本サイトはアフィリエイト広告(Amazonアソシエイト含む)を利用しています
KADEN LAB

CLIMATE / RESEARCH REPORT

スポットクーラーのダクトレスは冷えない?排熱の仕組みと向いている使い方

部屋全体を冷やすイメージには×、人のいる一点だけを直接冷やすイメージには○を付けて比べた図

スポットクーラーのダクトレスを買う前に|部屋全体は冷えない理由を仕組みから説明します

Kaden Lab研究員レン

RESEARCHER / レン

こんにちは。Kaden Lab研究員のレンです。

工事がいらない、窓パネルもいらない、置くだけで涼しくなる。ダクトレスのスポットクーラーは、そんな触れ込みで並んでいることが多いですよね。エアコンが付けられない部屋、賃貸で穴を開けられない部屋、キッチンや脱衣所のような短時間だけ涼みたい場所。候補に挙がる理由はよく分かります。

ただ、買ってから「思っていたのと違った」となる人がかなり多いのも事実です。冷風は確かに出るのに部屋が涼しくならない、むしろ暑くなった気がする、湿気っぽくなった。こういった声が出るのには、はっきりした理由があります。しかもそれは製品の性能の問題ではなく、仕組みそのものからくる話なんですね。

結論を先に言うと、ダクトレスのスポットクーラーは部屋全体を冷やす道具ではなく、人に冷風を当てる道具です。ここを取り違えなければ、かなり便利に使えます。逆に「エアコンの代わり」として期待すると、ほぼ確実に外れます。

この記事では、まずダクトレスと呼ばれる製品が3つのタイプに分かれることを整理して、それぞれ熱をどう処理しているのかを見ていきます。そのうえで、部屋が暑くなる理屈、湿気が増える理屈、それでも局所冷却には効く理由、向いている場所と向かない場所、排水の手間、電気代の見方まで扱います。買う前の判断材料としてひととおり揃えるつもりで書きますね。

  • ダクトレスと呼ばれる製品の3タイプと熱の処理のしかた
  • 排熱を室内に出すと部屋が暑くなる理由
  • 局所冷却として使うなら効く場面と向かない場面
  • 排水の手間と電気代の見積もり方
スポンサーリンク

スポットクーラーのダクトレスとは何か

まずは言葉の整理からです。ダクトレスという言い方でひとまとめにされている製品は、熱の扱い方で3つのタイプに分かれます。

そもそもエアコンは熱を作る装置ではなく、運ぶ装置です。熱は高い温度から低い温度へ移動するという法則を利用して、冷媒自身を温めたり冷やしたりしながら熱を移しています。だから排気の出口がなければ、吸い取った熱はその部屋に戻ってくるだけなんですね。コンプレッサー式で排熱を室内に出したまま使うと部屋の温度は下がりませんし、水冷式は熱を湿気に変えているので温度計には表れにくいものの、熱量としては消えていません。冷風扇はそもそも別の道具で、下がるのは風が当たっている範囲で数℃程度と考えておくのが現実的です。

この章では、ダクトレスの3つのタイプを分けること、エアコンは熱を作らず運ぶ装置であること、排熱を室内に出すと部屋は暑くなること、水冷式は熱を湿気に変えていること、冷風扇は別の道具であること、そしてそれでも局所冷却には効くことを順に見ていきます。

スポンサーリンク

ダクトレスの3つのタイプを分ける

コンプレッサー式・水冷式・冷風扇それぞれの冷やす仕組みと熱の行き先、部屋全体への影響をまとめた表
ダクトレスと呼ばれる3タイプの熱の行き先

ダクトレスと表示されている製品は、大きく3つに分けられます。販売ページで「排熱なし」「排気ダクト不要」と書かれているものも、指しているのは同じ仕組みです。混同されがちですが、冷える仕組みも、部屋への影響もそれぞれ違います。

