除湿機の異音は故障?音の種類別に見る原因と危険なサイン
昨日まで静かだった除湿機から、今日になって聞き慣れない音がする。そんなとき、まず頭をよぎるのは「これは壊れたのか、それともこういうものなのか」という判断だと思います。取扱説明書を開いても音の項目はたいてい数行しかなく、ネットで調べれば「故障です」「正常です」の両方が出てきて、かえって迷ってしまうのではないでしょうか。
ただ、実はここには整理された答えがあります。メーカーが公開している取扱説明書の「故障かな?と思ったら」には、どの擬音語がどの部品の音なのかがかなり細かく書かれていて、しかも複数メーカーで説明が一致しています。つまり、聞こえている音の種類さえ言語化できれば、原因は機械的に絞り込めるということです。
この記事では、三菱電機とコロナの除湿機取扱説明書、パナソニックの公式FAQに記載された内容を軸に、音の種類を「そのままでよい音」「自分で直せる音」「止めてメーカーに相談する音」の3段階へ仕分けていきます。危険度の高い音だけを切り分けられれば、必要のない修理依頼も、危ない放置も避けられます。
- 聞こえている音の種類から原因を絞り込む手順
- メーカーが「異常ではない」と明記している運転音の正体
- 自分で直せる異音と、触ってはいけない異音の境目
- 使用をすぐ止めるべき危険なサインの見分け方
除湿機の異音は3つに仕分けて考える

異音を「故障か、正常か」の二択で考えると、どうしても答えが出ません。除湿機の中には圧縮機、ファン、ルーバー、冷媒の流れる配管、排水経路と、音を出す要素がいくつも同居しているからです。しかもそれぞれが別々のタイミングで動くので、同じ機械から出ている音でも性質がまったく違います。そこで最初にやることは、原因を当てにいくことではなく、危険度で3つの引き出しに振り分けること。具体的には、聞こえていてもそのまま使ってよい音、自分の手で解決できる音、運転を止めて相談する音の3つに分けます。この仕分けができていれば、あとは該当する引き出しの中だけを見ればよく、関係のない原因を延々と調べる時間を使わずに済みます。順番としては、危険度の高いものから外していくのがいちばん安全です。
放置してよい音と止めるべき音の境目
結論から言うと、境目は「電源を入れたまま様子を見てよいかどうか」にあります。冷媒が流れる音や圧縮機が動き出す音は、機械が設計どおりに働いている証拠なので、聞こえていても運転を続けて問題ありません。一方で、異音に熱や焦げた臭いが伴う場合は、様子見という選択肢そのものがなくなります。
この線引きは、私が決めたものではなくメーカー側が明示しています。コロナの除湿機取扱説明書には、点検・修理を依頼すべき状態として「電源プラグや電源コード等が異常に熱くなる」「こげくさい臭いがしたり、異常な音がする」「電源コードに触れると通電しなかったりする」「ブレーカー、ヒューズがたびたび切れる」の4項目が並んでいます。三菱電機の取扱説明書にもほぼ同じ4項目が載っていて、表現まで近い。メーカーが違っても同じ4つが挙がるということは、この4つが業界共通の危険信号だと考えてよいわけです。
逆に言えば、この4つのどれにも当てはまらない音は、少なくとも即座に電源を抜かなければならない段階ではありません。落ち着いて音の種類を特定する時間があります。まずは深呼吸して、次の2点を確認してみてください。
異音と同時に「本体やプラグが異常に熱い」「焦げた臭いがする」「ブレーカーが何度も落ちる」のいずれかが起きているときは、音の種類を調べるより先に運転を止めて電源プラグを抜いてください。この組み合わせは、原因の特定を自分で進めてよい範囲を超えています。
音の出どころといつから鳴ったか
危険な組み合わせがないと確認できたら、次は情報を2つ集めます。ひとつは音が出ている場所、もうひとつは鳴り始めたタイミングです。この2つが揃うだけで、候補はかなり絞られます。
