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KADEN LAB

COOKING / RESEARCH REPORT

ヨーグルトメーカーで塩麹|60℃6〜8時間の作り方と分量・保存の目安

木のテーブルに置いたヨーグルトメーカーと、できあがった塩麹を入れた保存瓶を並べた表紙スライド

塩麹づくりは待つのが大変?ヨーグルトメーカーなら半日で仕上がります

Kaden Lab研究員レン

RESEARCHER / レン

こんにちは。Kaden Lab研究員のレンです。

塩麹を手作りしてみたいけれど、常温だと1週間から2週間かかるうえに毎日かき混ぜないといけない、というところで止まっている方は多いと思います。途中でカビが出たらどうしよう、という不安もありますよね。

そこで出てくるのがヨーグルトメーカーです。設定温度を保ち続けられる家電なので、塩麹づくりに必要な60度前後という温度帯を、放っておいても維持してくれます。作り方の情報を調べると、温度は60度、時間は6時間から8時間、という数字がよく出てきますが、なぜその設定なのか、分量はどう決まるのか、そこまで書かれていないことが多いんですよね。

この記事では、米麹と塩と水の分量の決め方から、温度と時間の根拠、途中でかき混ぜるかどうか、完成の見分け方、カビや変色が出たときの判断、しょっぱいときの調整、冷蔵と冷凍の保存期間、そして塩麹づくりに向いたヨーグルトメーカーの選び方まで、順番に整理していきます。塩分濃度の計算式も出しますので、麹の量が違っても自分で分量を出せるようになりますよ。

  • 米麹と塩と水の分量を塩分濃度から決める方法
  • 発酵温度を60度前後にする理由と時間の目安
  • 完成の見分け方と、捨てるべき状態の判断基準
  • 塩麹づくりに向くヨーグルトメーカーの選び方

ヨーグルトメーカーで作る塩麹の基本手順と温度設定

まずは仕込みの部分です。分量、温度、時間、そして衛生管理。この4つを外さなければ、塩麹づくりはかなり安定します。ひとつずつ、数字の意味も含めて見ていきましょう。

塩麹づくりにヨーグルトメーカーが向く理由

塩麹というのは、米麹に塩と水を混ぜて、麹が持っている酵素にゆっくり働いてもらう調味料です。麹の中のプロテアーゼがたんぱく質を、アミラーゼがでんぷんを分解していく。その結果としてうま味と甘味が出てきます。

この酵素が働きやすい温度帯は、だいたい50度から60度あたりです。ところが日本の室温は、夏でも30度前後、冬なら10度台まで下がります。常温で作るというのは、酵素にとってかなり効率の悪い温度でゆっくり進めるということなんですね。だから1週間から2週間という時間がかかります。

ヨーグルトメーカーがやっているのは、この温度の問題を家電で解決することです。中身はヒーターと温度センサーで、設定した温度になるように加熱を入れたり止めたりを繰り返す。狙った温度を長時間キープすることだけに特化した家電だと考えると分かりやすいと思います。

温度が高い状態を保てると、酵素の分解が速く進みます。結果として6時間から8時間で仕上がる。さらに、雑菌が増えやすい温度帯(おおむね20度から40度)に置かれる時間が短くなるので、失敗の確率も下がります。常温で1週間置くというのは、その1週間ずっと雑菌にもチャンスを与えているということでもあるわけです。

作り方を3つ並べて比べると、性格の違いがはっきりします。

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作り方 所要時間の目安 温度の安定性 手間 季節の影響
常温(室内に置く) 1週間〜2週間 室温まかせ 1日1回かき混ぜる 大きい(夏は約1週間・冬は約2週間)
炊飯器の保温 6〜10時間 機種により60〜70度台 蓋を開けて温度を逃がす調整が要る 小さい
ヨーグルトメーカー 6〜8時間 設定温度を維持 基本は放置 小さい(冬は1〜2時間長めに)

炊飯器の保温でも作れますが、保温の温度は機種によって60度台後半から70度台になることがあり、狙った温度にしにくいのが弱点です。炊飯器の保温がどのくらいの温度帯で働くのかは、保温時間の考え方とあわせて整理した記事がありますので、手持ちの炊飯器で試したい方は先に目を通しておくと判断しやすいですよ。