タイプ 冷やす仕組み 熱の行き先 部屋全体への影響
コンプレッサー式(排熱を室内へ) 冷媒で熱を移動させる 本体の後ろや上から室内へ 室温は上がる
水冷式・ハイブリッド式 冷媒で冷やし排熱を水で処理 水蒸気として室内へ 湿度が上がる
冷風扇(気化式) 水が蒸発するときの気化熱 もともと熱を出さない 湿度が上がる

商品ページでどのタイプかを見分けるコツもあります。見るのは仕様表の3か所です。ひとつめは「冷房能力」の欄。kWやW、または「◯◯kcal/h」という表記があればコンプレッサーを積んでいます。この欄が空欄で風量しか書かれていなければ、冷風扇である可能性が高いです。ふたつめは「排気口」や「排熱ダクト」の項目。あれば排熱を外へ出せる構造です。みっつめは「給水タンク容量」。水を入れる前提なら水冷式か冷風扇です。

キャッチコピーは各社で表現が違うので、言葉ではなくこの3つの欄で判断するのが確実です。「工事不要」「置くだけ」といった表現はどのタイプにも使われますし、「冷風」という言葉も冷風扇とコンプレッサー式の両方で使われます。

いちばん多いのが1つめのコンプレッサー式です。業務用のスポットクーラーと同じ仕組みで、しっかり冷たい風が出ます。排気ダクトを窓から外へ出すのが本来の使い方ですが、ダクトレスと銘打った製品はこの排熱を室内に出しています。

2つめの水冷式は、排熱を水にぶつけて冷ましてから出すタイプです。「熱くない風が出る」と説明されることが多く、一見すると理想的に見えます。ただし後述するように、熱そのものが消えているわけではありません。

なお、水冷式には「熱を捨てているのではなく、熱の出方を穏やかにしているだけ」という側面があります。排熱の温度が下がるので本体まわりは熱くなりませんが、そのぶん水が減っていきます。水が減るスピードは、それだけ熱を処理している量に比例していると考えると分かりやすいですね。

3つめの冷風扇は、そもそもコンプレッサーを積んでいません。水を含ませたフィルターに風を通し、水が蒸発するときに熱を奪う性質を使って風を冷やします。厳密にはスポットクーラーとは別カテゴリの製品ですが、同じ売り場に並んでいることが多いので、ここに入れておきます。

スポンサーリンク

エアコンは熱を作らず運ぶ装置

エアコンは室外機から屋外へ排熱するのに対し、ダクトレスのスポットクーラーは同じ室内へ排熱することを示した図
エアコンとスポットクーラーで熱の行き先が違う

なぜタイプによって部屋への影響が変わるのか。その理由は、冷房という仕組みの根っこにあります。

エアコンやスポットクーラーは、冷たさを作り出しているわけではありません。やっているのは、ある場所の熱を別の場所へ移すことです。この運び役をしているのが冷媒と呼ばれる物質で、メーカーの解説でも「冷媒とは、エアコンなどで、冷房や暖房時の熱を運搬する物質」と説明されています。熱は高い温度から低い温度へ移動するという法則を利用して、冷媒自身を温めたり冷やしたりしながら熱を運ぶ、という仕組みですね(出典:ダイキン工業「ヒートポンプは熱をどう運ぶ?」)。

家庭のエアコンで言えば、室内機が部屋の熱を受け取り、その熱を室外機が外へ捨てています。夏に室外機から熱風が出ているのは、部屋から運び出した熱をそこで放出しているからです。つまり冷房とは、部屋の熱を屋外へ移す作業のことなんですね。

レンのメモ

ここで大事なのは、運び出した熱の行き先が必ずどこかにあるということです。エアコンは室内機と室外機に分かれているので、行き先は屋外になります。ではスポットクーラーはどうかというと、冷風の吹き出し口と排熱の出口が1つの本体にまとまっています。だから「排熱をどこへ出すか」を使う人が決めることになります。

スポンサーリンク

排熱を室内に出すと部屋は暑くなる

ここが、この記事でいちばん伝えたい部分です。コンプレッサー式のスポットクーラーで、排熱を室内に出したまま使うと、部屋の温度は下がりません。それどころか、時間とともに上がっていきます。