場所については、本体の下側なのか、吹出口のあたりなのか、タンクの側なのかを聞き分けます。除湿機は部位ごとに担当している部品が違うので、場所が分かれば部品が分かります。本体の下側で重い音がするなら圧縮機まわり、吹出口で軽い音がするならルーバーやファン、タンク側で水っぽい音がするなら排水経路、という具合です。耳を近づけるときは吹出口に手を入れないよう気をつけてください。
タイミングのほうは、「買ってからずっと」「今シーズン使い始めてから」「昨日まで静かだったのに今日から」の3つに分けて考えます。買った当初から鳴っているなら、それはその機種の仕様である可能性が高い。今シーズンからなら、保管中の埃や設置場所の変化が疑わしい。昨日まで静かだったのに急に、というケースがいちばん部品の緩みや劣化を示唆します。「急に変わった」という情報は、音の種類と同じくらい重要な手がかりです。
もうひとつ、最初に切り分けておきたいのが機械が動いて出る音と、機械が鳴らしている電子音の違いです。「ピーピー」「ピッ」といった電子音は、ファンやモーター音のように部品が動いて生じる音ではなく、本体が意図的に鳴らしているお知らせ音になります。三菱電機の除湿機取扱説明書では、タンクが満水になると満水ランプが点灯し「ピーピーピー」と音がすると記載されていて、これは故障ではなく排水を促す合図です。
電子音は設定で止められる場合もあります。コロナの除湿機取扱説明書には「満水メロディーを鳴らしたくないとき」という項目があり、運転停止中に切タイマーボタンを3秒以上押すと音が鳴って設定され、もとに戻したい場合は同じボタンをもう一度3秒以上押すか電源プラグを抜き差しする、と案内されています。機械音は原因を探すもの、電子音は意味を調べるものと役割が違うので、ここを混ぜないでください。なお満水時の挙動は機種で差があり、同じ三菱電機の説明書でも、タンクが満水になると除湿を停止して送風のみになり、満水ランプは点灯するが音は鳴らないというケースが併記されています。
この3つをメモしてから先を読み進めると、該当箇所がすぐ見つかるはずです。なお、音そのものは正常でも設置状況によって大きく響くことがあり、そちらは原因も対処も別物になります。運転音自体がもともと大きいと感じている場合は、除湿機の音がうるさい原因は振動|防振マットと置き方で静かにする方法のほうが近いので、先にそちらを確認してもらうと早いかもしれません。
仕分けの全体像を先に早見表にしておきます。聞こえている音に近いものを探して、右端の危険度を見てください。
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| 聞こえる音 | 出どころ | 考えられる原因 | 危険度と対処 |
|---|---|---|---|
| シュルシュル/ゴーゴー/シュー | 本体内部 | 冷媒が流れる音 | 低:そのまま使用可 |
| カチッ+風が止まる | 本体内部 | 霜取り運転への切り換え | 低:約5〜10分で戻る |
| 急に大きくなるブーン | 本体下側 | 圧縮機が動き始めた | 低:運転開始から約3分後の正常動作 |
| ピシ/パキッ | 本体内部 | 部品の熱膨張・収縮 | 低:そのまま使用可 |
| ピーピー/ピッ | 本体(電子音) | 満水や設定操作のお知らせ音 | 低:表示の意味を確認する |
| ポコポコ/ポタポタ | タンク・排水まわり | 結露水がタンクへ落ちる音 | 低:水漏れがなければ問題なし |
| カタカタ/カラカラ | 吹出口 | ルーバーの外れ・割れ・緩み | 中:取り付け状態を確認 |
| ビビリ音/ガタガタ | 本体下側・接地面 | 設置の傾き・床との共振 | 中:水平で丈夫な場所へ置き直す |
| ザーザー/風切音の増大 | 吸込口・吹出口 | エアフィルターの目詰まり | 中:フィルターを掃除する |
| キュルキュル/ギー/キーン | 本体内部の回転部 | ファンや軸受けまわりの摩擦 | 高:運転を止めてメーカーへ相談 |