米麹と塩と水の分量と塩分濃度の目安

塩の量を塩以外の総量から求める計算式と、生米麹の量ごとの塩と水の配合例を三段に並べた図解スライド
塩分濃度から分量を決める計算式と配合例

塩麹の分量は、レシピを丸暗記するより、塩分濃度で考えたほうが応用が利きます。というのも、麹の量を変えたときに、塩と水も一緒に変えないと味も保存性も変わってしまうからです。

基本形として広く使われているのが、生米麹100グラム・塩30グラム・水100ミリリットルという組み合わせです。この配合は、全体に対する塩の割合がおよそ13パーセントになります。

なぜ13パーセントなのかというと、塩分濃度が12パーセントを下回ると雑菌が増えやすい環境になると言われているためです。塩は味付けのためだけに入っているのではなく、保存性を確保する役割を持っています。ここを削ると、失敗の確率が一気に上がります。

減塩したいという理由で塩を大きく減らすのはおすすめしません。とくに常温で作る場合は、塩の量を減らすと雑菌が優勢になりやすくなります。ヨーグルトメーカーで短時間仕上げにする場合でも、塩分濃度は12パーセント以上を目安にして、下げるなら冷蔵保存で早めに使い切る前提にしてください。あくまで一般的な目安であり、環境によって変わります。

麹の量を変えたいときは、次の式で塩の量を出せます。

塩の量(グラム)= 塩以外の総量(グラム)× 13 ÷ 87

この87という数字は「100から13を引いた残り」です。塩以外の材料(麹と水)が全体の87パーセントを占めるので、その比率から逆算しているわけですね。たとえば麹200グラムに水250グラムを使うなら、塩以外の総量は450グラム。450 × 13 ÷ 87 = 約67グラムが塩の量になります。

実際にはもう少しゆるく、覚えやすい数字で仕込むレシピも多く出回っています。よく使われる組み合わせを表にしておきます。

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米麹(生) おおよその塩分濃度 補足
100g 30g 100ml 約13% 基本形。小さめの保存瓶1本ぶん
200g 67g 250ml 約13% 計算式どおりに合わせた配合
200g 60g 250ml 約11.8% よく使われる配合。12%をわずかに下回る
300g 100g 370ml 約13% 900mL級の容器に入るか要確認

2行目と3行目を見比べると分かるように、塩を60グラムに丸めた配合は約11.8パーセントで、12パーセントをわずかに下回ります。よく紹介されている配合なので使って問題はありませんが、その場合は必ず冷蔵で保存して、早めに使い切るようにしてください。保存性を優先するなら、計算式どおりの67グラムに寄せるほうが安心です。

水の量に幅があるのは、仕上がりの好みで変わるからです。水が少なめだともったりしたペースト寄りに、多めだとさらっとした液体寄りになります。迷ったら、麹がひたひたに浸かる量を基準にしてください。麹は水を吸って膨らむので、仕込み直後にちょうどよく見えても、数時間後には麹が水面から顔を出していることがあります。そのときは水を足して大丈夫です。

生米麹と乾燥米麹で変わる水の量

ここは意外と見落とされがちな部分です。米麹には生タイプと乾燥タイプがあり、含んでいる水分量が違います。生麹はおおむね25パーセントから30パーセント程度の水分を含んでいるのに対し、乾燥麹は10パーセント以下まで乾かしてあります。

つまり乾燥麹は、その差のぶんだけ水を余計に吸うわけです。生麹のレシピをそのまま乾燥麹に当てはめると、水が足りずにパサついた仕上がりになりやすくなります。

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麹の種類 水分量の目安 水の量の考え方 下ごしらえ
生米麹 25〜30%程度 麹と同量前後から 粒をほぐすだけ
乾燥米麹 10%以下 生麹より多め(1.2〜1.5倍程度を目安に調整) 先に水で1時間ほど戻すと均一になりやすい

乾燥麹を使うときは、いきなり全量の水を入れるより、少なめに入れて様子を見ながら足すほうが調整しやすいです。塩分濃度は「塩以外の総量」で計算するので、水を足したぶん塩も足す必要が出てくる点だけ気をつけてください。正確な分量は商品ごとに違いますので、パッケージの表示やメーカー公式サイトの案内もあわせて確認してみてください。

ちなみに、麹そのものは近所のスーパーだと置いていないこともあります。製菓・製パン材料の専門店なら生米麹も乾燥米麹も扱いがあるので、どちらを使うかで水の量が変わる点を思い出しながら選んでみてください。