理由は2つあります。1つめは、運び出した熱がその部屋の中に戻ってきているから。冷風で下げた熱と、排熱で出した熱が同じ空間にあるので、差し引きゼロになります。2つめは、コンプレッサーを動かすために使った電力が、最終的にほとんど熱になって加わるからです。つまり冷風で下げた分より、排熱と機械の発熱を足した分のほうが必ず大きくなります

どれくらい上がるのかは、部屋の広さ、断熱性能、機種の出力、換気の有無で変わるので一概には言えません。ただ考え方としては、機械が使った電力ぶんの熱が確実に部屋に加わる、と押さえておけば十分です。700Wの機種を動かせば、700Wの発熱体を部屋に置いているのとおおむね同じことになります。狭い部屋ほどこの影響は早く出ます。

逆に言えば、広い空間や、風通しのある半屋外なら影響は薄まります。ガレージ、土間、ベランダ、業務用の広い倉庫。こうした場所でダクトレスが使われているのは、熱が拡散する余地があるからですね。閉じた6畳間と、開け放したガレージでは、同じ機械でも結果がまるで違います。

実際の使用でも、窓を閉め切った狭い部屋でこの使い方をすると、数十分で室温が上がってきます。冷風の当たっている一点だけは涼しいのに、部屋全体はじわじわ暑くなる。これがダクトレスで最もよく報告される現象です。排熱なしで使える手軽さは、部屋全体を冷やせないというデメリットと必ずセットになっている、と考えておくのが安全です。

同じことは除湿機でも起きます。除湿機も熱を扱う家電なので、運転すると室温が上がります。この現象については除湿機で室温が2〜8℃上がる理由をまとめた記事で詳しく扱っているので、あわせて読むと「熱の行き先」という考え方がつかみやすいと思います。

なお、業務用のスポットクーラーを作っているメーカーは、排熱を上方向へ出す専用のダクトや、最大3mまで伸ばせる延長ダクトをオプションとして用意しています。本体の周りに熱を残さないためです。ダクトが必要なのは面倒だからではなく、そうしないと熱の行き先がなくなるからなんですね。

スポンサーリンク

水冷式は熱を湿気に変えている

「うちのは水冷式だから排熱が出ない」というケースについても触れておきます。水冷式やハイブリッド式と呼ばれるタイプは、排熱を水にぶつけて冷まし、熱くない風として出します。実際、本体から出てくる風は熱くありません。

ただし、熱が消えたわけではありません。水にぶつけた熱は水を温め、水を蒸発させます。そして蒸発した水蒸気は室内に出ていきます。熱は水蒸気という形で室内に残り続けているんですね。

ここが分かりにくいところなので、もう少し噛み砕きます。水は蒸発するときに周りから熱を奪い、水蒸気になった後もその熱を抱えたままです。だから水蒸気が室内にとどまっている限り、熱も室内にとどまっています。温度計の数字としては表れにくいのですが、熱量としては消えていません。この抱え込まれた熱は、水蒸気が窓や壁で結露したときに再び出てきます。

結果として起きるのが、湿度の上昇です。気温の数字はそこまで上がらなくても、湿度が上がると体感は悪くなります。汗が蒸発しにくくなるからです。「涼しいはずなのに、なんとなくじめっとして不快」という感想が出るのは、この構造からきています。

水冷式は水がなくなると排熱を処理できなくなり、通常のダクトレス運転と同じ状態になります。給水のタイミングによって効き方が変わるので、カタログの数値がそのまま出るとは限りません。また、水を扱う機器は使わない期間にタンク内で雑菌が繁殖することがあるため、取扱説明書に従った手入れが必要です。正確な情報は公式サイトをご確認ください。

スポンサーリンク

冷風扇はダクトレスだが別の道具

冷風扇は、水が蒸発するときに周りから熱を奪う性質を使った製品です。打ち水をすると涼しく感じるのと同じ原理ですね。コンプレッサーを積んでいないので、そもそも排熱という概念がありません。