| 異音+熱・焦げ臭・ブレーカー落ち | 本体・電源まわり | 電気系統の異常 | 最高:直ちに停止し電源プラグを抜く |
ここから下は、この表の上段から順に「なぜその音が出るのか」を掘り下げていきます。自分の音がどこに当てはまるか分かっている人は、該当する見出しまで飛ばしてもらって構いません。
正常な運転音として説明されている音

最初の引き出しは、メーカーが取扱説明書のなかで明確に「異常ではありません」「故障ではありません」と書いている音です。この種類の音は、部品が壊れて出ている音ではなく、除湿という仕組みそのものが避けられない音になります。空気を冷やして水を絞り出す以上、冷媒は動きますし、圧縮機も回ります。物理的に音が出ない除湿機というものは存在しないわけです。裏を返せば、これらを故障と思い込んで修理を依頼しても「異常なし」で戻ってくることになるため、先に除外しておく価値が高い。しかもこの引き出しに入る音は、鳴るタイミングが仕組みで決まっているという共通点があります。運転開始の直後、モードの切り換え時、停止したあとしばらくの間。この3つのどれかに重なっているかどうかが、判別の手がかりになります。まずはここから確認していきましょう。
シュルシュル・ゴーゴーは冷媒の音
コンプレッサー式の除湿機は、エアコンと同じ原理で空気を冷やして水を絞り出しています。そのとき本体の中を循環しているのが冷媒と呼ばれる液体で、これが配管を流れるときに音を立てる。三菱電機の除湿機取扱説明書では「シュルシュル」「ゴーゴー」という音について、冷媒が流れる音であり、運転開始時・運転切換時・運転停止後しばらくは冷媒の循環が安定するまで音がすることがある、と説明されています。
コロナの除湿機取扱説明書も同じ現象を扱っていて、運転中や停止直後に「シュル」「シュル」と音がするのは内部の冷媒が流れる音で、異常ではないと明記されています(出典:コロナ 除湿機 サポート・お問い合わせ)。別のメーカーが、別の機種の説明書で、同じ音に同じ説明をしている。これは機種固有の癖ではなく、コンプレッサー式という方式に共通する現象だということを示しています。
ポイントは、鳴るタイミングが決まっていることです。運転を始めた直後、運転モードが切り替わった直後、運転を止めたあとしばらくの間。この3つのどれかに当てはまるなら、冷媒の音と考えてまず間違いありません。逆に、運転が安定して何十分も経ってから急に流水音のような音が出始めた場合は、冷媒よりも排水経路を疑ったほうが筋が通ります。
なお、冷媒を使わないデシカント式(ゼオライト式)の除湿機では、この音は原理的に出ません。トヨトミの公式サポートでは、デシカント方式について軽量・コンパクトで運転音が静かであり、それはコンプレッサーを内蔵していないためだと説明されています。自分の除湿機がどちらの方式かで、そもそも鳴りうる音の種類が変わるので、方式を把握していない人は除湿機の方式の違いを一覧比較|季節で決まるコンプレッサーとデシカントで確認しておくと切り分けが早くなります。
カチッ・シューは霜取り運転の音
コンプレッサー式の除湿機には、室温が低いときに内部の冷却器へ霜が付くという弱点があります。そのまま運転を続けると氷が育って除湿できなくなるため、一定の条件で自動的に霜を溶かす動作に切り替わる。これが霜取り運転です。
コロナの除湿機取扱説明書には、「風が出なくなった」「カチッ、シューと音が出る」という症状について、これは霜取り運転をおこなっているためで故障ではないと書かれています。さらに、約5分から約10分間風が出なくなること、またこのとき内部の動作音と冷媒の流れる音がすることまで具体的に記載されています。時間の目安まで説明書に書いてあるのは、それだけ問い合わせが多い挙動だからでしょう。
ここで大事なのは、霜取り中は「音がする」と「風が止まる」が同時に起きるという点です。音だけを聞いていると異常に感じますが、送風が止まっているという事実とセットで見れば、機械が意図して動作を切り替えたことが分かります。目安の5分から10分を過ぎても送風が戻らない場合に限り、別の原因を疑う段階に移ってください。
