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KADEN LAB

COOKING / RESEARCH REPORT

電子レンジで使えるプラスチック容器|耐熱140℃の目安と溶ける条件

見た目のよく似た2つのプラスチック保存容器を並べ、透明度や丈夫さでは電子レンジ対応かを判断できず、底や側面の表示を見るしかないことを示した図

電子レンジで使えるプラスチック容器|耐熱温度と溶ける条件

Kaden Lab研究員レン

RESEARCHER / レン

こんにちは。Kaden Lab研究員のレンです。

持ち帰った惣菜の容器、作り置きに使っているタッパー、コンビニ弁当のトレー。これらをそのまま電子レンジに入れてよいのか、毎回ちょっと迷いませんか。見た目が似ていても、溶ける容器と溶けない容器があるのが厄介なところです。

判断のしかたはひとつしかありません。容器の底や側面に書かれた耐熱温度の表示を見ることです。透明かどうか、厚いかどうか、丈夫そうかどうかでは判断できません。同じ見た目でも中身の樹脂が違えば、溶ける温度は倍近く変わります。

そしてもうひとつ知っておきたいのが、表示温度を守っていても溶けることがあるという事実です。油分の多い料理を温めると、食品そのものが表示温度を超えてしまうからですね。この記事では、その条件まで含めて整理していきます。

素材ごとの耐熱温度、耐熱温度が高いのにレンジで使えないという例外、フタを閉めたまま加熱してはいけない理由、そして実際に溶けてしまったときの対処まで。順番に見ていきましょう。

  • 使えるプラスチック容器の見分け方と耐熱温度の目安
  • 樹脂の種類ごとに違う耐熱温度と、レンジで使えない例外
  • 表示温度を守っても溶けてしまう条件
  • 溶けてしまったときの判断と庫内の掃除
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電子レンジで使えるプラスチック容器の見分け方

まずは見分け方からです。判断するのは1か所だけ、容器の底面にある耐熱温度の表示です。「耐熱温度140℃」「耐熱140℃/耐冷-20℃」といった書き方が一般的ですね。

見た目や手ざわりでは分かりません。同じように見える容器でも、素材が違えば耐えられる温度がまるで違うからです。基準は140℃以上と覚えておけば大丈夫。この温度なら、電子レンジで温めたときに達する範囲をカバーできます。そして表示がない容器は使わないのが原則です。メーカーの案内でも、プラスチックやシリコン容器を使う場合は家庭用品品質表示法に基づく耐熱温度を確認し、材質や耐熱温度の表示がないものは使わないようにと書かれています。持ち帰りの容器や古い保存容器は、この表示が無いことが多いんですよね。

この章では、底面の耐熱温度表示での判断、140℃以上という目安、そして表示がない容器を使わない理由を見ていきます。

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判断は底面の耐熱温度の表示で

プラスチック容器の底、あるいは側面の目立たない場所に、小さな刻印や印字があります。「耐熱温度140℃」「耐熱140℃/耐冷-20℃」といった書き方が一般的です。凹凸の刻印で読みにくいこともあるので、明るいところで角度を変えて探してみてください。

ここに書かれている数字が、その容器が耐えられる温度の上限です。プラスチックは金属や陶器と違って、一定の温度を超えると軟らかくなり、さらに上がると変形して溶けます。表示温度は「ここまでなら形を保てる」という線引きですね。

ちなみに、金属や金銀模様の器がレンジで使えないのは温度とは別の理由です。電波が金属に反射して放電する仕組みと、迷いやすい品目ごとの可否は金属の記事にまとめています

数字が2つ書かれていて迷うこともあります。「耐熱温度140℃」と「使用温度範囲-20℃〜120℃」のように、意味の違う数値が併記されている製品ですね。この場合は低いほうの数字を守るのが安全です。使用温度範囲は日常的に使ってよい範囲、耐熱温度は短時間なら耐えられる上限、という位置づけで書かれていることがあります。

市販の保存容器なら、パッケージや商品ページにも同じ情報が載っています。すでに捨ててしまった場合は、メーカーのサイトで型番から調べられることもあります。正確な情報は公式サイトをご確認ください。