富澤商店オンラインショップ

発酵温度を60℃前後に設定する理由

50度以下から65度以上まで、発酵温度ごとの所要時間と仕上がりの傾向を温度の軸に沿って示した図解スライド
発酵温度ごとの所要時間と仕上がりの違い

ここが塩麹づくりでいちばん誤解されやすいところだと思います。「早く仕上げたいから温度を上げる」というのは、実は損をする可能性があるんですね。

麹の酵素は、温度が高いほど活発に働きます。ただし高すぎると壊れます。この2つが同時に起きるので、ちょうどよい落としどころを探すことになります。

目安として、でんぷんを分解して甘味を出すアミラーゼは55度から60度あたりで活性が高いとされ、甘酒づくりでもこの温度帯が使われます。一方で70度を超えると酵素は基本的に失活してしまいます。逆に50度以下ではたんぱく質を分解するプロテアーゼのほうが優位になり、酸味が出やすい方向へ振れると言われています。

◆レンのメモ

温度を上げれば速く終わる、という発想は加熱調理の感覚です。でも塩麹づくりで働いているのは酵素というたんぱく質で、これは熱で壊れます。速く終わらせたいから温度を上げる、というのは、働き手を減らしながら急かしているようなものなんですよ。

実際に、公的な研究機関でも温度と酵素活性の関係が調べられています。あいち産業科学技術総合センターの報告では、食塩濃度13パーセントの塩麹を45度・50度・55度で消化させたとき、α-アミラーゼ活性は温度が高いほど低下が著しく、55度では96時間でほとんど活性がなくなったとされています。プロテアーゼ活性も温度が高いほど低下しやすい傾向はあるものの、α-アミラーゼほど顕著ではなかったとのことです(出典:あいち産業科学技術総合センターニュース 2017年3月号「塩麹の製造条件と酵素活性について」)。

この結果から読み取れるのは、高い温度で長時間続けるほど、酵素は残りにくくなるということです。塩麹を調味料として使うとき、肉をやわらかくしたり甘味を引き出したりする働きは酵素が担っているので、酵素が残っているかどうかは仕上がりの実力に直結します。

そう考えると、家庭での現実的な設定はこのあたりになります。

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設定温度 仕上がりまでの目安 特徴 向いている人
55度 8〜10時間 酵素へのダメージが比較的おだやか 就寝前に仕込んで朝に取り出したい人
60度 6〜8時間 短時間で仕上がる。定番の設定 その日のうちに使いたい人
65度以上 短くなるが非推奨 酵素が失活しやすく、甘味が出にくい
50度以下 10時間以上 酸味が出やすく、雑菌の面でも不利

結論としては、60度で6時間から8時間というのが、時間と仕上がりのバランスがとれた設定です。もし甘味をしっかり出したいなら55度で長めに、というのも選択肢になります。ここは好みの問題なので、1回目は60度で作ってみて、次に条件を変えて比べるのがいちばん納得できると思います。

発酵時間は6〜8時間を目安にする

時間についても、ぴったり何時間が正解、という決まりはありません。麹の状態、部屋の温度、容器の大きさ、機種の保温力で変わるからです。目安を持ったうえで、状態を見て決めるのが現実的です。

基本は6時間で一度確認します。麹の粒が指で押すとつぶれるくらいやわらかくなっていて、全体にとろみが出て、甘い香りがしていれば完成と考えてよいでしょう。まだ粒が固い、香りが弱いというときは、1時間ずつ延長していきます。

冬場は1時間から2時間ほど長めに見ておくと安心です。ヨーグルトメーカー自体は設定温度を保とうとしますが、室温が低いと容器から熱が逃げる量が増えるため、中身が温まりきるまでに時間がかかります。とくに冷蔵庫から出したばかりの麹や、冷たい水をそのまま使った場合は、スタート時点の温度が低いぶん遅れが出ます。

途中で1回か2回、清潔なスプーンで下から上へ混ぜると、温度と水分が均一になりやすくなります。必須ではありませんが、上のほうだけ乾いた感じになるのを防げます。ふたを開ける時間は短くしてください。

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経過時間(60度設定) 状態の目安 判断
4時間 麹粒がまだ固い。香りは弱い まだ早い。延長する
6時間 とろみが出て甘い香り。粒が指でつぶれる 完成の目安。ここで確認
8時間 とろみが強まり、色がやや濃くなる 問題なければ終了
10時間以上 色がさらに濃くなり、酸味が立つことがある 延ばしすぎ。加熱調理向けに使う