室温が低い時期にこの切り換えが頻繁に起きると、体感としては「すぐ止まる除湿機」になります。音よりも停止のほうが気になってきた場合は、除湿機が途中で止まる5つの原因|満水・霜取り・自動停止の見分け方で停止側の条件を確認したほうが話が早いはずです。
霜取り運転かどうかを見分けたいときは、吹出口に手をかざして風の有無だけを確認してください。音の印象は人によって差が出ますが、「風が出ているか、いないか」は誰が確かめても同じ答えになります。判断材料は、できるだけ主観の入らないものを選ぶのが確実です。
急に大きくなるのは圧縮機が動く音
「スイッチを入れたときは静かだったのに、しばらくしたら急にうるさくなった」。これは除湿機でもっとも多い勘違いのひとつだと思います。原因は圧縮機(コンプレッサー)で、しかもこれは設計どおりの動きです。
三菱電機の除湿機取扱説明書には、「急に運転音が大きくなる」という症状について、圧縮機が動き始めるとき、具体的にはスイッチを入れて約3分後、または「自動除湿」「湿度設定」で運転中に音が大きくなると説明されています。加えて「ブーン」「コロコロ」という音がしたり止まったりする症状については、圧縮機が動いている音であり、自動で湿度をコントロールする運転や内部クリーン運転では断続運転をするため音がしたり止まったりする、とあります。
なぜ約3分なのかという理由も書かれていて、運転スイッチを押してから約3分間は圧縮機が動かないのは圧縮機の保護のためだとされています。つまり最初の約3分は圧縮機が意図的に休んでいる時間であり、そこを過ぎて動き出せば音が大きくなるのは当たり前ということです。同じ説明書の別の項目には、運転を入れてもすぐに運転しない理由として、運転停止直後や電源プラグを差し込んだ直後には圧縮機は動かず、運転スイッチを入れてから約3分以内に圧縮機が動いて除湿を始め、除湿を始めると運転音が大きくなる、とも記載されています。
この仕組みを知っていると、湿度設定運転で音が出たり止まったりするのも納得できるはずです。設定した湿度に達すれば圧縮機は止まり、湿度が上がればまた動き出す。断続的な音は、機械がサボっているのではなく、湿度を追いかけている証拠になります。気になるのは音の大小ではなく、動き出したときの音質が以前と変わっていないかのほうです。
自分で直せる可能性がある異音

2つめの引き出しは、原因が本体の外側や手の届く部品にあり、道具をほとんど使わずに解決できる音です。ここに該当する音は、部品が壊れているというより位置がずれている・汚れが溜まっている・置き方が合っていないという状態を知らせています。言い換えれば、機械の故障ではなく使用環境のほうに原因があるということです。だからこそ、置き場所を変える、フィルターを洗う、羽根をはめ直すといった作業で解決してしまいます。分解は必要ありませんし、してはいけません。なお、以下の確認はすべて運転を止めて電源プラグを抜いてから行ってください。動いている状態で手を入れると、それ自体が新しい異音の原因になります。確認する順番だけ間違えなければ、数分で終わる作業ばかりです。
カタカタはルーバーの外れと緩み
吹出口のあたりから軽く硬い音がするなら、まず疑うのはルーバーです。ルーバーは風向きを変えるために動く羽根なので、構造上どうしても可動部があり、そこが浮くと運転中の風や振動で細かく当たって音になります。
パナソニックの公式FAQでは、除湿機のルーバーからカタカタと音がする原因が3つ挙げられています。1つめはルーバーが正しく取り付いていない場合で、外れかけていないかなど取り付け状態を確認するよう案内されています。2つめはルーバーが割れていたり軸部分が折れていたりするケース。この場合は自分で直すのではなく交換が必要だとされています。3つめが見落としやすく、運転中に手でルーバーの向きを変えた場合です。運転中に手でルーバーを動かすと本体内部のモーター部が正常に動作しなくなり、異音やスムーズに動かなくなる原因になると明記されていて、対処としては一旦スイングを停止してから再開するよう案内されています。