そのぶん電気代は安く、消費電力は扇風機に近い水準です。ただし冷やせる幅も小さく、下がるのは風が当たっている範囲で数℃程度と考えておくのが現実的です。

そして水冷式と同じく、湿度は上がります。しかも冷風扇は仕組み上、水を蒸発させることが目的なので、湿度の上がり方はより顕著です。日本の夏のようにもともと湿度が高い環境では、効果を感じにくい場面も出てきます。梅雨時期や湿度の高い日には、扇風機のほうが快適ということも普通にあります。

逆に、風呂上がりに短時間だけ涼みたい、換気しながら使う、といった条件なら悪くありません。窓の数で変わるサーキュレーターの換気の置き方と組み合わせて、湿った空気を外へ逃がしながら使うと、こもりにくくなりますよ。

スポンサーリンク

それでも局所冷却には効く

ここまで欠点ばかり並べてきましたが、ダクトレスのスポットクーラーが役に立たないという話ではありません。用途を限れば、しっかり効きます。

コンプレッサー式のダクトレスは、吹き出し口から出る風そのものは冷えています。部屋全体で見れば差し引きマイナスでも、風が直接当たっている場所に限れば体感温度は確実に下がります。人がその位置から動かないなら、これで十分ということも多いです。

もうひとつ、意外に効くのが「本体が近い」という点です。エアコンは天井近くから部屋全体に風を回すので、体に届くころには風が弱まっています。スポットクーラーは足元や机の横に置けるので、吹き出し口から体までの距離が数十センチ。冷たい風が薄まる前に届くぶん、同じ冷房能力でも体感は強くなります。カタログの数字より涼しく感じるのは、この距離の差が大きいです。

考え方としては、エアコンの代わりではなく、扇風機の上位版に近いと捉えるのが実態に合っています。扇風機が室温と同じ風を送るのに対して、こちらは室温より冷たい風を送れる。その代わり、部屋全体の温度は上がっていく。このトレードオフを納得したうえで選ぶなら、後悔しにくいと思います。

レンのひとこと

効かせ方にもコツがあります。冷たい風は下に降りるので、本体は座る位置より少し高い場所に置くか、ルーバーを上向きにして風が体の上半分に届くようにすると体感が変わります。逆に足元だけに当て続けると、上半身は暑いままということが起きます。

もうひとつは風速です。同じ室温でも、風が当たっているだけで体感温度は下がります。冷風の温度差だけでなく、風量の設定も含めて調整すると、弱めの設定でも十分涼しく感じられることがあります。消費電力も抑えられるので、まずは弱で試して足りなければ上げる、という順番がおすすめです。

使う時間も重要な要素です。数十分から1〜2時間なら、室温の上昇は体感できるほどにはなりにくいです。逆に、一日中つけっぱなしにする使い方には向きません。短時間・局所・移動して使う。この3つが当てはまる場面かどうかで判断すると分かりやすいですね。

短時間・局所で割り切って使うなら、排水のいらないコンパクトなタイプが扱いやすいですよ。置き場所を選ばないぶん、家じゅうで使い回せます。

スポットクーラーをダクトレスで使う場面と注意点

ここからは実際の使いどころの話です。向いているのは、人が動かず滞在時間も30分から1時間程度という、キッチンや脱衣所のような場所です。

逆に、部屋全体を冷やしたいならダクトレスは選択肢から外れます。工事ができない条件で部屋全体を冷やしたい場合の現実的な候補は、窓用エアコンなど別の道具になるからですね。排水の手間もタイプで変わり、蒸発させて処理する方式なら水を捨てる手間はかからない代わりに、そのぶん室内の湿度が上がります。電気代の見方も種類でまるで違っていて、冷風扇は扇風機に近く、数十W程度の機種が中心です。