時間を延ばしすぎても腐るわけではありませんが、色が濃くなって風味が変わりますし、前の項目で見たとおり酵素も減っていきます。「足りないより長めに」ではなく、「6時間で見て、足りなければ足す」という進め方をおすすめします。数値はあくまで一般的な目安です。

仕込みから完成までの手順と衛生管理

手順そのものはとてもシンプルです。混ぜて、セットして、待つ。それだけなのですが、衛生管理のところだけは省略しないでください。塩麹づくりの失敗のほとんどは、雑菌が入ることで起こります。

  1. 容器とスプーンを消毒する(煮沸、または食品用アルコール)
  2. 手を石けんでよく洗い、しっかり乾かす
  3. 米麹の粒を手でほぐし、かたまりをなくす
  4. 容器に麹・塩を入れて、先によく混ぜ合わせる
  5. 水を加えて全体を混ぜ、麹がひたひたに浸かった状態にする
  6. ヨーグルトメーカーにセットし、60度・6〜8時間で設定してスタート
  7. 完成したら全体を混ぜ、粗熱を取ってから冷蔵庫へ

麹と塩を先に混ぜてから水を入れるのは、塩が均一に行き渡りやすくするためです。水を先に入れると塩が下に沈んで溶け残ることがあり、部分的に塩分濃度が低い場所ができてしまいます。

消毒については、耐熱容器なら煮沸が確実です。80度以上のお湯で10分以上を目安に加熱し、取り出したら清潔な布巾の上に伏せて自然乾燥させます。プラスチックなど熱に弱い素材の場合は、食品に使えるアルコール(70パーセント程度のエタノール)を吹きかけて拭き取る方法が現実的です。アルコールは拭いたあと乾けば効果が出ます。

覚えておきたいのは3つだけです。塩分濃度は12パーセント以上、温度は60度前後、道具は乾いた清潔なもの。この3つを守っていれば、塩麹づくりはほとんど失敗しません。逆に、この3つのどれかを崩したときにトラブルが起きやすくなります。

もうひとつ、温度と食品の安全について補足しておきます。20度から40度あたりは、多くの微生物が増えやすい温度帯です。塩麹づくりでこの帯を通過する時間を短くできるのがヨーグルトメーカーの利点なのですが、逆に言えば、電源を入れ忘れて数時間放置する、といった使い方は避けたほうがよいということでもあります。食材を温かい温度帯に長く置くことのリスクは、予約調理の記事でも整理していますので、あわせて確認しておくと感覚がつかめると思います。

ヨーグルトメーカーの塩麹で失敗しないコツと保存

ここからは、できあがったあとの話です。完成の見分け方、失敗と判断する基準、味の調整、常温との違い、保存と使い方、そして機種選びまで見ていきます。

完成の見分け方と失敗と判断する基準

正常な仕上がりと廃棄の対象になる状態を、見た目やにおいの特徴ごとに二つの表へ分けて示したスライド
完成の目安と廃棄すべき状態の見分け方

まず、成功しているときの状態を押さえましょう。全体がクリーム色で、おかゆのようなとろみがあり、甘い香りにほんのり酸味が混じっている。麹の粒を指でつまむと、抵抗なくつぶれる。これが目安です。

色が白から少しずつクリーム色、さらに時間が経つと薄い茶色へ変わっていくのは自然な変化です。熟成が進むと色が濃くなり、塩味の角が取れてまろやかになっていきます。色が変わったから失敗、ではありません。

問題なのは、次のような状態です。

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見た目・におい 考えられる状態 対応
全体がクリーム色・とろみ・甘い香り 正常な仕上がり 使用可
表面に白い膜のようなもの。においは正常 産膜酵母の可能性 においと味に異常がなければ様子を見る
緑・黒の点々 カビ 取り除かず全量を廃棄
赤やピンクっぽい変色 雑菌が増えた可能性 廃棄
糸を引く、急にぬめりが増えた 異常発酵の可能性 廃棄
ツンと強い異臭、アルコール臭が極端 過発酵や雑菌 使用しない

カビが一部にだけ見えたとき、その部分だけ取り除けば使えるのでは、と考えたくなりますよね。ただ、カビは目に見える部分だけで済んでいるとは限りません。判断に迷う状態のものは口にしない、というのがいちばん確実です。もったいなく感じても、作り直したほうが安心ですよ。