この3つめは、心当たりのある人が多いのではないでしょうか。風向きを変えたくて運転中につい指で押してしまう。その一回でモーターと羽根の位置関係がずれて、以後ずっとカタカタ鳴る、という流れです。同FAQには、手動で調整ができる機種もあるので詳しくは取扱説明書を確認するように、という但し書きも添えられています。手で動かしてよい機種と、動かしてはいけない機種があるということなので、自分の機種がどちらかは説明書で確かめてください。
確認の手順としては、まず運転を止めて電源プラグを抜き、ルーバーが左右とも本体の穴に収まっているかを目で見ます。片側だけ浮いていれば、その浮きが音の正体です。割れや軸の折れが見つかった場合は自分で接着などせず、部品交換の対象になります。なお三菱電機の取扱説明書には、位置合わせのためにルーバーが最長で8秒程度止まることがあるが、その後動き出すという記載もあります。数秒動かないだけで故障と判断しないよう、ここも覚えておくとよいでしょう。(出典:パナソニック 衣類乾燥除湿機 よくあるご質問「除湿機のルーバーからカタカタと音がする」)
ビビリ音は接地面と周囲の共振
低くブルブルと震えるような音、いわゆるビビリ音は、本体そのものより本体と床の関係から生まれます。除湿機は圧縮機を積んでいる分だけ必ず振動しており、その振動が接地面や近くの物へ伝わって増幅されると、単独の運転音よりはるかに大きく感じられるわけです。
三菱電機の除湿機取扱説明書では、運転音がうるさい・ひびくという症状の原因確認として3点が挙げられています。設置が悪く本体が傾いたりガタガタしていないか、板の間や狭い部屋で運転するとひびくことがある、エアフィルターが目詰まりしていないか。処置としてはそれぞれ、水平で丈夫な場所で使う、マットなどを敷いて使う、お手入れをする、と案内されています。コロナの取扱説明書でも「音がうるさい」の確認項目として、部屋が広すぎないか、不安定なところに置いていないか、エアフィルターが目詰まりしていないかの3点が並んでいます。
同じ機種でも、置く場所を変えただけで音の印象が変わるのはこのためです。フローリングに直置きすると床板が共鳴し、壁際に寄せると壁が反射面になって音が回り込む。逆に、水平で硬く、たわまない場所へ置き直すだけで収まることも珍しくありません。(出典:三菱電機 衣類乾燥除湿機 MJ-P180VX 取扱説明書)
四隅のどこかが浮いていないかは、本体の角を上から軽く押して確かめられます。押した瞬間にカタつくなら、そこが振動の逃げ道です。薄いマットを敷く対処は三菱電機の説明書でも移動時の案内として触れられていて、振動・騒音を抑えられるほか畳などのへこみ防止にもなると書かれています。置き方と防振の具体策は先ほど触れた振動側の解説で詳しく扱っているので、共振が原因だと分かった時点でそちらへ移ってもらうのが近道です。
共振が原因だと切り分けられたなら、打つ手は置き場所を変えるか、接地面に一枚挟むかの二択になります。除湿機専用として売られている製品はほとんど無いので、洗濯機用の防振マットや防振ゴムを流用するのが現実的でしょう。選ぶときは厚みと耐荷重の表示があるものにしてください。耐荷重が足りないと沈み込みで本体が傾き、三菱電機の説明書が挙げていた「設置が悪く本体が傾く」という条件を自分で作ってしまいます。
ザーザーはフィルターの目詰まり
風の音が以前より荒くなった、砂が擦れるようなザーザーという成分が混じるようになった。この変化は、ファンの故障ではなく空気の通り道が狭くなったサインであることがほとんどです。
