境省の環境基準でも夜間は昼間より10デシベル低い値が示されていて、夜のほうが静かさを求められるという考え方が表れています(この基準は屋外の地域環境が対象で、室内の家電の音に直接あてはめるものではありません)。心配な場合は管理会社に相談してみるのが確実です。
カタログの騒音値が小さい機種を選べば静かになりますか?
機種同士を比べる目安にはなりますが、それだけで決まるわけではありません。カタログ値は決まった条件で測った数字なので、部屋の広さや床材、置き方によって実際の聞こえ方は変わります。床に伝わる振動も数値には表れません。数値が近い機種で迷ったときの判断材料として使い、置き方の対策とセットで考えるのが現実的です。表示されている運転モードが強なのか静音なのかも、あわせて確認してください。
まとめ|除湿機の音は振動から手をつける
最後に、順番をまとめておきます。
うるさいと感じたら、まず音の出どころを切り分けてください。本体を持ち上げて運転してみて、音が小さくなるなら床に伝わる振動が主体です。変わらないなら、ファンやコンプレッサーそのものの音ということになります。
振動が主体なら、対策はよく効きます。水平で硬い床に置き直す、壁や家具から数センチ離す、硬い板の上に薄い防振マットを重ねる。この3つで体感はかなり変わります。柔らかいマットを厚く敷くと本体が傾いて別の問題が出るので、硬さと水平を優先してください。
それでも夜が気になるなら、鳴らす時間をずらす運用に切り替えます。就寝前に集中して除湿し、寝るときは止める。締め切った部屋なら湿度はしばらく維持されます。どうしても夜に動かすなら静音モードですが、そのぶん除湿のペースは落ちると理解しておいてください。
ここまでやっても足りないなら、機械そのものの音が原因です。コンプレッサー式は圧縮機を持つ以上、音と振動をゼロにはできません。寝室で毎晩使うのが前提なら、次の一台は方式から見直すほうが早いと思います。
なお「シュー」という音のように、取扱説明書で異常ではないと明記されている音もあります。修理を頼む前に、お手持ちの機種の説明書の「故障かな?と思ったら」を一度見てみてください。以前はしなかった金属的な音や、焦げた臭い、発熱をともなう場合は別の話です。年数にかかわらず運転を止め、最終的な判断は販売店やメーカーなどの専門家にご相談くださいね。