なお、少し酸っぱい香りがする程度であれば、発酵が進んだだけということも多いです。とくに温度が高めだったときに出やすい傾向があります。においに異常がなく、見た目にも問題がなければ、生で使うより加熱調理に回すと気になりにくくなります。

しょっぱい・水っぽいときの調整方法

完成はしたけれど思っていた味と違う、という場合の調整方法をまとめておきます。ほとんどは仕込みの分量か温度に原因があります。

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症状 考えられる原因 対処
しょっぱすぎる 水が少ない/塩が多い 水を少量ずつ足して混ぜる。使う量を減らすだけでも対応可
水っぽい・とろみが出ない 水が多い/発酵時間が足りない 1〜2時間追加で発酵。それでも緩ければ麹を少し足す
固い・パサつく 乾燥麹で水が不足 麹がひたひたになるまで水を足す(塩も割合ぶん追加)
甘味が弱い 温度が高すぎてアミラーゼが失活した可能性 次回は55〜60度に設定し、上げすぎない
酸味が強い 温度が低め/時間が長すぎた 加熱調理に使う。次回は温度と時間を見直す
粒が残って口当たりが気になる 麹の粒が大きい ブレンダーでなめらかにする

ひとつ注意点があります。しょっぱいからといって水をたくさん足すと、塩分濃度が下がって保存性も落ちます。水を足したら冷蔵保存に切り替えて、早めに使い切るようにしてください。塩分濃度は保存性を支えている要素なので、味の調整と保存性はトレードオフの関係になります。

また、水を足したあとに再度ヨーグルトメーカーへ入れて短時間だけ加温すると、なじみやすくなります。ただし何度も加温を繰り返すと酵素は減っていくので、やるとしても1回にとどめるのが無難です。

常温で作る塩麹との仕上がりの違い

ここまでヨーグルトメーカーの利点を中心に書いてきましたが、常温でつくる塩麹にも良さがあります。どちらが上ということではなく、性格が違うと考えるほうが正確です。

常温発酵は、低い温度で長い時間かけて進みます。そのぶん酵素が働く時間が長く、複数の変化がゆっくり重なるため、味に奥行きが出やすいと言われます。毎日かき混ぜながら、香りや状態が変わっていくのを観察できるのも、作る楽しさとしては大きいですよね。

一方でヨーグルトメーカーは、短時間で狙った状態まで持っていく方法です。甘味の立ち上がりが早く、すっきりした仕上がりになりやすい。何より、失敗しにくく、季節に左右されません。

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比較項目 常温発酵 ヨーグルトメーカー
所要時間 1〜2週間 6〜8時間
手間 1日1回かき混ぜる ほぼ放置(途中1〜2回混ぜると均一)
季節の影響 大きい 小さい
味の傾向 時間をかけた奥行きが出やすい 甘味が立ちやすく、すっきり
塩分の考え方 減塩しにくい(雑菌対策のため) 短時間ぶん多少下げやすいが12%目安は維持
初期費用 容器だけ 本体の購入が必要

同じ「温度を保って発酵させる」という考え方は、塩麹以外にも応用できます。砂糖を使わずに小豆を甘くする発酵あんこも、温度と時間の管理がそのまま仕上がりを決める料理ですので、温度を保つ家電をひとつ持っておくと使い道は広がります。

保存期間と肉や魚に使うときの目安

冷蔵と冷凍の保存期間の目安と、肉や魚など食材ごとの塩麹の漬け時間をまとめた図解スライド
冷蔵・冷凍の保存期間と食材別の漬け時間

できあがった塩麹は、清潔な容器に移して冷蔵庫で保存します。目安として冷蔵で約3か月とされることが多いですが、環境や扱い方で変わるので、状態を見ながら使い切るのが前提です。

冷蔵保存のコツは3つあります。取り出すときは必ず乾いた清潔なスプーンを使うこと。温度変化の大きいドアポケットではなく庫内の奥に置くこと。手作りの場合は発酵が続くのでふたをゆるめにしておくこと。この3つで持ちがかなり変わります。

長く置きたいなら冷凍という選択肢もあります。塩分と糖分を含むため、冷凍してもカチカチには固まらず、スプーンですくえる状態を保ちます。冷凍すると熟成がほぼ止まるので、作りたての色と風味を保ちたいときに向いています。保存期間の目安は1年程度とされます。