仕組みとしては単純で、吸込口のエアフィルターに埃が溜まると、同じ風量を得るためにファンはより強く空気を引っ張る必要が出てきます。狭い隙間を無理に通る空気は乱れ、その乱流が耳障りな高い音として聞こえる。先ほど引用したとおり、三菱電機とコロナの両方が「音がうるさい」の確認項目にエアフィルターの目詰まりを入れているのは、音の相談の一定数がフィルター掃除で解決するからだと考えられます。
目詰まりが疑わしいときは、運転を止めて電源プラグを抜き、フィルターを外して光にかざしてみてください。向こう側が透けて見えないほど埃が層になっていれば、それが原因です。掃除の方法は機種によって、掃除機で吸い取るだけのものと水洗いできるものに分かれます。三菱電機の取扱説明書では、ほこりなどでフィルターカバーが目詰まりすると除湿の効率が悪くなるとして、2週間に1回程度のお手入れが案内されています。その内側にあるエアフィルターのほうは3ヵ月に1回程度のつけおき洗いが目安とされていて、部品ごとに頻度が分かれています。
なお、風の音が変化する原因はフィルターだけではありません。同じ説明書には、風切音の大きさが変化する症状の原因として、ルーバーの角度により音の大きさが変化するという説明もあります。吹出方向を変えた直後に音の印象が変わったのであれば、フィルターを疑う前にルーバーの角度を元に戻して比べてみるのが手順として正しい。条件をひとつずつ戻して比較するのが、原因特定でいちばん確実な方法です。
使用を止めて相談すべき危険な音

3つめの引き出しは、確認作業を自分で続けてはいけない音です。ここに入る音の共通点は、原因が本体の内部にあり、蓋を開けないと届かないこと。除湿機の内部には圧縮機や電装部品があり、家庭用の工具で分解できる構造にはなっていません。仮に開けられたとしても、冷媒が封入された配管や電気系統に素人が触れるのは危険ですし、メーカーの保証も受けられなくなります。該当する音が出ている場合、自分でできる正しい対処は「止めること」と「相談すること」の2つだけになります。ここで大切なのは、判断を先延ばしにしないことです。ここに分類される音は、待っても良くなりません。むしろ使い続けた時間の分だけ、修理で済んだはずの状態が交換や買い替えへ動いていきます。
キュルキュル・ギーは回転部の摩擦音
キュルキュル、ギー、キーンといった、擦れるような高い連続音。この種類の音は、これまで挙げてきた原因のどれにも当てはまりません。冷媒の音は流れる音であって擦れる音ではありませんし、ルーバーの緩みは断続的なカタカタで連続音にはならない。フィルターの目詰まりは風の荒さとして出るので、風量を落とせば音も落ちます。
消去法で残るのは、内部で回っている部分、つまりファンやその軸受けまわりの摩擦です。除湿機のファンはモーターと直結した構造が一般的で、外側から注油したり位置を直したりできる場所ではありません。しかも摩擦音が出ている時点で、部品同士が本来当たらないはずの当たり方をしている可能性が高い。運転を続けるほど削れが進むため、様子を見るという選択が不利に働きます。
ここで役に立つのが、止める前に気づいていた情報です。風量を弱くしたときに音も小さくなっていたのか、それとも風量に関係なく同じ調子で鳴り続けていたのか。前者なら風の通り道、後者なら回転部が疑わしくなります。ただしこれはすでに気づいていたことを思い出す作業であって、確かめるために動かし直す作業ではありません。原因の切り分けは、この先はメーカー側の仕事になります。
メーカーへ連絡するときは、音の擬音語、出ている場所、鳴り始めた時期、風量を変えたときの変化の4点を伝えると話が早く進みます。三菱電機の取扱説明書には、同社ホームページのよくあるご質問で運転音を聴くことができるという案内もあり、正常音の音源が用意されている機種もあります。エラー表示が同時に出ているなら、その内容も重要な情報になるので、除湿機の点検ランプが点灯したら?エラー表示の意味と使用を止める目安で表示の意味を先に確認しておくと、問い合わせの精度が上がります。
熱や焦げ臭さを伴う異音は即座に停止
最後に、音の種類を問わず最優先で判断すべき条件を確認します。異音に次のいずれかが重なった場合は、原因の切り分けをやめて運転を止めてください。