刻印は容器の底の中央か、縁の内側にあることが多いです。四角い枠の中に温度が書かれている場合や、リサイクルマークの近くに小さく添えられている場合があります。透明な容器では光の当て方で見え方が変わるので、斜めから見ると読みやすくなりますよ。

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140℃以上が使える目安

では何度以上なら使えるのか。メーカーの案内では、耐熱温度の表示があり耐熱温度が140℃以上のものが使えるとされています。逆に、耐熱温度の表示が140℃未満のものは使えません(出典:日立「電子レンジに使える容器、使えない容器を知りたいです」)。

この数字は業界で共通に使われている基準です。多くのメーカーがレンジ対応品の設計目標としているので、店頭で「レンジ可」とうたわれている容器の耐熱表示を見ると、140℃という数字をよく見かけるはずです。数字を覚えておけば、売り場でも判断できます。

140℃という数字に驚いた方もいるかもしれません。水は100℃で沸騰するのだから、100℃あれば足りるのではと思いますよね。ところが実際には、水分の少ない部分や油分の多い部分が局所的に100℃を大きく超えます。だから余裕を見た数字が求められるわけです。

プラスチック容器を見るときの3点

  • 耐熱温度の表示があるか
  • その数字が140℃以上か
  • フタも同じ条件を満たしているか

もうひとつ、耐冷温度が併記されていることもあります。「耐熱140℃/耐冷-20℃」のような書き方ですね。冷凍庫から出してすぐレンジにかける使い方をするなら、両方の数字を見ておくと安心です。急な温度変化は素材に負担をかけるので、冷凍したものは冷蔵庫で少し戻してから加熱するほうが容器は長持ちします。

3つめのフタは見落としがちなポイントです。本体が耐熱でもフタは別素材ということがよくあります。パッキン付きの密閉フタはとくに熱に弱い傾向があるので、外して温めるのが基本ですね。

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表示がない容器は使わない

いちばん困るのが、何も書かれていない容器です。持ち帰った惣菜の容器、贈答品に入っていた保存容器、古くて表示が消えかけたタッパー。

メーカーの案内では、プラスチックやシリコン容器を使う場合は家庭用品品質表示法に基づく耐熱温度を確認し、材質や耐熱温度の表示がないものは使わないようにと書かれています。判断材料がない以上、使わないというのが唯一の正しい選択になります。

逆に、表示があっても数字が読めないほど薄れている容器も同じ扱いです。買った当初は140℃だったとしても、今その容器がどれだけ劣化しているかは分かりません。判断できないものは判断できないものとして扱う。この一貫性が事故を減らします。

惣菜の容器は特に注意が必要です。中には耐熱性のある容器も混じっていますが、見分ける手がかりがないことが多い。耐熱皿に移し替える手間は10秒ほどですし、洗い物も1枚増えるだけです。溶けてしまってからの後始末に比べれば、はるかに軽い負担だと思います。

◆レンのメモ

古い容器は表示が読めても油断できません。プラスチックは繰り返し使ううちに劣化します。細かいひび、白っぽい濁り、べたつき。こうした変化が出ているものは、新品のときの耐熱性を保っていない可能性があります。長く使った容器は、レンジ用から普段使いの保存用へ役割を変えるとよいですね。

レンジに入れて困るものは容器だけではないので、金属・密閉・乾燥の3つの系統で全体像をまとめた記事もあわせて見ておくと判断が早くなります

プラスチック素材ごとの耐熱温度

ポリプロピレン約100〜140℃、ポリエチレン約70〜110℃、ポリスチレンは低め、PET約60〜70℃という耐熱温度の目安と、耐熱120℃でも電子レンジでは使えないメラミン食器の例外をまとめた表
プラスチック素材ごとの耐熱温度の目安とレンジ不可の例外