この章では、向いているのはキッチンと脱衣所であること、部屋全体を冷やしたいなら窓用エアコンであること、排水の手間はタイプで変わること、そして電気代と消費電力の見方を、買う前に押さえておくと判断しやすい順に並べて見ていきます。

スポンサーリンク

向いているのはキッチンと脱衣所

ダクトレスがはっきり活きるのは、短時間だけ一点を冷やしたい場所です。代表がキッチンと脱衣所ですね。

キッチンは、火を使うので夏はとにかく暑くなります。ただ調理中は基本的にコンロの前から動きません。人が動かず、滞在時間も30分から1時間程度。この条件はダクトレスの得意分野そのものです。エアコンの風が届きにくい間取りでも、足元や背中に直接風を当てられます。

脱衣所も同じです。風呂上がりの数分から十数分、汗が引くまで涼めればいい。工事も置き場所の制約も少なく、使わない時期はしまっておける。この用途なら満足度は高くなります。

在宅ワークのデスク周りも相性がいい場所です。人が椅子から動かず、冷やしたい範囲は半径1m程度。パソコン本体も熱を出すので、その熱ごと風で流せます。ただしこの用途は滞在時間が長くなりがちなので、部屋が閉じているなら定期的な換気とセットで考えたほうがいいですね。

ペットのケージ周りに使いたいという相談もありますが、こちらは注意が必要です。動物は自分で風を避けられない状況に置かれることがあり、冷風が直接当たり続けると体調を崩す原因になります。風向きを固定せず、逃げ場のある配置にしてください。動物の体調管理については、最終的な判断は専門家にご相談ください。

ほかにも、ガレージや物置での短時間作業、ベランダでの洗濯物たたみ、締め切ったクローゼットでの衣替え作業など、「そこにいる間だけ涼しければいい」場面には広く使えます。移動できるのがダクトレス最大の利点なので、一台を家じゅうで使い回す前提で考えると価値が出やすいですね。

スポンサーリンク

部屋全体を冷やしたいなら窓用エアコン

逆に、寝室やリビングを冷やしたい、在宅勤務で一日中涼しくしたい、という目的なら、ダクトレスは選択肢から外すべきです。仕組み上できないことを期待することになるからです。

工事ができない条件で部屋全体を冷やしたい場合、現実的な候補は2つあります。1つは窓用エアコン。窓枠に取り付けるタイプで、室外機がなく、熱は窓の外へ出ます。取り付けは自分でできる範囲で、賃貸でも使えることが多いです。運転音は据え置き型エアコンより大きめですが、部屋を冷やす能力は別物です。

窓用エアコンにも弱点はあります。取り付けた窓が使えなくなること、本体が20kg前後と重く一人での設置がきついこと、そして運転音が大きめなこと。寝室で使うなら音は事前に確認しておいたほうがいいです。それでも「部屋の温度を下げる」という一点では、ダクトレスとは比較にならない差があります。

部屋そのものを冷やしたいなら、畳数の合う窓用エアコンを選んだほうが結果的に早いです。冷房専用なら本体価格も抑えられます。

もう1つは、排気ダクト付きのスポットクーラーを窓パネルと組み合わせて使う方法です。ダクトレスをやめて、本来の使い方に戻すということですね。窓パネルの設置さえクリアできれば、熱の行き先が屋外になるので、部屋の温度もきちんと下がります。

目的別の選び方の目安

  • 調理中・風呂上がりなど短時間の局所冷却 → ダクトレスで十分
  • 作業スペースだけ涼しくしたい → ダクトレス(風が当たる位置に固定)
  • 寝室・リビングを冷やしたい → 窓用エアコンか、ダクト+窓パネル
  • 湿度も下げたい → 冷房機能のある機種(冷風扇・水冷式は逆効果)

賃貸の場合、窓用エアコンも窓パネルも取り外して原状回復できる方式が主流です。穴を開けられないという理由だけでダクトレスを選んでいるなら、一度この2つを検討してみる価値はあります。設置可否は窓の形状によるので、正確な情報は公式サイトをご確認ください。