直ちに運転を止めて電源プラグを抜き、メーカーまたは販売店へ相談する状態(複数メーカーの取扱説明書に共通して記載)
・本体・電源コード・電源プラグが異常に熱い
・こげくさい臭いがする/運転中に異常な音や振動がする
・電源コードに触れると通電しなかったりする
・ブレーカーやヒューズがたびたび切れる
この4項目は、三菱電機とコロナの除湿機取扱説明書の両方に、ほぼ同じ文言で載っています。メーカーが異なっても同一の内容が並ぶということは、これが特定機種の注意書きではなく、電気製品として共通の危険信号だと読み取れます。とくに「異常な音」という項目がここに含まれている意味は大きい。音そのものが、他の異常と並ぶ独立した停止理由として扱われているということです。
判断を迷わせるのは、症状が軽いときほど「まだ使えている」と感じてしまう点でしょう。しかし熱・臭い・ブレーカーはいずれも電気系統の異常を示すもので、これらは時間とともに良くなる種類の不具合ではありません。使えているかどうかではなく、条件に当てはまるかどうかで機械的に判断するほうが安全側に倒れます。
相談した結果が修理になるか買い替えになるかは、経過年数で見当がつきます。判断の軸になるのは補修用性能部品の保有期間で、これを過ぎていると部品がなく修理自体が成立しません。その場合は修理費を積むより入れ替えたほうが合理的になります。年数と費用から線を引く考え方は除湿機の寿命は何年くらい?部品の保有期間と修理費から見る買い替え時にまとめてあるので、連絡する前に読んでおくと見積もりの妥当性を自分で判断できます。
相談の前にスマートフォンで音を録っておくと、電話口で擬音語を探す手間が省けます。吹出口から30センチほど離し、運転を始めてから約3分後、圧縮機が動き出したあとの音まで含めて録るのが実用的です。文字で伝わりにくい音ほど、記録が効いてきます。
除湿機の異音に関するよくある質問(FAQ)
買ったばかりの除湿機から音がしますが、初期不良でしょうか?
新品でも、冷媒が流れる音や圧縮機が動き出す音は普通に発生します。三菱電機の取扱説明書では運転スイッチを押してから約3分間は圧縮機が動かず、その後に動き出して運転音が大きくなると説明されており、これは正常な動作です。
判断の目安は、音の種類が早見表の上段(シュルシュル・カチッ・ブーン・ピシ)に当てはまるかどうか。当てはまるなら仕様の範囲と考えてよいでしょう。一方で、開梱直後からカタカタと当たる音がする場合は輸送中にルーバーがずれた可能性があるため、取り付け状態を確認したうえで販売店へ相談してください。
夜だけ音が大きく感じるのは故障のサインですか?
機械側の変化ではなく、周囲の暗騒音が下がったことで相対的に目立っている可能性が高いと考えられます。昼間は生活音に紛れていた運転音が、静かな時間帯には同じ音量でも大きく聞こえます。
確かめ方としては、昼と夜で同じ運転モード・同じ風量にして、音の大きさではなく音の質が変わっているかを聞き比べてください。質が同じなら環境の影響です。夜間の運転そのものを静かにしたい場合は、静音モードや弱運転の活用と、設置面の見直しが現実的な手段になります。
ポタポタという水音がしますが、水漏れしているのでしょうか?
除湿機は空気から水を取り出す機械なので、結露した水がタンクへ落ちる音は仕組み上どうしても発生します。運転中に断続的なポタポタ音がするだけで、本体の外に水が出ていなければ、通常の動作と考えて差し支えありません。
確認すべきなのは音ではなく床のほうです。本体の下や周囲に水が溜まっているなら、それは音とは別の問題になります。タンクの取り付け、排水ホースの接続、本体の傾きなどが原因になるため、水滴を見つけた場合は運転を止めて確認してください。原因の切り分けは除湿機の水漏れは4つの原因に絞れる|タンク・ホース・結露・傾きの直し方にまとめてあります。
異音がしても除湿はできています。このまま使い続けても大丈夫ですか?