次は素材ごとの違いです。結論から言うと、ポリプロピレン(PP)が最も耐熱性が高く、レンジ対応の保存容器はほぼこれです。

融点はおよそ160℃で、連続して使える温度はおおむね100〜140℃とされています。だから表示が140℃以上ならレンジで使えるわけですね。逆にポリエチレン(PE)は約70〜110℃で加熱には向きませんし、PETやポリスチレンも弱い部類です。ここで間違えやすいのがメラミンで、メラミン食器は耐熱温度が約120℃とされていて、プラスチックの中では高いほうなのですが、レンジには使えません。耐熱温度が高い=レンジ可、ではないということですね。

この章では、ポリプロピレンが最も耐熱性が高い理由、ポリエチレン・PET・ポリスチレンが弱いこと、そしてメラミンが耐熱でもレンジ不可な理由を見ていきます。

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ポリプロピレンが最も耐熱性が高い

家庭で使うプラスチック容器の中で、耐熱性がいちばん高いのがポリプロピレンです。記号では「PP」と書かれます。融点はおよそ160℃で、連続して使える温度はおおむね100〜140℃とされています。

PPは食品用の容器として広く使われている素材でもあります。透明度はガラスほど高くありませんが、油に強く、においが移りにくいという性質があります。作り置きを保存してそのまま温める、という使い方には向いた素材ですね。

レンジ対応をうたう保存容器の多くがPPなのは、この耐熱性のためです。半透明でやや白っぽく、軽くて曲げても割れにくい。ヨーグルトの容器や、レンジ対応のタッパーの多くがこの素材ですね。

見分け方としては、指で軽く押したときの感触も手がかりになります。PPは適度な硬さがあって、曲げても白く筋が入りにくい。一方でポリエチレンはもっと柔らかく、爪を立てると跡が残ります。ポリスチレンは硬いのですが、力を加えるとパキッと割れます。もちろん確実なのは表示なので、感触はあくまで補助的な手がかりです。

ただし「PPだから必ず140℃以上」ではありません。同じPPでも製品によって耐熱温度は違いますし、成形の方法でも変わります。記号はあくまで見当をつけるための情報で、最終的な判断は表示された数字で行ってください。

レンジで温めるのが前提なら、最初からPPで作られたレンジ対応の保存容器を選んでしまうのがいちばん早いです。フタと本体がセットで売られているものなら、耐熱温度の確認をするのは買ったときの一度きりで済みますよ。

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ポリエチレン・PET・ポリスチレンは弱い

一方、耐熱性が低い素材もあります。こちらを知っておくと、避けるべき容器が分かります。

→ 横にスクロールできます

素材(記号) 耐熱温度の目安 レンジ加熱 よく使われる用途
ポリプロピレン(PP) 約100〜140℃ 表示が140℃以上なら可 レンジ対応の保存容器
ポリエチレン(PE) 約70〜110℃ 向かない ポリ袋・薄いフタ
ポリスチレン(PS) 低め 向かない 使い捨てのトレー・カップ
PET 約60〜70℃ 向かない ペットボトル・透明容器
メラミン 約120℃ 使えない 子ども用食器・給食食器
シリコン 製品による(高め) 表示に従う フタ・型・スチーマー

この表で気をつけたいのは、耐熱温度に幅があることです。同じ素材でも成形方法や添加物によって数値が変わります。だから素材の記号だけで判断せず、必ず表示された数字と合わせて見てください。表のうち「レンジ加熱」の欄は一般的な目安で、製品ごとの表示が優先されます。

PETはペットボトルの素材です。耐熱温度が60〜70℃程度なので、レンジに入れると簡単に変形します。飲み物を温めたいときにボトルごと入れるのは避けてください。透明で丈夫そうに見えますが、熱にはとても弱い素材です。

ポリスチレンは使い捨てのトレーやカップによく使われます。発泡させたものが発泡スチロールですね。加熱すると急速に軟らかくなり、形が崩れます。納豆や豆腐の容器、カップ麺の一部などが該当します。

使い捨て容器についてもう一点。丼ものや麺類の容器は、耐熱性のある素材が使われていることもあります。ただし同じ店の別メニューでは違う容器ということもあるので、毎回表示を見る必要があります。「この店の容器はいつも大丈夫」という覚え方は成り立ちにくい部分です。