スポンサーリンク

排水の手間はタイプで変わる

意外と見落とされがちなのが水の扱いです。冷房運転をすると、空気中の水分が結露して水が出ます。この水をどうするかが、タイプによって違います。

ノンドレンや排水不要とうたわれている機種は、たまった水を排熱に吹きかけて蒸発させる仕組みになっていることが多いです。手間はかかりませんが、蒸発させたぶん室内の湿度は上がります。ここでも熱と水はセットで動いていますね。

どのくらいの頻度で水がたまるかは、その日の湿度で大きく変わります。梅雨時期や雨の日は空気中の水分が多いので、同じ運転時間でもタンクが早く満水になります。逆に乾燥した日は水がほとんど出ません。「昨日は平気だったのに今日は何度も止まる」という場合、故障ではなく湿度の違いであることが多いです。

タンク式は、たまった水を自分で捨てます。満水になると運転が止まる機種が一般的で、湿度の高い日ほど頻度が上がります。逆に言えば、水が出ているぶん室内には戻していないということでもあります。

連続排水に対応した機種なら、ホースをつないで排水口や外へ流し続けられます。これがいちばん手間がかかりません。ホースの取り回しには高さの条件があることが多く、この考え方は除湿機と共通なので、連続排水の条件と水が流れないときの対処をまとめた記事が参考になると思います。

排水方式 手間 室内の湿度 向いている使い方
ノンドレン(蒸発式) ほぼなし 上がる 短時間・換気しながら
タンク式 満水のたびに排水 上がりにくい 数時間単位で使う
連続排水(ホース) 設置時のみ 上がりにくい 長時間・置き場所が固定
スポンサーリンク

電気代と消費電力の見方

消費電力0.7kWを8時間使い単価31円で計算すると1日あたり約174円になるという計算例
消費電力から電気代を計算する例

最後に電気代です。ここはタイプによって桁が変わるので、消費電力の数字を必ず見てください。

冷風扇は扇風機に近く、数十W程度の機種が中心です。コンプレッサー式のスポットクーラーは家庭用で数百W、業務用に近い出力のものだと1,000Wを超えるものもあります。同じ売り場に並んでいても、電気代は10倍以上違うことがあるわけですね。

計算のしかたは単純です。消費電力(W)÷1000×使用時間=電力量(kWh)。これに電気料金の単価をかけます。仮に消費電力700Wの機種を1日8時間使い、単価を31円とすると、0.7×8=5.6kWh、5.6×31=約174円。1か月毎日使えば5,000円前後という計算になります。あくまで単価と使い方を仮に置いた計算なので、実際の請求額はご自身の契約と使用状況で確かめてください。

もうひとつ見ておきたいのが、インバーター制御の有無です。設定温度に近づくと出力を絞る制御が入っている機種は、常に全開で動く機種より消費電力が下がります。家庭用として売られている機種でも制御の有無は分かれるので、長時間使う予定があるなら仕様表で確認しておくと差が出ます。

待機電力については、コンセントを挿しているだけの状態ならごくわずかです。ただしシーズンオフに何か月も挿しっぱなしにするなら、抜いておくに越したことはありません。ホコリがたまった状態での通電は、そもそも安全面でも避けたいところです。

ここで注意したいのが、ダクトレスで部屋が暑くなる場合、エアコンを併用することになりやすい点です。エアコンの負荷が増えるので、合計の電気代はむしろ上がります。節約目的でエアコンの代わりに導入すると、逆効果になることがあるので、この点は先に確認しておくとよいと思います。

なお、消費電力は運転モードや設定によって変わりますし、電気料金の単価も契約によって違います。数値はいずれも目安として受け取ってください。健康や安全に関わる判断が必要な場面では、最終的な判断は専門家にご相談ください。

スポットクーラーのダクトレスについてよくある質問

ダクトレスでも窓を開けておけば部屋は冷えますか?