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保存方法 期間の目安 熟成 向いている使い方
冷蔵 約3か月 ゆっくり進み、色が濃くまろやかに 日常的に使う分
冷凍 約1年 ほぼ止まる 作り置き・多めに仕込んだ分

保存の考え方は他の発酵メニューとも共通します。自家製に賞味期限が書けない理由とメニュー別の日持ちを整理した記事もあるので、まとめて作る方は目を通しておくと管理が楽になりますよ。

使う量の基本は、食材の重量に対して10パーセントです。肉100グラムなら塩麹10グラム、およそ小さじ2弱と考えると分かりやすいと思います。

◆レンのメモ

漬け時間は「長いほどおいしくなる」わけではありません。プロテアーゼがたんぱく質を分解し続けるので、漬けすぎると身がゆるんで崩れやすくなります。丸1日を超えるあたりから食感が変わってくるので、長くても一晩までを目安にするといいですよ。

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食材 漬け時間の目安 補足
しょうが焼き用・厚めのロース肉 10〜20分 薄い肉は短時間で十分
焼き魚の切り身 1〜2時間 身がやわらかい魚は短めに
鶏もも肉(からあげ用) 2〜3時間 下味と食感の両方に効く
豚の角煮などブロック肉 5時間〜一晩 大きいものほど長めに

もうひとつ実用的な注意点として、塩麹に漬けた食材は焦げやすくなります。分解によって生じたアミノ酸と糖が加熱で色づくためです。対策としては、焼く前に表面の塩麹を軽くぬぐうこと、弱めの中火でじっくり焼くこと、クッキングシートを敷くこと。この3つで、かなり防げます。

塩麹作りに向くヨーグルトメーカーの選び方

最後に機種選びです。ヨーグルトを作るだけなら選択肢は多いのですが、塩麹まで視野に入れると条件が絞られます。見るべきポイントは4つです。

1. 60度以上まで設定できるか

これが最優先です。塩麹は60度前後、甘酒も55度から60度が目安なので、上限が50度台までの機種だと厳しくなります。温度設定範囲が25度から65度程度、できれば1度刻みで調整できるものが扱いやすいです。ヨーグルト専用のシンプルな機種は温度の上限が低いことがあるので、仕様表を必ず確認してください。

2. タイマーの上限

塩麹なら8時間前後で足りますが、他の発酵食品や低温調理まで考えるなら長いほうが便利です。最大48時間程度まで設定できる機種であれば、たいていの用途をカバーできます。

3. 専用容器が付いているか

ここは見落とされがちです。牛乳パックをそのまま差し込む方式だけの機種だと、塩麹のような固形物を含む仕込みには使いにくくなります。900ミリリットル前後の専用容器が付属していて、丸洗いや煮沸ができる素材かを確認しておくと安心です。麹200グラムの仕込みが入るかどうかも、容量から逆算しておきましょう。

4. 自動メニューの有無

塩麹や甘酒の温度・時間があらかじめ登録されている機種なら、毎回設定する手間が省けます。必須ではありませんが、家族で使う場合は操作が簡単なほうが続きやすいです。

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チェック項目 塩麹づくりの目安 確認する場所
温度設定範囲 60度以上に設定できる(25〜65度程度) 仕様表の「温度設定範囲」
温度の刻み 1度刻みだと調整しやすい 仕様表・取扱説明書
タイマー 最低12時間、48時間あると余裕 仕様表の「時間設定範囲」
専用容器 900mL前後・丸洗い可 付属品の欄
自動メニュー 塩麹・甘酒メニューがあると簡単 製品ページの機能説明

電気代も計算しておきましょう。消費電力35ワット級の機種を8時間動かした場合、35ワット × 8時間 = 280ワットアワー、つまり0.28キロワットアワーです。1キロワットアワーあたり31円で計算すると、0.28 × 31 = 約8.7円になります。

1回あたり10円弱、というのが塩麹づくりのランニングコストです。月に4回作っても40円程度ですね。電気代を理由に迷う必要はほとんどない水準だと思います。なお電力量料金の単価は契約プランや時期で変わりますので、正確な金額はご契約中の電力会社の明細でご確認ください。

製品ごとの正確な仕様や使用上の注意は、必ずメーカーの公式サイトと取扱説明書をご確認ください。食品を扱う家電なので、洗浄方法や耐熱温度についてもメーカーの案内に従うのが安全です。判断に迷う点があれば、メーカーの問い合わせ窓口や販売店に相談してみてください。

ここまでの4点を満たす機種は、実はそこまで多くありません。温度設定範囲と付属容器は商品ページに書いてあるので、候補を見つけたらその2つから確認してみてください。価格や在庫、現行モデルかどうかは変わりますので、購入前に各ショップでご確認をお願いします。

ヨーグルトメーカーの塩麹についてよくある質問

醤油麹も同じ温度と時間で作れますか?