ポリエチレンは薄いポリ袋やフタに使われる素材です。柔らかく扱いやすいのですが、熱には弱い部類。保存袋のまま温める使い方は、その袋がレンジ対応と明記されている場合に限ってください。

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メラミンは耐熱でもレンジ不可

ここが素材の話でいちばん意外なところです。メラミン食器は耐熱温度が約120℃とされていて、プラスチックの中では高いほうです。それなのに、電子レンジでは使えません。

理由は温度ではなく、電波との相性にあります。メーカーの説明では「材料の性質(誘電特性)上、電子レンジの加熱で食器自体が熱せられ、焼けたり焦げたりすることがありますので電子レンジには、一般的に使えません」とされています(出典:マルケイコーポレーション「メラミン食器Q&A」)。

つまり、食品を温めるはずのマイクロ波が食器そのものを温めてしまうということです。中身より器のほうが熱くなるので、変形や焦げにつながります。耐熱温度が高い=レンジで使える、ではないという例外として覚えておいてください。

同じような例として、漆器や木製の器もレンジには向きません。こちらは誘電特性ではなく、水分が抜けて割れたり、塗膜が傷んだりするためです。素材ごとに向かない理由が違うので、「プラスチックだから」「木だから」と一括りにせず、器ごとに表示と説明を確認するのが確実ですね。

メラミン食器は軽くて割れにくいので、子ども用の食器や給食用として広く使われています。家庭で使っている方も多いと思いますが、レンジで温めるときだけは別の器に移してください。この、素材によって答えが変わるという考え方は他の調理家電にも通じるので、電気圧力鍋に入れてはいけないものをまとめた記事も判断の型として参考になると思います。

プラスチック容器が溶ける条件

水は沸騰の100℃で頭打ちになるのに対し油分は150℃を超えることがあるため、耐熱140℃の容器でも中身の温度で変形することと、少量加熱で電波が集中して高温になりやすいことを示した図
耐熱温度を守っても容器が溶けてしまう条件

表示を守っていても溶けることがあります。条件は3つ。油分の多い料理、少量の加熱、そしてフタを閉めたままの加熱です。

油がなぜ危ないかというと、水は100℃で沸騰しますが、油は沸騰せずに温度が上がり続けるからなんですよね。カレーや揚げ物を温めると、容器の耐熱温度をあっさり超えることがあります。2つめが量の少なさで、中身が少ないと熱の逃げ場がなく、空焚きに近い状態になります。3つめがフタで、密閉したまま加熱すると内側の圧力が上がりますし、蒸気の逃げ道もなくなります。どれも「表示どおりに使っていたのに」という事故につながる条件です。

この章では、油分の多い料理、少量・空焚きに近い加熱、そしてフタを閉めたまま加熱しない理由を見ていきます。

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油分の多い料理は表示温度を超える

いちばん多い原因がこれです。水は100℃で沸騰しますが、油は沸騰せずに温度が上がり続けます。カレー、揚げ物、チャーハン、ミートソース。油分の多い料理を温めると、その部分が局所的に150℃を超えることがあります。

容器の耐熱温度が140℃でも、食品が160℃になれば接している部分は変形します。容器が悪いわけではなく、想定を超える温度が中身から来ているわけですね。カレーを温めたら容器の底が波打った、という経験はここから来ています。

どのくらい超えるのかというと、揚げ物の衣に残った油や、カレーの表面に浮いた油の層は、周囲より一段高い温度になります。水分と違って蒸発によって温度が頭打ちにならないので、加熱を続けるほど上がっていきます。容器の変形が「いつも同じ場所」で起きるなら、そこに油分がたまっている可能性が高いです。

対策は3つです。加熱時間を短く区切る、途中で一度混ぜて熱を散らす、そして油分の多い料理は耐熱ガラスや陶器の器に移す。とくに3つめが確実で、洗い物は増えますが容器を1つ駄目にするより安く済みます。

チーズも見落としやすい食材です。溶けたチーズは高温になりやすく、しかも容器に張り付きます。グラタンやピザを温めるときは、耐熱皿を使うのが基本です。表面が焦げるまで加熱すると、その部分は相当な温度になっていると考えてください。