窓を開ければ熱がこもりにくくはなりますが、外の暑い空気も入ってくるので、部屋全体が冷えるところまではいきません。窓を開けるなら、排気ダクトをその窓から外へ出したほうが効果ははるかに大きくなります。ダクトが付いている機種であれば、窓を開けて使うくらいならダクトを外に出す使い方に切り替えるのがおすすめです。

水冷式とノンドレンは同じものですか?

重なる部分はありますが、指している内容は違います。水冷式は排熱の処理に水を使う方式のことで、ノンドレンは結露した水を捨てなくてよいという排水側の話です。結果的に「排熱に水を吹きかけて蒸発させる」機種は両方に当てはまります。商品ページではどちらの言葉も使われるので、排熱をどこへ出すのか、水をどう処理するのかを分けて確認してください。

部屋が暑くなるなら、ダクトレスは買う意味がないのでは?

部屋全体を冷やす目的なら意味は薄いです。ただ、人が動かない場所で短時間だけ涼みたい、エアコンの風が届かない場所を補いたい、という目的なら十分に役立ちます。扇風機より冷たい風が出せて、工事なしで場所を移せる。この2点に価値を感じるかどうかが判断の分かれ目になります。

後から排気ダクトを付けることはできますか?

本体に排気口があり、ダクトを接続できる構造の機種なら可能です。業務用メーカーは延長用のダクトをオプションとして用意しています。一方、最初から排熱を室内に出す前提で設計され、接続口がない機種には後付けできません。購入前に、排気口があるかどうかと、窓パネルに対応しているかを確認しておくと選択肢が広がります。対応可否は機種によるので、正確な情報は公式サイトをご確認ください。

まとめ|ダクトレスのスポットクーラー

ダクトレスのスポットクーラーを理解するうえで、いちばんの土台になるのは「冷房は熱を消す作業ではなく、熱を移す作業だ」ということです。移した先が室内なら、部屋の熱の総量は減りません。むしろ機械を動かすための電力が熱に変わって加わるぶん、増えます。

コンプレッサー式のダクトレスは、この排熱を室内に出しています。だから冷風の当たる一点は涼しくなっても、部屋全体は時間とともに暑くなります。水冷式は排熱を水に移して湿気として室内に出すので、温度の上がり方は緩やかですが、そのぶん湿度が上がります。冷風扇はそもそも別の仕組みで、電気代は安い代わりに冷やせる幅が小さく、湿度は上がります。

それでも、用途を限れば良い道具です。キッチンでの調理中、風呂上がりの脱衣所、ガレージでの短時間作業。人が動かず、短時間で、場所を移して使う。この条件に当てはまるなら、工事不要で持ち運べるという利点が効いてきます。

逆に、寝室やリビングを冷やしたいなら、窓用エアコンか、排気ダクトと窓パネルを組み合わせたスポットクーラーを選ぶべきです。ここを妥協すると、結局エアコンを併用することになって電気代も上がってしまいます。

もし今すでにダクトレスを持っていて「冷えない」と感じているなら、捨てる前に使い方を変えてみてください。置く位置を体に近づける、風向きを上半身に向ける、使う場所を狭い部屋から広い場所へ移す、換気と組み合わせる。この4つで体感はかなり変わります。部屋全体を冷やす期待さえ手放せば、道具としては十分に働いてくれます。

それでも冷えないときは、排熱の出口・フィルター・部屋の広さの順に確認していく手順を別の記事にまとめています

買う前に見るポイントは3つです。排熱をどこへ出す機種なのか、水をどう処理する機種なのか、消費電力は何Wなのか。この3つが分かれば、その製品が自分の使い方に合うかどうかは判断できます。商品名やキャッチコピーではなく、この3点を仕様表で確認してみてください。

なお、この記事で挙げた数値はいずれも一般的な目安です。冷却能力や消費電力、対応する窓の形状は機種によって大きく異なりますので、購入前にはメーカーの仕様表をご確認ください。正確な情報は公式サイトをご確認ください。

スポンサーリンク