基本の考え方は同じで、60度前後・6〜8時間が目安になります。違うのは水の代わりに醤油を使う点で、麹と醤油をほぼ同量にする配合がよく使われます。醤油そのものに塩分が含まれているため、塩を別途加える必要はありません。麹が醤油を吸って水分が足りなくなることがあるので、途中で確認して、ひたひたの状態を保つように醤油を足してください。分量や好みの濃さは商品によって変わりますので、あくまで一般的な目安としてお使いください。

麦麹や玄米麹でも同じ作り方でいいですか?

温度と時間の考え方は米麹と同じで問題ありません。塩分濃度の考え方も共通です。ただし麦麹や玄米麹は米麹より水を吸いやすい傾向があるため、水の量は少し多めに見ておくと仕上がりが安定します。風味は原料によって変わり、麦麹は香ばしさ、玄米麹はコクが出やすいと言われます。仕上がりの色も米麹より濃くなりやすいので、色の濃さだけで失敗と判断しないようにしてください。

粒が気になります。なめらかなペーストにできますか?

発酵が終わったあとにハンドブレンダーやミキサーにかけると、なめらかなペースト状になります。ドレッシングや和え物に使うときは、粒が無いほうが口当たりがよく、使い勝手が上がります。発酵の前ではなく後にかけるのがポイントで、粒の状態のまま発酵させたほうが全体に均一に進みます。器具は事前に消毒し、作業後はすぐ冷蔵庫へ戻してください。

塩麹大さじ1に含まれる塩分はどのくらいですか?

塩分濃度13パーセントで仕込んだ塩麹なら、大さじ1に含まれる食塩はおよそ2.0〜2.3グラムという計算になります。塩麹の大さじ1はとろみの強さで重さが変わり、おおよそ15〜18グラムほど。これに0.13を掛けると1.95〜2.34グラムになる、という単純な計算です。同じ大さじ1でも食塩そのものなら約18グラムがまるごと塩分ですから、塩麹は水と麹で薄まっているぶん、同じ体積あたりの塩分は少なくなります。ただし塩麹はうま味があるぶん量を使いやすいので、実際の摂取量は使い方次第です。塩分制限がある方は、医師や管理栄養士など専門家にご相談ください。

ヨーグルトメーカーの塩麹作りで押さえる要点

最後に、ここまでの内容を整理しておきます。

分量は塩分濃度で考えます。生米麹100グラム・塩30グラム・水100ミリリットルが基本形で、これがおよそ13パーセント。麹の量を変えるときは「塩の量=塩以外の総量×13÷87」で出せます。12パーセントを下回ると雑菌の面で不利になるので、そこは削らないでください。

温度は60度前後、時間は6時間から8時間。温度を上げれば速く終わるという発想は逆効果で、高温ほど酵素は失活しやすくなります。甘味を重視するなら55度で長めに、という選び方もあります。冬場は1〜2時間長めに見ておくと安心です。

完成の判断は、クリーム色・とろみ・甘い香り・指でつぶせる粒の4点。緑や黒の点、赤やピンクの変色、糸を引く状態が出たら使わないでください。保存は冷蔵で約3か月、冷凍なら約1年が目安で、取り出すスプーンは必ず乾いた清潔なものを使います。

機種を選ぶときは、60度以上に設定できること、専用容器が付いていること、タイマーが十分にあることの3点を確認してください。この条件を満たしていれば、塩麹だけでなく甘酒や他の発酵食品にも使い回せます。

常温で1〜2週間かけていた工程が半日で終わる、というのがヨーグルトメーカーで塩麹を作る最大の価値です。仕込みの手間そのものは10分もかかりません。まずは基本の分量で1回作ってみて、次に温度や時間を変えて比べてみると、自分の好みの設定が見つかると思いますよ。記載した数値はいずれも一般的な目安ですので、正確な情報は各メーカーの公式サイトや取扱説明書をご確認ください。