糖分の多い料理も同じ理屈です。あんこ、ジャム、みたらしのタレ。砂糖を多く含むものは温度が上がりやすく、しかも水分が飛ぶと急激に高温になります。加熱時間の目安は600Wが何度になるのかを計算で解説した記事も参考になると思います。

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少量・空焚きに近い加熱も危ない

2つめの条件が量の少なさです。マイクロ波は庫内に出続けているので、吸収してくれる水分が少ないと、わずかな食品に電波が集中します。結果として、少量のものほど早く高温になります。

これは「少ないから短い時間でいい」という直感と逆に働きます。少ない量ほど早く高温になるので、時間を短くしても間に合わないことがあるわけですね。少量を温めるときは、時間を半分にするくらいの気持ちで区切って、様子を見ながら足していくのが安全です。

容器の底に少しだけ残ったソース、小さく切った食材ひとつ、乾いたご飯を少量。こうした加熱で容器が変形するのは、食品の温度が想定より上がっているからです。同じ容器で同じ時間でも、量が多ければ問題は起きません。

もうひとつ、加熱ムラも変形の原因になります。庫内には電波の強い場所と弱い場所があり、同じ容器でも一部だけが高温になります。回転皿があるタイプは皿が回ることでムラを減らしていますが、それでも完全には均一になりません。容器の一部だけが変形したという場合は、この電波の偏りが関係していることがあります。

飲み物を温めるときも同じです。マグカップ1杯分ならまだしも、底に少しだけ残ったスープを温め直すような場面では、想像より早く高温になります。少ないときほど短く区切る、という感覚を持っておくと失敗しません。

そして、容器だけを空で温めるのは絶対に避けてください。電波を吸収する食品がないと、容器そのものが電波を受けることになります。容器を温めてから料理を入れよう、といった使い方は、プラスチックでは成り立ちません。

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フタを閉めたまま加熱しない理由

3つめがフタです。理由は2つあって、どちらも押さえておく価値があります。

フタの表示は、本体とは別の場所に書かれていることが多いです。フタの内側の縁、あるいはつまみの裏。本体の底だけを見て「140℃だから大丈夫」と判断すると、フタを見落とします。買ったときの箱に「本体:耐熱140℃/フタ:耐熱120℃」のように別々に書かれている製品もあるので、箱が残っていれば確認してみてください。

1つめは、フタの耐熱温度が本体より低いことが多いという点。本体はPPでも、フタは柔らかいポリエチレンという製品はよくあります。柔らかいフタは密閉性を高めるための設計で、そのぶん熱には弱い。本体だけを見て判断すると、フタが先に変形します。

2つめが圧力です。密閉した状態で加熱すると、中の水分が水蒸気になって体積が増え、逃げ道がないと圧力が上がります。フタが勢いよく飛ぶ、中身が噴き出す、容器が変形するといったことが起こり、やけどのおそれもあります。フタは外すか、蒸気を逃がす穴のあるタイプを使ってください。安全に関わる判断が必要な場合は、最終的な判断をメーカーや販売店にご相談ください。

この2つは同時に起きることもあります。フタが軟らかくなったところに圧力がかかれば、変形と噴きこぼれが一度に起きます。加熱中に容器が膨らんでいるのが見えたら、その時点で運転を止めて圧力を逃がしてください。庫内が高温になっているので、扉を開けるときは顔を近づけないようにしましょう。

最近はレンジ加熱時はフタをずらす、弁を開ける、と明記された製品も増えています。この指示は形式的なものではなく、圧力を逃がすための必要条件です。表示があるならそのとおりに使ってください。

器のサイズと庫内の関係も、加熱ムラに影響します。庫内に対して大きすぎる容器は電波の回り方が悪くなるので、人数と同時加熱数で選ぶ容量の早見表もあわせて見ておくと、器選びの基準がはっきりします。