除湿できているかどうかは、安全に使えるかどうかの判断材料になりません。取扱説明書が使用中止の条件として挙げているのは、異常な音・異常な発熱・こげくさい臭い・ブレーカーが切れることであって、除湿性能は条件に入っていないためです。
性能が出ているうちに手を打てば、部品交換だけで済む可能性も残ります。とくに擦れるような連続音は運転のたびに状態が進むと考えられるので、動いているうちに相談するほうが結果的に費用を抑えられるでしょう。
音が気になるならデシカント式に買い替えれば静かになりますか?
運転音という一点だけを見れば、静かになる可能性はあります。本文で触れたとおり、デシカント方式は圧縮機を積んでいないぶん、そもそも圧縮機由来の音が発生しないためです(出典:トヨトミ お客様サポート「コンプレッサー方式とデシカント方式の違い?(除湿機)」)。
ただし同じ説明のなかで、デシカント方式はヒーターを使用するため消費電力が大きくランニングコストが高いこと、除湿運転時にヒーターを使うため室温上昇が大きいことも短所として示されています。静かさと引き換えに電気代と室温が上がるという交換条件になるため、音だけを理由に方式を変えると別の不満が出る場合があります。現在の音が正常音なのか異常音なのかを先に切り分け、そのうえで検討するのが順序として妥当です。
まとめ|除湿機の異音は音の種類で危険度が読める
除湿機の異音は、聞こえ方の印象で判断しようとすると必ず迷います。同じ「変な音」でも、冷媒が流れているだけの音と、内部の回転部が擦れている音では、取るべき行動が正反対になるからです。この記事では、その判断を印象ではなく音の種類と発生タイミングという客観的な材料に置き換える方法を見てきました。
整理すると、まず確認するのは異音そのものではなく、危険な組み合わせの有無です。異常な発熱、こげくさい臭い、電源コードに触れると通電しなくなること、ブレーカーが何度も落ちること。これらのいずれかが異音と同時に起きているなら、それ以上調べずに運転を止めて電源プラグを抜きます。三菱電機とコロナの取扱説明書が同じ4項目を並べている以上、ここは機種によらない共通の線引きだと考えてよいでしょう。
その条件に当てはまらなければ、音の種類で引き出しを選びます。シュルシュルやゴーゴーは冷媒が流れる音、カチッと鳴って風が止まるのは霜取り運転で約5分から約10分、運転開始から約3分後に急に大きくなるのは圧縮機が動き出した音。いずれもメーカーが異常ではないと明記している範囲なので、そのまま使えます。
カタカタ、ビビリ音、ザーザーの3つは、自分で手を入れられる領域です。ルーバーの取り付け状態、本体の水平と設置面、エアフィルターの目詰まり。この3点を順に確かめるだけで解決する例が多く、いずれも取扱説明書が処置として案内している内容と一致します。運転中に手でルーバーを動かすとモーター部が正常に動作しなくなるという注意は、知らないと繰り返しやすいので覚えておくと役に立つはずです。
そして、キュルキュルやギーのような擦れる連続音が出たときは、分解せずに相談へ回してください。家庭用の除湿機は内部の回転部へ手を入れる前提の構造ではなく、運転を続けるほど状態が進みます。相談の前に、擬音語・出ている場所・鳴り始めた時期・風量を変えたときの変化の4点を整理し、可能なら音を録音しておくと、やり取りが一度で済みます。
なお、ここで示した時間や頻度の数値はいずれも特定機種の取扱説明書に基づく一般的な目安であり、機種や運転モードによって異なります。正確な情報はお使いの機種の取扱説明書とメーカー公式サイトをご確認ください。分解を伴う点検や修理の可否、費用の見積もりについては、最終的な判断をメーカー・販売店・専門の修理窓口にお任せいただくようお願いします。
音は、機械が調子を伝えてくる数少ない手段です。うるさいかどうかではなく、先週と同じ音かどうかで聞く習慣がつけば、異常は早い段階で拾えます。この記事の早見表を手元に置いて、まずは今鳴っている音がどの行に当てはまるかを確かめてみてください。