プラスチックが溶けたときの対処

食べてよいかの判断、電源プラグを抜いて冷めるまで待つ安全確保、冷えて固まってから樹脂を剥がし金属たわしや研磨剤を使わない除去という3段階の対処手順を示した図
プラスチックが溶けたときの判断と庫内の掃除手順

最後に、溶けてしまったときの対処です。気になるのは食べてよいかどうかと、庫内の掃除の2点でしょうか。

溶けたプラスチックが食品に混ざった場合は、目に見える範囲だけを取り除いても安心とは言えません。庫内も、溶けた樹脂が付いたまま次の加熱をすると、再び熱を持って煙が出ることがあります。だから掃除まで含めて対処という考え方になるんですよね。掃除が終わったら、いちど水を入れたコップだけを1分ほど温めて、異臭や煙が出ないか確認してみてください。これで問題なければ、通常どおり使えます。次に同じことを起こさないために、原因になった容器は処分しておくのが確実です。

この章では、食べてよいかの判断と、庫内の掃除の手順を見ていきます。

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食べてよいかと庫内の掃除

まず食品についてです。容器が変形しただけで、溶けた樹脂が食品に混ざっていないなら、そのまま食べられることが多いです。ただし、溶けた部分が食品に触れていた、樹脂の破片が入っている、プラスチック特有の臭いが移っている。このどれかに当てはまるなら、食べずに処分することをおすすめします。

判断に迷う状態のものを無理に食べる必要はありません。健康に関わる不安がある場合は、最終的な判断を専門家にご相談ください。

においが強く残っている場合も、慎重に判断してください。プラスチックの焦げたにおいが食品に移っているということは、樹脂由来の成分が食品に触れた可能性があるということです。目に見える破片がなくても、においがはっきり分かるなら処分をおすすめします。

次に庫内です。溶けた樹脂が庫内に付着した場合、そのままにすると次の加熱で焦げて、発煙や発火の原因になります。冷めるまで待ってから取り除いてください。熱いうちに触るとやけどをしますし、樹脂が伸びて広がります。

庫内の天面や側面に付いた場合は、垂れてくることがあるので下に紙を敷いておくと後始末が楽になります。回転皿に付いた場合は、皿を外して洗える機種が多いので、外してから作業したほうが確実です。皿はガラス製が多く、急に熱いお湯をかけると割れることがあるので、ぬるま湯を使ってください。

取り除く前に、電源プラグを抜いておくと安全です。作業中にうっかりボタンに触れて運転が始まる、といった事故を避けられます。庫内灯が消えて見えにくくなりますが、手元を懐中電灯で照らせば十分に作業できます。

取り方は、完全に冷えて固まってから、樹脂の端をゆっくり持ち上げるのが基本です。固まっていれば意外ときれいに剥がれます。剥がれ残った部分は、ぬるま湯を含ませた布でしばらく湿らせてからこすると取れやすくなります。金属たわしや研磨剤は庫内の塗装を傷めるので使わないでください。塗装が剥がれると、その部分が放電や焦げの原因になります。

においがついた布は使い回さないほうがいいです。樹脂の成分が繊維に残り、次に拭いたときに庫内へ戻ってしまうことがあります。溶けた樹脂の掃除に使った布は、その回で処分するか、他の用途と分けて洗ってください。

臭いが残る場合は、耐熱容器に水とレモンの薄切りを入れて数分加熱し、蒸気を庫内に回してから拭くと軽くなります。それでも焦げ臭さが残る、庫内の塗装が剥がれている、運転すると異臭がするといった場合は、使用を控えて点検を依頼してください。買い替えを考える段階なら、置き場の寸法・容量・機能で絞る選び方の記事が判断材料になると思います。

◆レンのメモ

庫内に樹脂が残ったまま次の加熱をすると、その部分が焦げて煙が出ることがあります。掃除が終わったら、いちど水を入れたコップだけを1分ほど温めて、異臭や煙が出ないか確認してみてください。問題なければ通常どおり使えます。

再発を防ぐには、レンジに入れてよい容器を決めてしまうのがいちばん確実です。耐熱表示を確認した容器だけを一段にまとめておけば、迷う場面そのものがなくなります。家族で共有している家電では、この仕組み化が効きます。

電子レンジのプラスチック容器に関するよくある質問(FAQ)

「レンジ可」と書いてあれば何を温めても大丈夫ですか?

容器が対応していても、中身によっては表示温度を超えることがあります。油分や糖分の多い料理は局所的に150℃を超えることがあり、耐熱140℃の容器でも変形するおそれがあります。カレーや揚げ物、あんこなどを温めるときは、耐熱ガラスや陶器の器に移すほうが確実です。

耐熱温度が120℃の容器は使えませんか?

メーカーの案内では140℃以上のものが使えるとされており、140℃未満の表示があるものは使えないと説明されています。120℃の容器は基準を下回るので、レンジ加熱には使わないでください。冷蔵や常温での保存用として使い分けるのがよいと思います。

メラミンの食器は耐熱120℃なのになぜ使えないのですか?

温度の問題ではなく、電波との相性の問題です。メーカーの説明では、材料の性質である誘電特性のために電子レンジの加熱で食器自体が熱せられ、焼けたり焦げたりすることがあるとされています。中身より器のほうが熱くなるので、耐熱温度に関係なくレンジ加熱には向きません。

容器が少し変形しただけなら、また使えますか?

一度変形した容器は、素材が耐熱の限界を超えた証拠です。同じ使い方をすればまた変形しますし、劣化が進んで割れやすくもなります。保存用として常温や冷蔵で使う分には問題ないことが多いですが、レンジ加熱にはもう使わないほうがよいと思います。

溶けた樹脂が庫内に付きました。削り取ってもいいですか?

金属たわしや研磨剤で削るのは避けてください。庫内の塗装が剥がれると、その部分が放電や焦げの原因になります。完全に冷えて固まってから端をゆっくり持ち上げ、残りはぬるま湯を含ませた布で湿らせてからこすってください。塗装が剥がれてしまった場合は、点検を依頼することをおすすめします。

まとめ|電子レンジとプラスチック容器

電子レンジで使えるプラスチック容器かどうかは、見た目では判断できません。底や側面に書かれた耐熱温度の表示を見て、それが140℃以上かどうかで決まります。表示がない容器は判断材料がないので、使わないのが正解です。

素材の記号も手がかりになります。ポリプロピレン(PP)は家庭用の樹脂の中では耐熱性が高く、レンジ対応の保存容器によく使われます。逆にポリエチレン、ポリスチレン、PETは熱に弱く、レンジ加熱には向きません。

例外として覚えておきたいのがメラミンです。耐熱温度は約120℃とプラスチックの中では高めですが、誘電特性のために器そのものが熱せられ、焼けたり焦げたりすることがあるとされています。耐熱温度が高ければレンジで使える、という単純な話ではないわけですね。

使い分けの考え方としては、レンジで温める前提のものはPPの耐熱容器か耐熱ガラス、それ以外の保存は手持ちの容器、と分けてしまうのが楽です。容器を買い足すときに「レンジ可・耐熱140℃以上」だけを条件にすれば、迷う場面が減ります。

そして、耐熱140℃以上の容器でも溶けることがあります。油分や糖分の多い料理は局所的に表示温度を超えますし、量が少ないと電波が集中して高温になります。フタを閉めたままの加熱も、フタの耐熱不足と圧力の両方で危険です。

覚え方はシンプルです。数字を見る、フタも見る、油と少量に気をつける。この3つを押さえれば、容器を駄目にすることはほとんどなくなります。

もし溶けてしまったら、樹脂が食品に混ざっているなら食べずに処分し、庫内は冷えてから固まった樹脂を剥がします。金属たわしや研磨剤は塗装を傷めるので使わないでください。予防としては、レンジに入れてよい容器を決めて一か所にまとめておくのがいちばん効きます。

なお、この記事で挙げた耐熱温度は一般的な目安で、実際の数値は製品ごとに異なります。必ずお使いの容器の表示と、電子レンジの取扱説明書をご確認ください。正確な情報は公式サイトをご確認ください。健康や安全に関わる判断が必要な場合は、最終的な判断を専門家にご相談ください。

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